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セルデシア・インザ・リューリク  作者: 創手カケラ
ウラジオン
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舞台裏のお話

「フプフさん。これをお願いします。キキーラさんは肉をお願いします」

「はーい」

「分かりました」

ギルドホールの別室。大きめの厨房で大地が他の冒険者に指示を出しつつ二つのフライパンを交互に煽る。フプフとキキーラはそれぞれ頼まれたことをこなしていく。二人とも顔は生き生きとしていて、手際も悪くはない。

「レイシャンさん。これを運んでください」

「はいはい!!」

「大忙しですね……私も手伝いますか?大地」

料理を運び終え、運ぶワゴンを押して戻ってきた女の子に再び運んでもらうものを指差してお願いする。その彼女と入れ違いで様子を見に黒兵衛が満足そうな顔で、覗きにくる。

「あ、いえ。大丈夫ですよ?黒兵衛さんも味のある料理を楽しんでください」

「ふふ、本当は作る楽しみも味わいたいのだよ?」

「……では、シーの鍋を混ぜていただきますか?黒兵衛さんのサブ職なら問題ないと思うので」

「分かりました」

黒兵衛が腕捲りをして、大地に優しい笑顔を見せながらお願いすれば、鍋をひとつまかせる。鍋の中身は賽の目に刻まれた色んな野菜に肉の塊をぶつ切りにしたもの。それを黒兵衛はかき混ぜる。煽っていたひとつを大皿に移し、次の料理の用意をする。

「ですが、まさか味のある料理を作れるとは……」

「しかも、こうやって、普通に調理すれば良かったって」

「コマンドだけしか無理だと思ってましたからね」

黒兵衛や手伝ってる二人が、久しぶりの調理と味のあるのものに染々と言い出す。それに大地は次の料理の野菜を刻みつつ話始める。

「ザハルさんのお陰ですがね。後、サブ職とスキルが伴ってないと無理みたいですよ」

「料理人が最高で私みたいなランド・バトラーなど調理スキルのあるもの一定レベルまでは可能と言うことですね」

「そう言うことだと思います。一様ザハルも簡単な串焼き程度は出来ましたからね」

「なるほど」

この世界では、サブ職業に左右される。現実世界ならば誰でも料理が出来ただろうが、この世界ではやること対してそのスキルがないと必ず失敗する。料理ならば料理人や調理スキルのあるものしか調理は出来ない。黒兵衛は大地の話を聞き頷きながら鍋をゆっくりとかき混ぜていた。

「じゃあ、やっぱり他の人は無理なんですか?」

「聞くところ観たところ、そうですね。なので皆さんは黙っててくれますか?この事?」

「え?他の人に教えないですか?」

フプフの質問に大地は答え、この事を誰にも教えるないようにと言う。それにフプフは目を丸くて聞き返す。それに淡々と大地は答えていく。

「突然このようなものが出たらより食料の調達や狩り場の争いが起きますからね。PK倒すのに組んでいた彼らも倒すやつがいなければこの世界では、共闘することはもうないでしょうしね。それに商業系生産系のギルドは財にものを言わせた行動に出るかもしれません」

「そ、そうですか……」

冷たくも聞こえる大地の答えにフプフだけでなくキキーラも顔を曇らせて俯いてしまう。もちろん大地の言うことが分からないわけではないが、二人のなかでは後ろめたく思ってしまう。そんな二人に黒兵衛は優しく言葉をかける。

「いつまでも黙ってるわけではないですから、混乱が起きたらそれこそ、大変なことになるから大地は言ってるだけですよ。しばらくの間すいませんが、お願いしますね。ほら、次の料理を楽しみにしてる。方々が待ってますので作りますよ」

「あ、はい!そうですね」

「今は今できることをやりましょう」

大地はそんな黒兵衛を目を細目ため息を吐く。フプフとキキーラは曇ってた顔から少し明るくなり顔をあげて、任されたことをやり始める。

「あ、これはもういいですかな?」

「ん?あ、はい。ではなにかに移しましょうか」

優しい表情のまま黒兵衛は大地にも話しかけ指示を仰ぐ。大地は別の大きめの器を用意して移し変える。

「大地も今できることをお願いしますね」

「……了解しました」

黒兵衛が小さく呟いたことに少し微笑み、大地も答えた。暖かいシーはとても良い暖かいものになっていた。

大地は言葉が冷たい感じなのですが、黒兵衛はもっと冷たくなりますよ。

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