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ラストワン~刻印がもたらす神話~  作者: Pー
第二章 第二部【二大同盟戦線】
53/262

20. 霧の世界

 〈リングトラヌス世界線〉


 分かっている詳細としては、序列四位。


 〈アザークラウン世界線〉より一段階下、〈NEVERヴァード世界線〉よりも一段階上の世界線。


 その程度しか情報がないのだ。


 ならば、アンフェアたちに聞けば良かった?


 違う。


 アンフェアは知っていて隠していた訳では無い。


 アンフェアですら()()()()()()


 いや、これも適切な答えではない。


 アンフェアは知らなかったのではない。


 ()()()()()()()()()()()()


 誰に? そんなもの考える必要などない。


 〈リングトラヌス世界線〉の全責任者の他にいないのだから。








 _______________________







「え…………? 真っ白!」


 世界線の狭間(とびら)から一歩外に出た千花の一言だ。


 〈リングトラヌス世界線〉の中心世界の繁華街。


 街の様子と言えば人通りはなく、ガランとした石造りの街並みが広がっているだけであった。


 そう、石造りで目の前は真っ白。


 これではまるで…………


「まるで十九世紀のロンドンだな」


 剣聖の言葉がこの街を示す最も当てはまった感想であった。


「どこからかジャック・ザ・リッパーでも出てくるのですかねぇ?」


「よせ、元主。不謹慎極まりない。かの殺人鬼がどうであれ、この場には相応しくない。幾ら酷似していたとしても、ここは地球ではなく〈リングトラヌス世界線〉だ」


 剣聖と元主が何気ない会話をし、現状を理解しようとしていたその時、状況が動いた。


「ねえ! 皆、あれ見て!」


 千花がある一点を指さした。


 その先には霧が集まり、人の姿を象っていた。


 その霧は明確に人を初老の男性を作り上げた。


 どう見ても本物の人間。


 身長は百八十センチ程、英国紳士風の姿格好、顔は悪魔の笑ったかのような笑みを浮かべた仮面を被っている。


How are (ご機嫌) you(いかがかな)? 」


 ヒュッ! とした音の後、鉄がぶつかる音がする。


It sucks(最悪だよ)Fucking(クソ野郎)!」


 剣聖が初老の男性が投げてきたナイフを【剣の刻印魔法(こくいんまほう)】にて生成(コール)した刀で弾いた音であった。


「なんと、英語を話せるのかい?」


「義務教育だ。最低限は話せる」


「高等教育じゃないか。私からしてみるとね……!」


「……!」


 今度は初老の男性の方から剣聖へと近づいて行った。


「至近距離の死合でこのオレに勝てるわけがない」


「それはどうかな? hero(強き人)


 ニヤリと初老の男が笑うと、バシュッ! と()()()()()()()()()()


 なんの比喩でもなく言葉の通りだ。


 剣聖の右手首から先が宙を舞ったのだ。


 もちろん剣聖は右利きであるから、右手に握っていた刀ごと飛んで行った。


「チッ──!」


「……!? 鬼人!」


 さらに不可思議なことに初老の男性は剣聖の間合いに入っていなかったのだ。


 右手首がひとりでに斬れただけであった。


Goodbye(さようなら)


