その4.
けっきょく二人の戦いの場所は噴水広場となった。
「ニャハハー」とネコミミ女は長さ2メールの槍を構える。
ミリアは左手でマントの端をつかんで即席の盾とし、青銅製のショートソードを中段に構える。
「いっくよー」とネコミミ女は呑気そうな声で言うと、恐ろしく鋭い突きをミリアに放つ、ミリアはその突きを、右へよけるが「あまい!」と、ネコミミ女は言うと槍の柄をミリアに振るう、驚きの顔をうかべてミリアは、バックステップで、それをかわす。
「よけられたかー」とネコミミ女は笑って言う「やりってのはねー突くだけの武器じゃあない、本当のつかい方は柄での叩きにあるニャ」という。
魔術師ふうの男は、剣士ふうの男へ「あの話し本当か?」と訊ねると「本当だ」と答える、「槍は軽そうに見えるが実はこん棒より重い」と付け加えて言ったあと「しかも槍は長い、あの長さの武器で叩かれると、プレートメイルを付けていたってダメージが入る」とネコミミ女を指さして言う「槍で何度も叩かれると、特に関節や頭を叩かれると、動きが遅くなる、そこへ防御の薄いところに槍の穂先を刺す、それが槍使いの戦い方だ」と剣士ふうの男は言う、魔術師ふうの男は唾をのむ。
ミリアは思う「このネコちゃん強い」と。
ミリアの防具に金属製の部分が少ないのは偶然じゃない、メインの防具のブリガンダインも本来なら鉄製の小板を使うが、ミリアはあえて軽くてもろい大リクガメの甲羅を使っている、すべてはスピードのため、ミリアの戦い方は素早いステップで、相手をほんろうし一気に間合いを詰めて、ショートソードを使って倒すというスタイルである。
ロングソードは突きと切断の両方が使える、器用な剣だがミリアが幼い頃から教わってきた剣術は、突きを基本としているレイピアだった、ロングソードではミリアの剣術に合わない。
むしろ突きにより特化した、ショートソードの方が使いやすい、ショートソードが少し短いのは相手の急所を狙いやすいからであり、俗に言うロングソードの買えない貧乏人のための剣などでは、決してない。
上下左右に振り回される槍への迂闊な接近戦は、こちらの敗北を意味する、ならとミリアはステップを早める。
ネコミミ女は素早くステップを刻む足を見る、ミリアは疲労が溜まるリスクを冒してもこの戦法を使うのには、理由がある、その一つにミリアの方が圧倒的に軽装であること、もう一つにはネコミミ女の防具に関係がある、確信ではないが。
ネコミミ女は鉄製の鎧を着ている。
な、なぜかうまくいかなかったようですはい。