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煌びやかで華やか世界は、貴族なら 当然ともいうべきような場所でありますが、名ばかりの落ちぶれ伯爵家では行くことは滅多にありません。本来なら――。
行く必要もないのではとも思いますが、差出人がラウル様のドレスが届けられるのでいかないわけには参りません。
それに、妙に目の合わないラウル様本人が迎えにきてくださいますし。
そっけない口調で手を差し伸べて。
「リリアーヌ、迎えにきた」
どう考えても行かないわけにはいきませんよね。
ですが、馬車の中ではお互い終始無言です。
お茶会は侍女さんたちのおかげでなんとか会話が続くのですからそうなりますよね。
正装に身を包んだラウル様は格好いいですけど、遠くから眺めるものであって、横に立つものではないです。絶対に。
釣り合いもしないのにそばに立つのは辛いだけになるから。
ラウル様に連れられて会場に入ります。
いっそ冷ややかな視線であってくれと思うのは私だけなのでしょうか。
そうしたら、すぐにお譲りするのに。
私よりもラウル様に釣り合う方に――。
煌びやかな明かりの下、視線が一気に集まりますが、その視線は冷ややかでもなく妬みでもなく、暖かでとてもお似合いとでもいいたげです。
初めの頃にあった反感は半年も経たないうちに消え去り、みんな今じゃ私とラウル様の婚約に賛成しています。
むしろ、リリアーヌ様以外にラウル様の相手は務まらないとまで言われるようになりました。
当の本人たちは婚約を解消したいと思っているのに――。
パーティー中、ラウル様はほとんど私のそばを離れることなく社交をされていて、囲まれるのは苦手なので私としては助かっていますがそんな必要どこにもないというのに。
終わりの時間が近づき、ラウル様が家まで送ってくださいます。
ラウル様にお礼をいえば、当然のことと返され、まだ何かをいいたげにこちらを見るラウル様は結局何も言わずに馬車に乗り込みます。
その様子に何故か御者の方は必死に笑いをこらえているのか、肩を震わせていました。
何がおかしいのでしょうか。
なんかこう、取り持ちたくなりますな。by御者