「【生成(コール)(フィン)】!」


 虚空から三本の刀が生成され剣聖の目の前に迫っていた初老の男性へと向かっていく。


「フッ!」


「ぐ……!」


 しかし、初老の男は三本の刀を回避する寸前に手に持っていたナイフを数本、剣聖に投擲する。


 剣聖だけなら【鬼神眼(おにノしらせ)】で避けることが出来た。


 しかし今は背後に千花たちがいる。


刻印魔法(こくいんまほう)】が使えるとはいえ、命のやり取りは素人。


 この素早い戦闘にはついていけない。


 そう判断した剣聖は己の体を盾にして、初老の男性のナイフを全て受けた。


「お優しい方だ。貴方ほどの剣士なら全て避けることもできたでしょうに」


「……余計な…………心配だ………………!」


 体に刺さっていたナイフを自ら抜き、剣聖は再び初老の男性へと向き合う。


 右手首は筋肉を固め強制的に止血する。


「あの人、強い……!」


「霧に紛れていたのか? あの御仁は私だけでなく鬼人すらも騙していたのか?」


 千花たちが初老の男性について考察していると、横から元主が呟く。


「まるでジャック・ザ・リッパーみたいですねぇ。……こんな時にシャーロック・ホームズさえいてくれればいい知恵が貰えそうなのですがねぇ」


 元主の呟きに呼応して、霧が捻れ人の姿を象っていく。


「まさか…………いえいえ、ありませんねぇ。しかしぃ…………」


 霧の中から出てきたのは片眼鏡をかけた二十代半ばほどの男性。


「君、あの鬼人はあの赤眼を使い君の動きを予知しているようだ。視界を遮る攻撃をしたまえ、そうすれば決定打だ」


「……!」


 眼鏡の男性の言ってることは剣聖の【鬼神眼(おにノしらせ)】について核心をついていた。


「感謝しますよ。フッ!」


 初老の男性は懐から丸いなにかを地面に叩きつけた。


 その後、白い煙が路地に充満した。


「チィッ! 全員この場から全速力で離れろ!」


 初めて聞くような剣聖の焦燥に満ちた声。


 その声に急かされて千花たちは一気に走って散っていった。


「仲間思いのお方だ。ゆっくりと眠ってくださいね」


「【生成(コール)】」


 ガキンッと煙の中から飛び出してきた初老の男性のナイフが新たに生成した剣聖の刀とぶつかった。


「あまり舐めてくれるなよ。オレの【鬼神眼(おにノしらせ)】を攻略したところでオレが弱くなった訳では無いぞ」


 そのまま初老の男性との打ち合いになる。


 剣聖は右手を切断された。


 故に左手を使い、初老の男性と対等に打ち合っている。


 だが、だんだんと初老の男性よりも剣聖が勝ってくる。


「……!」


「逃がさん!」


 初老の男性が一気に後ろに下がり剣聖が後を追う。


 だが、剣聖の足は止まらざるを得なかった。


「なんだ、この銀色の紐は……? まさか……!」


 剣聖の目の前には銀色に光る紐が張られていた。


 その銀色に光る紐は至る所に張り巡らされている。


「ピアノ線…………貴様がこれを振動させオレの右手首を斬ったのか」


「おや、お早いお気づきで」


 種がバレたと言うのに、惜しむ感情など皆無であるかのような口調。


「分かってしまえばどうということはない。これに注意しながら貴様の相手をすればいい」


 左手に刀を携え、初老の男性と眼鏡の男性と向かい合う。


「君一人だけならどうにかなったかもしれない。だから君は後ろの娘たちを逃がしたのだろうしね。しかし、君を思ってくれてる想い人がいたら話は別だよ」


「……?」


 片眼鏡の男性は剣聖に意味不明な文言を放つ。


 その答えはすぐに分かった。


「加勢するぞ! 鬼人!」


 未だ晴れない煙の中、キャンベラの声が聞こえてきたのだ。


 キャンベラは二対一の剣聖の身を案じて、一度は逃げたがすぐに戻ってきたのだ。


「……! 阿呆(あほう)が!」


 剣聖はすぐさまキャンベラの声のする方向へ向かう。


「これで終わりです」


 結果は予想するまでもない──


 ボトボトと、粘液性のある大量の血液が石畳に撒き散らされた。


