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104.酔ったフリして

 ゴ〜ン……


 余韻を残して除夜の鐘が鳴り響く。

 本日は大晦日。


 二年一組の一同は、一緒に年越しを迎えようと神社に集まっていた。

 夜ではあるが参拝客が大勢いる。


「十秒前だ! 九、八、七」


 この場にいる人たち全員でカウントダウンが始まる。


「……三、二、一、ハッピーニューイヤー!」


 膨れ上がった風船が割れたように、みんなのテンションも一気にはじけた。

 誰彼構わず明けましておめでとうと言い合っている。


「明けましておめでとうございます、佐藤君」


「ああ。あけましておめでとう、三上。今年もよろしくな」


 希世子と倫行も笑顔で新年の挨拶を交わした。


「あたし年明けた瞬間地球にいなかった! ジャンプしてたから!」


 勇美も興奮マックスだ。


「上空百キロ圏内は地球よ」


 希世子は、冷静にツッコんで後れ毛を撫でた。

 希世子は今日、振り袖を着ていた。

 長い黒髪は頭の後ろで結っている。

 白いうなじが艶かしい。

 うなじフェチの倫行がチラチラ見ていた。


「(フフフ、見てるわね)」


 希世子もその視線に気づいている。

 むしろ見せるために、寒い中であっても首巻きをしていなかったりする。


「(さぁ、ご覧なさい! そして今年こそ私にメロメロになりなさい!)」


 新年一発目の作戦だった。


「どうぞ〜」


 そこへ、神社内の仮設テントから巫女の声が聞こえてきた。


「ただいま甘酒を振る舞っております。みなさんどうぞ〜」


 とのことだ。

 キラリーンと希世子の瞳が光った。


「私たちもいただきましょう」


 倫行と勇美を誘う。


「そうだな」


「寒いからありがて〜」


 三人でそちらへ移動した。

 甘酒を受け取り、「明けましておめでとー」で乾杯してからみんなで飲んだ。


「はぁ〜、あったまる〜」


 勇美がほっこりする。


「だな〜」


 倫行も目尻を下げた。


「本当ね〜」


 希世子がほうと白い息を吐いて、紙コップを頬に当てた。

 温もった肌が薄紅色に変わっていく。


「(いかがかしら、佐藤君? 振り袖美人の美肌が桜色に染まっていく光景は? 心奪われるでしょう?)」


 これを狙っての甘酒だった。


「(さぁ見惚れなさい! ドキドキにその頬を朱に染めなさい!)ああ、私酔ってしまいそう」


 希世子が流し目で倫行を見た。

 倫行は、首から上が真っ赤っかだった。


「(すごい朱に染まってるーーーーー!)」


 予想以上の効果だった。


「ブハハハッ」


 倫行の様子に気づいた勇美が大口を開けて笑う。


「お前、顔真っ赤じゃねぇか! ハハハハッ」


「うむ。昔から酒を飲むと肌が真っ赤になるんだ」


 倫行が袖をまくって腕を見せた。

 肌が真っ赤だった。

 そういう体質だった。


「(なんだ、そうだったのね。こっちを見てなかったのね)」


 作戦失敗に希世子が肩を落とした。


「希世子、もう一杯もらいにいこうぜ」


「もらえるの? こういうのって一杯だけじゃないの?」


 二人は、巫女のところへ行った。

 そんな希世子を倫行が横目に見る。


「赤くなる体質で助かった……」


 倫行がホッとした。

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