表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セルデシア・インザ・リューリク  作者: 創手カケラ
小さくても強く、小さくても怖い情報屋
54/94

報告

ギムレントはいつもの服に着替えず、執務室の椅子にどっかりと座り、机に並ぶメモ書きを眺めてる。顎の髭を触り目を細めて、じっと眺めていた。山積みの問題とほかの事……彼のなかでは考えることが多い。頭の後ろで両手を組み、目をつぶって唸るが良案も出ることはない。そうしているとドアをノックする音がした。

「はい?どうぞ?」

「失礼します」

目を開けてちゃんと座り直し、ノックに答えれば、ガランとジーフェンが入ってくる。ギムレントはメモ書きを軽く寄せて机を少し寄せる。

「何か新しい情報あったか?」

「新しい情報は薄いですね……戦闘系が本腰いれ始めたということで、PK連中がやっと小さくなってきたって話ぐらいですかね僕は……ガランの方はどうだい?エレーナって娘を連れ込むぐらいだし」

「まだそれ言う?ジーフェンも?」

PKが小さくなって来ている。喜ぶべきであるが、その分大手が幅を効かすのは良いものか。安定するのなら良いがある種、安定するほど自由の幅が同じく小さくなるとも言える。眉をの間にシワを少し寄せてしまう。その報告を終えると少しにやけ顔でジーフェンはガランに話を振る。ガランは散々いじられたネタを、エレーナのことを言われて、ため息を漏らす。そして、ガランは姿勢を直し報告を始める。

「町中の方がひどいかもっすね。彼女のほかにも居たんっすけど明らかにヤバそうな連中が女を檻に押し込んで何処かに連れていこうとしてて」

「はぁ……そうか……」

それが人、人間とも言えるとギムレントは思う。金蛙商の主の言うことを思いだし天井をまた見上げる。PKの出来ない捌け口にこっちに向いたのか……悪い方には転がり続け、普通ならばありなかった冒険者()の蛮行。いや、普通とは本当に普通だったのかとも思えてくるところかもしれない。ギムレントが悪く深く考えるなか、ガランは続きを話はじめた。

「ただ、それを許さない人たちもちゃんといて、中小ギルドの方々でしたけど彼女らによって解放されたっすね」

「中小ギルドの彼女ら?」

「はい。アーニャって人なんすけど……あ、でこれをギルマスさんにって渡されたっす」

「ん?手紙か……」

「中小ギルドもこのままだといけないって集まってるみたいっすよ」

「ふむ……」

手紙を眺めながら、話を聞く。大手とばかり話していたが中小ギルドもこの世界で生きるため頑張っていることを改めて気づく自分に少し呆れる。呆れて笑った。

「ふっ……じゃあ、中身は確認しておくよ。ただガランにすべて一任していいか?」

「ガランにですか?」

「俺にっすか?」

二人はギムレントの提案にきょとんとして聞き返す。ギムレントは手紙を机に置き、二人を見ながら返し腕を組む。

「そう、色々忙しいからさ」

「けどガランに勤まるのですか?」

「勤まるだろ?なあ?」

「いや、まあ……ですけどなんで俺っすか?」

「うん?この案件持ち込んだのガランだし、少しは責任を持たせようかとね」

ジーフェンの問いに軽く答えた。その話をそのままガランに振り、振られたガランはなぜ俺かと訪ね返してくれば、また答えとてもよい笑顔を見せる。二人は苦笑いを浮かべつつもギムレントの提案を否定することもなく聞いていた。

「あ、それから、エレーナちゃんのことも任せるよ。自由に出入りしてもらっても構わんし寝床も開いてる部屋かしてあげてもいいしさ」

「は、はぁ……わかりました」

ガランは了承する。めんどくさいことになったと言う風な顔を見せ頭をかく。隣のジーフェンが少し口許を揺るませてガランを横目で見る。その目は少し羨ましそうにも見えた。そしてギムレントはふと思い付いたように話を繋いでよい笑顔でガランに提案する。

「あ、ガランと一緒の部屋でも……」

「社長!!」

二人は笑い、一人は顔を赤くする。ギムレントは優しい目を見せ二人を見る。

「あいつに連絡するか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