「貴方ならそうするだろうと思いましたよ。hero(強き人)よ」


「……! 鬼人!」


 キャンベラの目の前に仁王立ちとなり、初老の男性のナイフをその身に受け、()()にナイフが刺さっていた。


「なに…………一度ぐらいは致命傷をもらわねば……貴様に申し訳なくてな」


 スッと、瞬きの瞬間を狙い初老の男性の左腕を飛ばす。


 至近距離だからこそできる捨て身の攻撃。


 傍から見ればそう見えるだろう。


 しかし、事実はキャンベラを守るために初老の男性と向かい合ったからこそできた不幸中の幸いであった。


「……! 下がりたまえ!」


「遅い! 【生成(コール)(ゾア)】!」


 剣聖が目の前にいる初老の男性に、己の体の中で生成した剣を飛び出させ突き刺す。


「ガ…………ッ!」


 互いに動こうにも動けない状況が続く。


 この静止した状況を動かしたのは、皮肉にも剣聖の負け目を作ってしまったキャンベラであった。


「部分降竜(こうりゅう)光竜(こうりゅう)”!」


 降竜秘奥(こうりゅうひおう)を数分だけ使用出来る部分降竜。


 今回は光竜を部分的に降ろし、初老の男性と片眼鏡の男性の視界を奪い、動くことの出来ない剣聖を強制的に背負い脱兎のごとく逃走した。


「…………逃げられましたか」


「ふむ、いずれどこかで会うことがあるだろうがね。宿敵である君と共闘するとは思わなかったが」


「それは私も同じことが言えますよ」


 初老と片眼鏡の男性はその場で談笑を繰り返し、人知れず去っていった。








 _______________________








「早く! 早く止血を!」


 キャンベラが逃げながらも、剣聖の流れ出す血液を止めようと模索する。


「焦るな、愚図騎士。この程度傷でもない」


「だが貴様は! 数秒とはいえ、心臓に刺さっていたのだぞ!」


「知らん。もう言い。降ろせ」


 降ろせと言いながらも自分から降りていくあたり、剣聖がとても頑丈だと分かる。


 しかし、剣聖は走らずにゆっくりと歩きながら口を動かす。


「……! 貴様! 動くなと言っている! 自分がどれだけ血を流したと思っている!」


「誰のために傷を増やしたと思っている。阿呆」


「う……! それを言われると弱いが…………」


「第一に貴様が戻ってこなければあの程度、二対一だとしても余裕だったものを」


「ぐ……! それを言われると…………」


「第二に貴様は直接戦闘能力のない栖本や華彩のところにいなければならない。同じグループに前衛が二人いてどうするつもりだ」


「むぅ……! それを…………」


「第三に貴様程度に心配されるほどオレは弱くない」


「それは違うだろう!」


「黙れ、無駄騎士」


 ギャイギャイ言いながらも二人は確実に、歩を進めていた。


「大体、貴様は口が悪い! 私は善意をもって貴様の元に駆けつけたというのに! それが分かったら私を…………おい! 聞いているのか!」


「黙れ、無能騎士。…………やはりおかしい」


「おかしい? 何がだ? 血の流しすぎで頭がどうかしたのか?」


「黙れ、先入騎士。貴様のように小煩い者が叫んでいるというのに、誰も苦情をつける者がいない」


「誰が小煩いだ! …………確かにおかしいな…………私ならばここまで騒いでいると一発殴るというのに」


「もう貴様は黙ってろ、脳筋騎士」


 そこまで言うと、剣聖は近くにあった石造りの家の木でできた扉を足で壊す。


「あぁぁぁ! 貴様、貴様! 何してる!? 賠償金、修繕費、慰謝料、どれだけ必要だと思ってる!? 自分の家以外のローンを払うあの時間ほど苦痛な時はないぞ!」


 あまりにも生々しい現実。


 確実にキャンベラは一度、他人の家を壊した過去をもっている。


 しかも、それがトラウマとなっている。


「だから黙れと言っている! 次叫ぶと叩っ斬るぞ! 頭に響くのだよ、貴様の声は! それとよく見ろ、慰謝料など誰に払う?」


 そう、剣聖が言う通り家の中に()()()()()()()


