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ラウル目線です。
急に周囲の人間から叱られ、冷たい目で見られ、友人たちからは小言を頂戴し殴られかけた。
理由はどうやら、最近、侯爵令嬢とよくあっていたから、それでリリアーヌを捨てるのではないかと思われていたかららしい。
そんなことはする気はないのだが――。
「でも、誰だって思いますよ。まして、ラウル様が婚約解消をしたがっていると知っていればなおさらです」
「それは……」
従者の言う通りだ。
僕だって、それを聞けばそう勘違いするだろうし。
本当は婚約解消なんてしたくはない。手放したくはない。
けれど、あまりにもリリアーヌは僕の婚約者として立場を怯えていて、自信がない。
彼女の幸せを願うなら……。
それなら、いっそと思うのは仕方がないと思う。
けど、今は何よりもだ――。
「リリアーヌの誤解を解きたいが……どうすればいい」
「思いをそのまま伝えるのが一番ですが、出来ないようなら、お詫びの品でも持って謝りに行けばいいのでは?」
「そう、だな。リリアーヌの好きなものは……」
お詫びに渡すにしてもリリアーヌの好きなものがいいだろうと思うのに、リリアーヌが好きなものが分からない。
6年近くも婚約者として、彼女のそばにいたのに、あまりにもリリアーヌのことを僕は知らなすぎるな。
2人きりのお茶会も、会話は侍女が間に入って盛り上げてくれていたし、気恥ずかしさからいつだって目を合わせられずロクにコミュニケーションを取ってこなかったせいだ。
「ラウル様。思いを伝えるのには、行動と言葉。その2つが揃ってこそしっかり相手に伝わります。飾らない言葉も時には必要ですよ」
「そう、か。それならきっと、リリアーヌは……」
従者は僅かに困った子供をみるかのようにただ静かに笑う。
「時に届かないこともあります。ですが、伝えなければ伝わりません。ラウル様は何もせず諦めるおつもりですか」
上手くできるだろうか。
嫌われてしまう恐怖もあるけど、頑張ってみようと思う。
描く未来のためにも――。
リリアーヌ様の好みですか?もちろん、私たちは存じておりますよ。by従者




