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 王妃様主催のラウル様と私、二人だけのお茶会が始まりました。


 いつもなら会話を手助けしてくれる侍女さんたちは、今日は準備だけをしてどこかに行ってしまったので静かです。


 逃げないと決めたのに、いざ向かい合うと、どうやってラウル様と話せばいいのかわかりません。


 ちゃんとラウル様のことを見ようって決めたのに、できる気がしませんね。



「リ、リリアーヌ」

「な、なんでしょうか。ラウル様」


 どこか緊張しているようなラウル様。

 こちらまで緊張してしまいます。



 ラウル様はソファから立ち上がり私と向かい合うと、頭を勢い良く下げました。


「リリアーヌ、すまない。君に誤解を与えるようなことをして」

「えっと、誤解ですか。それより、顔をあげてください、ラウル様」


 混乱する頭でどうにかラウル様をソファを戻します。


「侯爵令嬢との噂が立ってしまって、君を不安にさせるなと多くの人に叱られた。それで……」

「分かってます。私よりずっと素敵な方です。好きになってしまうのも無理はありません。私からも陛下と王妃様に――」


 伝えて婚約を解消してもらいましょう――と言おうとしたのに、ラウル様に遮られてしまいました。


 意を決したセリフだったんですけどね。

 危うく涙が零れるくらいに。


「違う!違うんだ、リリアーヌ」


 ラウル様が大きな声を出すなんて珍しい。


「違う、ですか」


 ラウル様が頷きます。


「本当に好きなのは、君で、その、あの――ちょっと待ってて欲しい」


 返事も待たずにラウル様は部屋を走って出て行きました。


 それよりも、()()だと……。

 聞き間違いですよね。


 嫌われてはいないとは思います。

 だけど、好きだと言ってもらえるほど私はなんの取り柄もありませんから。



 グルグルと回る頭の中が整理できないうちにラウル様が戻ってきました。


 手には両手で包めるくらいの木箱を持っています。


「こんな形で渡す予定じゃなかったけど……」


 そう言ってラウル様から木箱を渡されます。


「これ、は……なんで」


 ほんの少しだけ装飾された質素な木箱。


 開けずとも分かります。

 これはオルゴールで、中には陶器のお人形があって曲に合わせてクルクルと回るんです。


 目の前の景色が歪んで、私は自分が泣いているのに気づきました。






みんな、声を出しちゃダメよ。by城の使用人ズ


二人きりしたものの心配で覗く人たち多数。

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