 家の中は今の今まで家族で食卓を囲んでいたのか、スープやパンが並んだままであった。


「どういうことだ? ここまで生活感があるのに誰もいないのか?」


「誰もいないなら僥倖(ぎょうこう)。少し横になる。誰か来たら声をかけてくれ」


「はあ!? お、おい! 本当に寝るのか……?」


 なんと、剣聖は誰もいないことを確認してから一つの部屋に入り、そこのベッドに横になり寝息を立てた。


「(…………どうしよう。目の前に無防備な鬼人がいる。いつも気を張っていて漬け込む隙などないあの鬼人が、いや剣聖がいる)」


 キャンベラはだんだんとモヤモヤしていった。


「(少しだけ共に横になっていいだろうか? 待て! 何故そんなことを考えている? 何故だ? 何故なんだ!?)」


 心の中は荒波のように荒れているが、それをおくびにも出さずゆっくりと近くにあった椅子に腰掛け、心の声に耳を傾けながら思考する。


 どれだけ時間が経っただろう。


「…………おい、置物騎士。誰も来なかっただろうな」


「…………何故だ? 何故なんだ? …………私は、私は何がしたかった?」


「人の話を聞け、難聴騎士!」


「ぐべッ…………!」


 剣聖が腰に差していた太刀を使い、キャンベラの後頭部を思いっきりはたく。


 キャンベラと言えば、カエルの潰れた時のような声を出し、椅子から崩れ落ちていった。


「はぇ!? 起きていたのか鬼人!」


「つい先刻(さっき)な。貴様は何を呟いていた? ほとほと気持ち悪かったが」


「気持ち悪いとはなんだ! 乙女に向ける言葉ではないぞ!」


「………………貴様、自分で乙女と言って恥ずかしくないのか?」


「みゅ………………」


 剣聖の追求がしっかりとキャンベラの心に突き刺さり、キャンベラから意味不明な喃語がこぼれた。


「とりあえずだが、オレの止血と休息は終わった。貴様は休まなくともよいか?」


 剣聖の右手首から先はそこらにあった針金を使い、止血。


 心臓の方は何故か止血しなくとも血液は止まっていた。


 何故、心臓を刺されて生きているのかは疑問だが。


「……? 心配してくれるのか? 貴様が? 鬼畜の代名詞である貴様が?」


 あまりの急展開過ぎてキャンベラから本音がダダ漏れだ。


「貴様の中でオレがどのような印象なのかがよくわかった」


 ジト目で本音をぶっちゃけたキャンベラを放置し、剣聖は(不法侵入した)家から出ていく。


「待て! 私を置いていくな!」


 剣聖の後ろを急いで追っていくキャンベラ。


「今から栖本どもと合流したところで時間の無駄だ。霊脈とやらを探しに行くぞ」


「あ、ああ。了解した。にしてもしっかり考えているのだな」


「喋るな、愚図騎士」


「喋るな!? そんなことを言われたのは初めてだぞ」


「境遇自慢か? いいだろう、この世の地獄を見せてやる」


「ほぇ!? 何故そんなに怒っているのだ? え、ちょっと怖い………………」


 キャンベラの喋り方がおかしくなるほど、剣聖の殺気と剣圧は濃厚だった。


「な、なあ………………」


「あ? 下手なことを口走ると斬るぞ」


「……………………貴様の、千時剣聖(せんじけんせい)の過去を教えてくれ」


「…………断る。貴様に話す意味がわからん」


 キャンベラが勇気を出した言葉は剣聖にバッサリと斬り捨てられた。


「意味なんてないかもしれない。私も何を言っているのか分からない。だが知りたいのだ! 貴様の過去を! 貴様が鬼人となった理由を!」


「…………断る」


 キャンベラの熱弁に剣聖は少しだけ返答に詰まり、答えが遅くなってしまった。


 その隙がキャンベラにとっては最後の希望だ。


「貴様は千花たちの前では最強の剣士でなければならない。だが、私の前では心の内を話して欲しい。私は守られているだけの騎士ではなく、貴様と千時剣聖と同じ場所に立ちたいのだ! 貴様といや、剣聖と対等になりたいのだ!」


