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 「あらあら、そんな地面に、お顔をお付けになられましたら、汚れてしまいますわよ」


 『どうか……どうか……娘だけは! 娘を連れて行くのだけは、お許し下さい』


  (わたくし)は今、1軒の潰れてしまった、雑貨屋に来ておりますの。

私の目の前と言うか、私の足元には、この雑貨屋の御主人が、芋虫のように、丸まり、這いつくばっておられますのよ。


 「あら、こちらの御息女を、そんなに取られたく無かったのでしたら、何故、あんな条件の借用書に、サインなされたのかしらね?」


 『そ……それは、そうするより他に道が無くて……』


 「何を、仰られますの? 御主人、貴方が、このような時代のニーズに合ってないお店に、執着なさったからでは御座いませんこと? 御息女を借金の型にするのが、お嫌でしたら、お店を諦めたら、よろしかっただけの事では、御座いませんこと?」


 私は、この足元に這いつくばる、虫けらに、そう言葉を投げ掛けた後、連れて来ていた供の者達に、手に持っていた、羽扇子を振り、さっさと娘を連れて行くよう、合図を出しましたの。


 「それでは、御主人、御約束の通りに、御息女を戴きまして、性奴隷として、娼館に売り払わせ戴きまして、その売値の方で、借金の御清算を、させて戴きますわね」


 此方の雑貨屋の御息女を、引き摺って歩く、供の者達の後に続き、私が、お店から出ようとしていた時ですわ、御主人が私に、おしゃられましたの。


 『この悪魔! 血も涙も無いのか!』


 私、その御言葉を聞きまして、御主人の耳元で、こう囁いてあげましたの。


 「実の娘を、借金が返せない場合は、売り飛ばすって書いてある、借用書に、目先の金に目が眩み、嬉々としてサインする奴の方が、悪魔で血も涙も無いんじゃねぇのか? こちとら、ちゃんと借用書に書いてある通りに、お前の娘で借金の補填してるだけだろ? 借りる時は、天使だ女神だの、ほざいてて、いざとなったら、悪魔か? お前、世の中ナメてんのか? 娘に申し訳無いなら、強盗でも何でもして、金作ってこい」


 あら、私とした事が、ついつい本性が出てしまいました、私もまだまだですわね。


 私の名前は、エリザベート・クリフォード。

クリフォード伯爵の娘ですの。

私、実は、転生者で御座いますの、前世では、地球と言う世界の日本と言うところで生きてきた、男性でしたのよ。


 ですから、私の言葉使いが、怪しくても、御容赦願えると、私、とても嬉しく思いますわ。


 私が新しい人生として、生まれ変わった先は、この国の貴族の娘でしたの。貴族の娘なら、一生安泰だと私も最初は喜んだのですけれど、この、クリフォード伯爵家、とてつもない借金まみれの家で御座いましたの。


 このままでは、没落して、私は、平民以下の生活を強いられる事に危惧致しましたので、日本で培った知識を使って、我が家の、借金を無くし、安泰な生活の為に、私が立ち上がった次第でありますの。


 私、必ず、我が家伯爵家を、黒字経営の貴族家にしてみせます事よ。


 雑貨屋の御息女を、娼館に、売り払って我が家に帰って来ましたの。あの御息女、素が良かったものですから、高値で売れましたわ。借金の額の、3倍ほどで。


 そして、私は、次の、お金儲けを実行に移す事にしましたの。


 「リチャード、リチャードは居ますか?」


 私の部屋から、ドアに向かい声を掛けますと、私付きの執事のリチャードが、部屋の中に入って来ましたの。


 「リチャード、この石と同じ物を、100個集めて下さらない?」


 そう言って、私がリチャードに見せた石は、この世界ならどこの川原に行っても落ちている、無価値なただ赤く光る石ですわ。


 『御嬢様、こちらの石は、無価値でどこの川原でも拾える、ただの石で御座いますが、こちらの石を100個で宜しいので?』


 「ええ、お願いするわね、リチャード、この石が、我が家に大金をもたらして下さるんですから」


 そう、リチャードに伝えて、羽扇子で口許を隠し、オホホホと笑ったのよ。


 

 




 

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