先見商売人
「そういや……どうなの?屋台の方は?」
「ああ、そうですねそろそろ戻らないと、ついつい油売ってしまいました」
「名ばかりなんだからこっちを手伝ってくれてもいいんだぞ?」
「いやいや、あっちの方が面白いので……」
「はあ……休憩取る。その面白いっての見たい」
いない人の話から、準備の事に、話が戻るとプーシはふと思い出したよう、さも忙しい振りをして、書類の中から抜け出そうとする。シュトロボフの引き留める言葉には満面の笑みで答えてさっさと扉の方へ、にこやかに「それでは」と言葉を残して逃げていく。いつものことなのだが薄情な扱いに、大きくため息ついて、シュトロボフは部屋を抜け出す。
「これ運んでください!」
「あれはホールの方に!!お願いします」
「道開けてくださーい!通りまーす」
部屋を出ると騒がしく、バタバタとあっちへ、こっちへ人が行き交う。道を開けてと言われてしまえば、さっと壁際に張り付くようにして道を開ける。目の前を鳥類型の生物が入れられた檻が荷台に乗せられて運ばれていく。結成された初日、動き出した初動からこのギルドホールは活気づいていた。少し前までは、暗い顔しか見せなかったギルメンも、何事にも悲観的だったギルメンも眼に光が差し生き生きとしていた。
「これだけでもここまでなるか……」
騒がしい廊下を進みより騒がしいところへ。製産系とも呼ばれる部類のサブ職業を持つ冒険者が鋸や金づちを手に木材を加工していく。ただ元々がゲームと言うだけのことあり、中々あり得ない製作手順を見せてくれる。
「木材20お願いします」
「はーい……えっと、これでいいか?」
「ありがとうございます」
「おいっ、こっちに釘持ってる人ください!!」
木と木を釘で打ち付け形を作っていくギルメンの少年に頼まれて、空を操作してコマンドから、原木を木材へ加工する。その木材を受け取ればわ礼を言いつつ作業に再び取りかかる。別のところで声がかかれば今度は魔法鞄から釘を取り出す。そうしてる作業の一角ではもう一つ目の屋台の骨組みが組まれ、原型は出来上がっていた。
「早いでしょ……面白いし……」
「たしかになあ。手作りならコマンドと違い、味のある料理が出来るし、ああいうのはコマンド製作と手作業とを合わせれば簡単に作れるみたいだね。冒険者だから疲れ知らずだし」
「サブ職の木工職人や大工がこうやってものを産み出せて、料理人が手作りすれば味のある料理を作れて……そう考えると……?」
「なんか面白そうですよね……今後が」
どこからか先に部屋から出たプーシがシュトロボフのもとに戻ってくる。進む作業を眺めつつ、味のある料理の成功や屋台などを作る作業の方法、コマンド以外の製作方法に何かを見出だす二人。発起人のあの男にシュトロボフは笑う
「ギムレントさんはどこまで考えてるのだろうかね」
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