「…………………………」


 とても長い沈黙。


 キャンベラは剣聖の目を逸らさずに真っ直ぐ見つめている。


 やがて、根負けしたのは最強の鬼人であった。


「ふん。貴様のような綺麗な生き方はしていないが、それでも聞くか?」


「ああ。聞きたい。剣聖の話を聞きたい」


「…………分かった。だが、時間がない。歩きながら話すぞ」


 剣聖は路地を歩きながら口を開く。


「かつて、千時剣聖は路傍の石であった…………」




 ──歩きながら話し始めて一時間程




「これがオレだ。オレという鬼人が生まれた物語だ」


「……ぁ………………あ、ああ」


 キャンベラは剣聖の過去を受け止めようとしていた。


「焦らんでいい。まず、受け止める必要すらない。ただ貴様の重荷になるだけだ」


「………………いや、何があっても貴様の過去を受け止める」


「無理する必要などない」


「無理ではない! 私は必ず貴様に…………貴様と…………」


「…………好きにしろ」


 剣聖の好きにしろ、それは気持ちの裏返し。


 感情表現の苦手だった剣聖が元主と“文乃(ふみの)”以外に初めて感情を顕にした。


「お楽しみの中申し訳ありませんが、そろそろ終わらせてもよろしいでしょうか? hero(強き人)よ」


 石造りの家の屋根に仮面を被った初老の男性と、片眼鏡の男性が立っていた。


「君たちは何故ここに来たのか、私には分からない。それは許されないことだが、仕方ない。私でも人の感情まで読み解くことは難しいからね。ただ、君たちのしたいことは分かるさ。と言うより、君の歩いた痕跡を辿ればわかる事だよ。君たちは魔力の通った道しか通っていないね。魔力の通った道、そんなもの古今東西たった一つ…………霊脈だね」


 完璧な推理。


 剣聖とキャンベラは話をしながらも霊脈の根源を探していた。


 これを魔力の道を通った、というたった一つの理由で答えた。


「流石は元主の想像する()()()()()()()()()()()だ」


「おや、わかってたのですか?」


「元主の呟きの後に貴様らは現れた。貴様らと言うよりはこの霧は人の想像を形にする特質を持つのだろうな」


「ならば、君たちの目的を知った私が君の後輩や親友の元に何をしたのか、分かっているかね?」


 そう、目の前の片眼鏡改めシャーロック・ホームズ(霧)は散り散りになった千花たちの元に刺客を送った。


「貴方たちもここで終わらせてみせましょう。私と彼で」


 これ以上の話は無用と初老の男性、元主の想像通りならジャック・ザ・リッパーは懐からナイフを取り出す。


「終わるのは貴様らだ。オレが手負いで一人だったとしても貴様らに勝算はなかった。今現在においての貴様らの勝ち目は万に一つもなくなった。………………今のオレには背中を預けるに足る騎士がいる!」


「……! 剣聖…………!」


「行くぞ、愚図騎士、いや…………キャンベラ!」


「ああ! 私たちの力を見せてやろう!」


 ここに現代が生んだ鬼人と騎士のコンビと、十九世紀に雌雄を決した名探偵と殺人鬼のコンビの戦闘が開始された。









 場所は変わり、剣聖とキャンベラがいた路地から北に進んだ大通り、千花とミリソラシアは天才軍師と三国志最強の武将と合間見えていた。



 剣聖とキャンベラを中心と考え、南には千百合と時雨が高杉晋作すらも認めた秀才とロシアの怪僧が睨みを聞かせていた。


 剣聖とキャンベラを中心と考え、西には元主とシャーシスがローマを震撼させた将軍と太陽を落とした女が対峙していた。


 霧の街で起きるその戦闘は実際には有り得ない。


 しかし、この街に満ちている霧がそれを可能にした。




 かつて世界に名を轟かせた英傑との真剣勝負。




 ──開始

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