14.気にならないフリして
「おはよう」
教室に入ってきた倫行がクラスメイトの男子に挨拶する。
「おーっす、昨日どうだった?」
男子が手を上げて返し、聞いた。
「ああ、うまくいった」
「そっか。年上彼女とは羨ましい」
ガターンッ
希世子が椅子を蹴倒して立ち上がった。
「どうした、三上?」
「な、な、何でもないの」
何でもないことはなかった。
「(か、彼女ですって!? 年上彼女!? い、い、いつの間に!?)」
大混乱だった。
希世子が椅子に座り直した。
全神経を二人の会話に傾けた。
「何て呼びあってんだ?」
「タキさん、倫ちゃんって。昨日はデートだった」
「(デ、デ、デート!?)」
「で、そのまま家に泊まった」
「(と、ととと泊ま、泊ま)泊まった!?」
興奮しすぎて声に出た。
「む? 三上も気になるのか?」
倫行が希世子の様子に気づいた。
「い、いえ、ぜ、全然気にならないんだけど、か、彼女ができたって、本当?」
「ああ」
「(ガーーーーーーーーーーン!)」
「七十五歳の年上彼女だ」
「(年上過ぎーーーーーーーーーーっ!)お、おめでとう」
希世子は、血を吐く思いで祝った。
「ありがとう。じいちゃんに伝えておくよ」
「……じいちゃん? 今の佐藤君のおじいさんの話なの?」
「ああ、倫也じいちゃんの話だ」
「(それを先に言ってよ……)」
希世子は、胸を撫で下ろした。
「マッチングアプリで出会ったって」
「お若いわね……」




