1. 己の真実に気がつく時
どうも。地球のがん細胞Pーです。
いよいよ第一章の始まりです。
地球そのものを揺らすかのような轟音。
それが立て続けに三度過ぎた頃、千花と時雨の正気が戻った。
「これは一体なんの音ですか!?」
「実は最初に聞くことだったけど…………! ここ…………どこ!?」
時雨と千花の全く違う質問にアンフェアが悠々と答える。
「まず、うるさい小娘の問いに答えよう。ここは我らの楽園………………そう! 空中庭園である!!!!」
「うるさい小娘……………!? それ私のこと!?」
「それより、この空中庭園維持してるのワタシなんだけどね…………何を、さも自分のものです〜みたいに紹介してるんだよ………………消すよ?」
「お〜い。素が出てるぞ〜、ギール抑えろよ〜」
まったく話が進まない。
アンフェアの額に青筋が刻まれるのも、おかしくないほどに。
「オイィ、てめェらァ! うるせぇんだよォ話が先に進まねェ!」
「今回に限りだが僕は獅子極に賛同しよう。何度も奴らの攻撃を受けていては、この空中庭園も持つまい」
「なんだと……ワタシの楽園がやわだと言いたいのか?灰峰………………ワタシの本気受けてみたい?」
「そうは言ってはいない。だが、やるのならばいいぞ?」
「だぁかぁラァ、今はんな事やってる場合じゃねェだろがァァァァァァァァァ!」
時雨はまともなことを言っている炎に少しばかり高評価を与えた。
「誰もやらねぇんだったらァ、俺ァが殺してやるよォ! だからお前ェらは黙って俺ァに任せやがれッ!」
時雨の炎に対する株がどんどん下がった。
「そうさな。炎よ。今はそなたに任せよう。撃老よ、炎について行ってやれ」
「っしゃッ! やってやるよ! 〈侵略世界〉のクソどもは一匹残らず殺してやるゥ!!」
「なんだと!? ………………まぁいいぜ、行ってやるよ…………………………俺はガキのお守りかよ…………」
「アァン? なんか言ったか? 九龍ゥ?」
「いや何も…………」
神楽坂の指示により選ばれた二人のテンションは正反対だ。
「それと、凶と魎よ。そなたたちは空中庭園に踏み込んだものがいないか見回りを頼む」
「いいだろう。我が豪魔流の名にかけその任、完遂しよう」
「承知しました」
炎に撃老、凶と魎が出ていったあとは殺伐とした空気が残った。
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「さて、やかましい馬鹿どもが出払っている今のうちに質問に答えてやろう」
「でしたら、アンフェアさん襲撃されていますがここは無事なのでしょうか?」
「それより、なんで私たちってこの空中庭園……………? にいなければならないの?」
二人同時に質問がとぶ。
「まず、空中庭園が壊れることなどない。それと「当たり前だね。ワタシの楽園が朽ちることはない」貴様らがここにいる理由だが、歪に魅入られた結果と言うべきだろう」
アンフェアの言葉の中にギールの声が聞こえたが、時雨のこの短時間に磨かれたスルースキルにより華麗に無視を決め込まれた。
「歪……あの〈異形〉ですね…………。奴らに見つかり逃げられたから、私達つけられているということ………………まったく迷惑な話ですね」
「え? ねぇ? ギールさんいいの? 時雨もアンフェアさんもギールさんほっといていいの?」
「………………………」
「千花よ。よしてやれ。今ギールは指摘され少し恥をかいているのだから」
「ギールのことなど今はどうでも良い。あとは、〈侵略世界〉〈イントロウクル世界線〉のことだが、彼奴らは六年ほど前より我らが〈アザークラウン世界線〉に一方的に戦争を初めよった。故に、我らは今もしているように応戦をしているのだ」
アンフェアは時雨の質問に的確に答えた。
「でもさ……さっきの慌てよういつも戦ってるにしてはさ、少し慌てすぎじゃない? ねぇアンフェアさん? 一体何を隠してるんですか?」
「「「「「「………………」」」」」」
千花の質問に王たちを筆頭に今まで沈黙を守っていた騎士二人も動揺してしまった。
今までの何も考えていなかったかのような発言から油断していた。
その隙を時雨が見逃す訳もなく
「そうね…………なぜですか?」
「………………ふんッ! まぁよい。うるさい小娘、服を脱げそれと秀才ぶっている小娘、自分の右腕を見てみよ」
「「は?」」
二人の声が重なった。
それもそうだろう密かに世界を守っていた守護者たち、さらに外では現在進行形で戦いが起こっているというのに、この状況で服を脱げと来た。
二人の思考が停止するのは仕方ないだろう。
「ん〜〜。まぁいいけど…………」
「……!?」
と、いい千花が上の制服を脱いだ。
なんという羞恥心のなさだろう。
那由多が慌てるのも共感ができる。時雨も自分の右腕を見た。
「秀才ぶっている小娘。見ただろう」
「………………えぇ、これは一体なんなのですか……………………?」
「えっ? なになに? 何があるの私の背中…………?」
千花の背中と時雨の腕には真っ赤なまるで血管のような痣が一面に広がっていた。
「それは刻印。ただの人間が歪に対抗できる唯一のものだ」
さて第一章が始まりました。
私の自慢の彼らが今後どうなるのか、見守ってやってください。
これからもよろしくお願い致します。
Pーより