小さい彼
月明かりの中、一人いつもの外套に身を包み、寂しい町を歩くギムレント。手に持つ杖をくるりくるりと回して遊び、人迎えに廃墟へと向かう。目に入る人々は異様な殺気か、覇気がないか、そんなもの達があぶれている。聞こえる会話は諦めや怒りばかり、それを聞きながらギムレントは息を吐き哀れみの眼差しを向けるだけだった。
しばらく歩き指定された廃墟に到着する。神代と呼ばれる設定の現代は、ロシア正教の教会だったであろう廃墟。壊れた扉を避けてなかに入れる。天井の抜けた部分から雪が入り積っていて、瓦礫やあちこちに転がる。そして、崩れた十字架の前、説教をする教壇の上に座り、フードを被る小さい彼がいた。
「やっぱ、この世界では、小さいんだな?ツェトフェン」
「モデリングが小さいだけだよ。ギム……」
「ふふ、お迎えに上がりました」
小さい彼をツェトフェンと呼ぶと彼はフードを取り、黒と銀の髪と白く美しい肌で整った顔を見せ、冷たい目線を送る。そんな彼にギムレントは苦笑いを浮かべたが、跪き頭を下げて、かしずくように相手に話し掛ける。
「ああ、頼むよ。ギムレント……」
教壇から下りて、鼻で笑いながら答えを返す。ギムレントは立ち上がり、相手の歩みに合わせて歩き始める。廃墟の出口で再びツェトフェンはフードを被り直して、彼より先に廃墟から出ていく。
「して、ギム。話ってのはなんだ?」
「ん?バーにつく前に聞いちゃうの?」
「つまらんことなら帰りたいからな」
ギムレントが後を追い横につき、半歩先を歩み。そのギムレントにツェトフェンは面倒くさそうに用件を聞く。つまらんことならと言いながら欠伸をして、メモ帳らしきものを取り出して眺めながら返答を待っていた。ギムレントは一度星空を見上げ、ツェトフェンに本音を語る。
「情報がほしい……正直この状況に飽きてきたし、このつまらない状況をぶっ壊す方法を考えたくてね。だから、最後の頼みの綱、君に相談しようと思ってね」
「はっ……本当にできると思ってるのかよ……」
「思ってるよ。みんなを焚き付けれればとだけど……」
「代金は?」
「うーん……なにがいい?」
「見合ったものなら何でもいい」
相手の言うこと一瞬目線をやり、メモ帳を閉じる。聞けば無理と思えることでツェトフェンは口元が笑ってしまう。会話をしながら、半歩先を進みギムレントは道を案内する。先ほどとまた雰囲気が空気が変わっていき、静かになっていく。川の流れが聞こえ始めて、目的の店に到着する。扉を開ければなかに入ればマスターだけが待っていた。
「いらっしゃい……おや?昨日の方じゃないですか……」
「ここの雰囲気よくってね。どこでもいいかな?」
「ええ、どうぞ……」
マスターがギムレントを見ると昨日のと少し微笑む。ギムレントも挨拶程度に言葉を返してカウンターの隅の席に腰掛ける。ツェトフェンも隣に座りフードを取る。
「お客さん……」
「ガキじゃねえよマスター」
「失礼しました……」
「ふっ、して、ギムレント。話の続きをしようじゃないか……」
CV 朴ロ美さんかな?←
彼は成人済みで、二十代後半……ぐらいがいいかな?




