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103.バイキングのフリして

 駅近くにある食べ放題の店。

 寿司、焼肉、ケーキとなんでもござれ。

 今日倫行はここで、中学の時の部活仲間十数人とプチ同窓会をしていた。


 元サッカー部で男だけ。

 食べて飲んで喋って食べてと賑やかだ。


「美味い! 肉美味い! 寿司も美味い!」


 倫行も食べまくっている。


「倫行、彼女できたか?」


 その最中、隣の男子が挨拶のように聞いてきた。


「いいや」


 倫行が首を横に振った。


「友よ!」


 男子が倫行に抱きついた。


「俺もいないぜ、マイフレンド!」

「俺もまださ、ディアマイフレンド!」


 他の仲間もゴールを決めたあとみたいに寄ってきた。


「彼女できる気がしねぇ」

「俺らなんて男子校だし」

「最近喋った女子って先生だぞ」


 ヘコんでる。そこへ、


「おいっ、あっちにすげぇ美人がいた!」


 トイレから帰ってきた男子がみんなに教えた。


 「どこだ?」「どんなだ?」「本当かよ?」と全員で確認する。

 長い黒髪にキツい顔立ちの美女がいた。

 希世子だった。

 友達と食事を楽しんでいる。


「おいおいおいっ、マジかよ!」

「すげぇ! 芸能人か!?」

「芸能人どころじゃねぇぞ! ヤベぇ!」


 全員色めき立った。


「三上じゃないか」


 倫行が気づいた。

 バッと風が起こりそうなくらいの勢いでみんなが倫行へ顔を向けた。


「知り合いか!?」


 と隣の男子が噛み付かんばかりの勢いで聞いた。

 みんなの目も血走っている。


「クラスメイトだ」


「紹介しろ!」


 間髪入れず頼む男ども。


「今は食事中だぞ、時間制限ありの。俺たちもそうだし、喋ってる暇なんて」


「頼む!」


 必死だ。


「待て待て」


 それを元副キャプテンが止めた。


「クラスメイトといってもあれだけの美女だ。喋ったこともないんだろう。な、倫行?」


「いや、普通に喋る」


「とはいえあれだけの美女だ。挨拶とか事務的なことだけだろう。な、倫行?」


「いや、勉強の話とかワンコの話とかするし、この前電話で」


「だったら紹介しろやコンチクショウがーーーーー!」


 副キャプテンがキレた。


「俺なんて高校になってから女子と話した時間が七秒しかねぇのにお前はあんな美人様と」


 グチりだした。


「落ち着け!」

「心を整えろ!」


 みんなで止めた。


「はいはい、みんな静かにな」


 それを元キャプテンが鎮めた。


「それにしても倫行、あんな見た目クールビューティーな子と仲が良いなんてすごいな」


 感心している。


「それとも彼女、クールに見えるけど、他の男子ともワイワイ話すタイプなのか?」


「いや、そうでもない」


「お前だけ特別だとでも言うのか倫行よ!?」


 みんなに羽交締めにされている副キャプテン。


「三上とは、ずっと席が近いんだ。だから」


「それだ! 席が近いから仲良くなったんだ! 俺だって席が近ければあの子と七秒以上会話して」


「はいはい、肉焼けてるぞ」


 口に肉を詰め込まれた。


「席が近いからか……」


 キャプテンが考えるように顎を撫でる。


「本当にそれだけなのかな?」


 倫行を見た。


「どういう意味だ?」


「さぁ?」


「さぁって……」


 倫行が答えを求めるように目を希世子へ向けた。

 ふいに目が合った。

 倫行がビクッと肩を揺らして驚く。

 希世子がスマホをイジると、倫行のスマホが震えた。


『楽しそうね』


 とのライン。

 希世子は、倫行がいることに気づいていた。

 しかし、邪魔しては悪いと思い話しかけなかったのだった。


 希世子がビックリしている倫行を見てイタズラ成功とばかりに微笑んだ。

 すました表情から年に見合った少女の笑顔に変わる。


「すげ……」

「マジヤベぇな……」


 あまりの可憐さにそれだけでみんなゴクリと喉を鳴らして見惚れた。

 倫行も希世子を見つめている。


 『本当にそれだけかな?』


 キャプテンの言葉が頭をよぎった。


「倫行! 俺を置いていかないでくれ!」


 副キャプテンがまた騒ぎ出した。


「あの頃の倫行に戻ってくれ! 倫行、カムバーーーーーック!」


「……こいつ、酒飲んでないよな?」


 キャプテンが心配した。

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