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高価そうな(実際に高価だ)ソファにドカッと座る第一王子のラウル様は、腹立たしげに足を組む。
「全く、父上も何を考えているんだ」
侍女さんの入れた適温のお茶を一気に飲み干すと乱暴にカップをソーサーに置いてラウル様は大きくため息をつかれると私の方に声をかけられます。
婚約者と言いつつ、恐れ多すぎて近くに座るなんてことは出来ないので侍女さんの横に並んで立っている私に。
「リリアーヌ、君はこっちに座るべきだろう」
「は、はい。そう、ですね」
言われたからには座らないわけにいきませんね。
わりといつものやりとりで、私は王子の向かいに着席します。
ソファがフカフカで落ち着きません。
婚約したのは6年ほど前のこと――。
12歳ごろですね。
私が聖女なんて本格的に騒がれ始めた頃の話です。
陛下直々に我が家にいらっしゃって婚約が成立。
しがない、いえ、歴史だけしかない落ちぶれ貴族の我が家が断れるはずもなく、両親は首を傾げながらも喜んでいました。
納得がいかないままなのは当の本人たちだけのようです。
月に一度、ラウル様と二人きりのお茶会が開かれるのですが、ラウル様はいつも怒っていて、正直どうしていいかわかりません。
かといって、怒っているのは私に対してではないようでむしろ、すまないと謝られてしまい、お互いどうしていいかわからず変な空気になるくらいなので、嫌われてはないようですが……。
ラウル様が怒っているのはお父様、つまり陛下に対してです。
私との婚約を解消して欲しいとラウル様はお願いをしているのですが、陛下は聞く耳を持たず理由も聞かずダメだの一点張りなのだそうです。
私としても、ラウル様と私では釣り合っていないので解消できるなら、その方がありがたいのですけどね。
温厚で優しい陛下がそうするのはなぜなのでしょう?
全く、ラウルは不器用すぎる。by陛下




