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11.
授業終了後、図書館に直行した。図書館の入口には、セキュリティゲートが設置されていた。慣れない手つきで学生証を通す。
意外にも図書館は混んでいた。試験期間が近いからだろうか。
図書館の検索用パソコンに、ドッペルゲンガーと打ち込んでみる。三件ヒットした。いずれもドッペルゲンガーを主題にした作品ではあるが、研究の題材として書かれたものではなさそうだ。
パソコンから離れると、エプロン姿の女性が図書を乗せたカートを押して書架に向うのが目に入った。首から図書館スタッフと書いたネームプレートを下げている。
「すみません」
女性は立ち止まり、こちらに顔を向けた。
「何でしょうか」
「ドッ……。いや。調べものをしているんですが、どうやって探したらいいかわからなくて」
「調べものでしたら、あちらのレファレンスカウンターでご相談ください」
女性は、二つあるカウンターの右側に手のひらを向けた。吊り看板にはレファレンスの文字が見える。
「ありがとうございます」




