表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

スタイリッシュ妖怪もふもふ

作者: 偽ゴーストライター本人

 俺の名は、もふもふ。

 今は訳あって人間の家に居候しているが、実は未来の異世界からやってきたネコ型妖怪だ。

 俺の居候先には杉太という小学生の男の子がいるのだが、いまコイツはサッカーに夢中で、将来の夢はJリーガーになることらしい。

 俺はある時、杉太にこう言ってやった。

「よし・・・それなら俺が、未来の妖怪道具で杉太の夢を叶えてやろう」

 そして俺は自分のもふもふポケットから一本のドリンク剤を取り出した。

「素敵なドーピング薬~っ」

「あの・・・もふもふ? ・・・それは使っちゃいけない道具じゃないのかな?」

 と、杉太は心配そうな顔をしたが、俺はクール&スタイリッシュな妖怪なので逮捕されるようなヘマはしないのだった。

「心配するな・・・これは現代科学では検出されない薬なのだ」

「・・・・・・」

「それに杉太よ、日本にサッカーをやってる奴が何人いて、その中からプロになれるのが何人いるかわかってるのか? そもそも世の中は弱肉強食なんだぜ?」

「いや、でも・・・ドーピングはまずいでしょ」

「まあ聞け・・・この薬はあくまで夢を叶える手助けをする薬であって、本物のドーピングとは少し違う。自分がイメージした夢に向かって脳をよりよく働かせるための薬でな・・・例えるならダイエットを途中で投げ出さないための暗示・・・そういう類のものと思えばいい」

「やる気とか根性とか・・・そういうのを伸ばす薬ってこと?」

「そんな感じだな」

「・・・・・・」

 俺の説明を聞いた杉太はそのまましばらく考え込んだ。

 別に俺だって杉太のことを騙すつもりはないし、本当に杉太の夢を応援している。この薬は飲んだ人間の願いが強いほど効果も高くなるという、本物の妖怪道具なので体に害もない。

 しばらく考えてから杉太が言った。

「ごめん・・・やっぱり僕は遠慮しとくよ」

「なに?」

「もふもふの気持ちは嬉しいけど・・・なんていうのか・・・やっぱり何かが違うような気がする」

「・・・・・・」

 杉太が自分の意志でそう決めたのなら、俺にはそれ以上何も言うことはできななかった。

 ま、世の中にはRPGの高価なアイテムを嫌う人聞もいるし、わざわざ厳しい冬山登山に挑戦する人聞もいる。

 つまりはそういうことなのだろう。


     ★


 それから十年後、大学生になった杉太がサッカー部のレギュラーとなり、それで出場した全国大会で準優勝することになるのだが・・・う~ん・・・俺は色々な意味で複雑な気持ちになるのであった・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