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11.告白のフリして

 お昼休み。

 教室に戻ってきた希世子が席に着くと、


「何だったんだ?」


 前の席に座る希世子の友達、河井勇美かわいいさみが振り返って聞いてきた。

 黒髪ショートヘア、大きなアーモンドアイ、背が高く男子っぽい見た目の女子だ。


「告白されたわ」


 希世子がさらりと答えた。

 昼食後、男子に「話がある」と呼び出されていたのだった。


「付き合うのか?」


「私の好きな人知ってるでしょう?」


「そっか」


 勇美は、希世子が倫行を好きなことを知っている。

 告白相手は、倫行ではなかった。

 つまりはそういうことだと察した。


「しっかしまぁ、モテるなぁ。二年になってからコクられたの、これで十人目くらいか?」


「そうね」


 今はまだ六月。

 希世子は、モテまくりだった。


「また一人の男子を悲しませてしまったわ。美しすぎるのも考えものね」


 希世子が嘆いた。


「はいはい」


 慣れてる勇美が適当に返事した。


「また告白されたんだって?」


 そこへ倫行がやってきた。


「ええ」


「三上は、あいかわらずモテモテだなぁ」


「そんなことないわ」


 控えめな希世子。


「倫行、グラウンド行こうぜ」


「おう」


 倫行は、友達に誘われて教室を出て行った。


「……」


 希世子が倫行の出て行った扉を見つめる。


「どしたよ?」


 勇美が希世子の顔を覗き込んだ。


「……私、告白されたって言ったのに、どう返事したか聞かれなかったわ」


「だな」


「私のこと少しでも気になるなら返事を知りたいはずでしょう」


「つまり少しも気にならないってことか」


 辛辣な勇美。


「ありえないわ!」


 希世子が声を荒げた。


「これまでたくさんアピールしてきたのに少しも気にならないなんてありえない!」


「そ、そんな怒るなって。ジョークだよ」


「きっと、気になるけど勇美と違って『付き合うのか?』なんてデリカシーのない質問は避けただけだわ!」


「おい」


「私試してみる! 見た目が男子の勇美、手を貸して!」


「ケンカ売ってんのか!」



 ◆◆◆



 放課後。


「どこへ行くんだ?」


「あっちだ」


 勇美は、倫行を呼び出して校舎裏に連れて来た。


「ここだ。悪いけど、ちょっと待っててくれ」


 勇美は、大きなクスノキのところへ来ると、そこに倫行を置いてどこかへ行った。


 しばらくすると、木の幹を挟んだ裏側に希世子と男子がやってきた。


「こんなところへ来て、話って何かしら?」


 希世子が聞く。


「実は、君に伝えたい気持ちがあるんだ」


 男子は、硬い声で答えた。

 告白の場面だ。


「……やってらんねぇ」


 男子がボソッと付け加えた。


「ちゃんとして」


 希世子が小声で注意する。

 実はこの二人、希世子と男子の格好をした勇美で、今からするのは告白のフリだった。


 希世子が告白されるという場面に遭遇した倫行がどんな反応をするのか見ようというのである。

 もちろん希世子の発案だ。


「(勇美、お願い)」


 アゴをクイクイ動かして勇美につづきを促した。


「え〜っと、好きだ付き合ってください」


 勇美が棒読みで告白した。


「そうね、私の返事は……(さぁ、佐藤君、私の返事が気になるわよね? ね?)」


 希世子は、考えるフリをして木の裏側をこっそり見た。

 誰もいなかった。


「どうかしたか?」


 勇美も確認する。


「あ、いない」


 気づいた。


「どこへ行ったのかしら?」


 希世子はわからない。


「普通に気まずくなって帰ったんだろ」


 そういうことだった。

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