2021年10月12日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#5 図書館
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのTwitterをフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのTwitterから【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのTwitterのダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第6回目の今回は………
2021年10月12日放送。
妄想【愛の劇場】#5 図書館
奏と八巻シリーズの第五回目
曇天の空の昼下り、コンビニへと軽いランチを買いに、八巻は奏とふたりで外を歩いていた。
奏は、昨夜から八巻と久し振りにのんびりとした時間を過ごす事ができたのが嬉しかったのだろう。今日はいつも以上にキラキラした笑顔を八巻に向けている。
そんな奏の姿に、八巻も嬉しい気持ちになる。
「八巻くん、何か面白そうな本はないかな?」
奏が突然切り出した。
「本?」
本なんて、学生時代に読書感想文を書くために、推薦図書をなんとか気力を振り絞って読んで以来読んでいない。
「八巻くんなら知ってるかな?ルース・レンデル」
ルース・レンデル?誰だよ。
グーグル先生にお伺いを立てたいところだが、奏の前で堂々と調べるのは格好が悪い。
「『A Spot of folly』が読みたいの。本屋さんには無いのよね」
奏は寂しそうに話す。
「インターネットで買えばいいじゃないか」
「八巻くん、本は本屋さんで探すから素敵な出会いがあるものなのよ」
奏は拗ねた様に、口元をふっくらと膨らませながら言う。
そういうものなのか?よく分からない。
「あと『Kiss Kiss』。ロアルド・ダールね!」
グーグル先生。誰ですか?
「『チャーリーとチョコレート工場』。私、あの映画好きでしょう?同じ作家さんなのよ」
ああ。奏が飽きもせずに観ているあの映画か。
「これも本屋さんに無いのよね……」
奏は寂しそうに話す。
そういえば、近所に図書館があったな。八巻は思い出し、奏に図書館に行く提案をした。
「図書館?図書館なら置いてあるかもしれないわね!」
弾けるようなキラキラした笑顔に戻った奏に癒やされながら、八巻は奏を図書館へとエスコートした。
図書館の自動扉が開いた瞬間、奏は心なしかステップを踏むように館内へ吸い込まれていく。
久し振りの図書館は、本特有の柔らかい木材のにおいがした。
平日の昼間という事もあり、利用者は居ないと言っても過言ではない。
八巻は歩みを進めた。少し奥にある貸出しカウンターと向き合うように長椅子が二脚置いてある。
カウンターに背を向けるように、八巻はそこへ腰を掛けた。
奏の姿を目で追い、様子を伺う。
奏は嬉しそうに洋書のコーナーで本を探している。
八巻の口元も緩む。
ふと、忘れていた光景を思い出した。
図書館にはあまり良い思い出がなかったという事を。
学生時代、仲良くしていた女子生徒がいた。
名前は文子。友人の彼女だったが、八巻も密かに想いを重ねていた。
文子はガサツな友人の彼女に何故収まっていたのか、とても不思議に感じるほど、物静かな文学少女だった。
いつも本を読んでいた文子と話がしたかった八巻は、用もないのによく学校の図書館に居た。
文子は特に、村上春樹が好きだという。
文子は、村上春樹の作品の好きなところをよく話してくれた。
「俺にも読めそうなのあるかな?」
八巻は文子の好きなものの世界が知りたいと一念発起、苦手な読書をしてみることにした。
「『バースデイ・ストーリーズ』はどうかしら?誕生日にまつわる話の本だから読むやすいかも」
紹介してもらった村上春樹が訳したという本を文子の案内で借りた。
話を合わせたいという思いで借りたが、八巻にはなかなか内容が頭に入らず、読み進める事が難しかった。
時間はかかったが、なんとか読み終わる。
いつもの学校の図書館で、文子を捕まえる。
本を読み終えた満足感よりも、文子と話ができる事に浮かれていた。
八巻の感想に文子も満足そうに目を輝かせて、村上春樹の魅力を話し出す。
村上春樹なんてどうでもいい。
文子の嬉しそうな姿に八巻も嬉しくなった。
「八巻くんが彼氏だったらな……」
「え?!」
八巻は素頓狂な声を上げた。
文子は俺の事が好きなのか?
「だって、春樹の話がたくさんできるでしょ?彼、本を読まないから春樹の話をしても聞いてくれないのよ」
文子は、苦笑いをしながら言葉を繋げた。
「でも、彼はいつも私を助けてくれるから。優しいのよね。だから、春樹の話を聞いてくれなくても、仕方ないよね」
八巻は聞いていない。
俺に、文子は恋をしているのか。
文子は、俺に恋をしているんだ。
八巻の頭の中は、文子でいっぱいになった。
八巻は文子への想いがはち切れそうになり、ついに声に出してしまった。
「じゃあ、アイツと別れて俺と付き合わないか?」
「八巻くん?突然やめてよ!どうしたの?」
文子は慌てながらも、八巻の様子を伺っている。
八巻は文子の様子に戸惑い始めた。
アイツより俺がいいって、今言ったよね。
俺の事、好きなんだよね。なのになんで困ってんだよ。
頭の中が整理できない八巻は、居ても立っても居られず、図書館から走って離れた。
「子供だったな……」
当時を思い出し、八巻は独り言ちて苦笑いした。
「八巻くん!見て!こんなに面白そうな本を見付けたわ!」
図書館に備え付けてある買い物かごに10冊近い本を入れて、奏は嬉しそうに八巻へ見せに来た。
「二週間しか借りれないんだぞ、読めるのか?」
奏は、口元を膨らませる。
「読めるわよ!」
少し怒った表情を見せる奏を可愛いと思った。
本を借りて、コンビニで軽いランチを買った。
奏は借りた本を早く読みたいとウキウキしている。
八巻はこれから再び奏とのんびりした時間を過ごすために、まずは奏から本を取り上げなければならない。
さて、どうするか……。
奏の楽しそうな様子を眺めながら、八巻はそんな事を考えていた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#6「焼き鳥」




