『いちごミルク』
私は、このバーの常連。
いつもの席に座り、マスターに言うの。
「マスター、いつものお願い。」
そう言うと、マスターは軽く うなずき
カウンターにコースターを用意し その上に逆三角形のカクテルグラスを置く。
シェーカーに私の好きなフルーツを入れてマッシャーで潰して、氷を入れ、シガーカップにドリンクを計り、シェーカーに入れて振るの。
マスターの両手の親指と小指でシェーカーを挟み、残りの指で支える。
2、3回ゆっくりシェーカーを振り氷の位置を整えて段々と早くシェーカーを振る。そして最後はゆっくりとなり、マスターが奏でるリズムが静寂となり、シェーカーの蓋を開け右手でカクテルグラスに注ぐ。
最後の1滴がカクテルグラスに落ちる。完璧だ。
そして、注ぎ終えたシェーカーをシュッと手のひらを返して終える。
その姿は、まさにバーテンダーのトッププロそのものだ。
グラスの下を左手で支え、コースターを滑らし私の目線の絶妙な位置にグラスを置く。
「お待たせいたしました。いちご牛乳です。」
「ちょっと、おとうさん! ストロベリーミルクって言ってよ!」
「そう言われても、ストロベリーミルクって お酒のカクテルあるからなぁ。じゃあ、いちごミルクで。」
「もう、おとうさん のバーが緊急事態宣言で お酒出せなくなって、紅茶とフレッシュジュースを出すように頑張っているのに、ぜんぜん お客来ないじゃん。美味しいのに……しかも、延長だってよ。どうするの?」
「どうするも、なにも、おかあさん と頑張るしかないよ。それより、早く宿題やりなよ。」
「…はーい。 でも、お酒が出せないから、おとうさん の お店に来れて うれしい。」
「おー、それは、それは。」
カラン、カラン。
あ、扉が開いた。
『いらっしゃいませ。こちらのカウンターへ どうぞ。』
読んでいただき誠にありがとうございます。
いつもと同じく、Twitterトレンドに上がっていた『いちごミルク』で妄想してみました。
本当に
緊急事態宣言、延長大変です。
飲食店だけじゃなく、いろんな業種の方が、今頑張ってます。
できるだけ、暗い雰囲気にならないように作ってみました。
それでは、またお会いいたしましょう。(._.)ペコッ
PS.早く元通りになって、バーで お酒飲みたいです。