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セルデシア・インザ・リューリク  作者: 創手カケラ
小さくても強く、小さくても怖い情報屋
51/94

本音

手を出して、ロンファオに預けた煙管を受け取り、吸い口を咥えてふかす。そして、ギムレント達を見下すように見据えて紫煙と共に言葉を吐く。

「当たり前じゃない?この世界他者より己が大事じゃない?他者グループより自分のグループでしょ?そのなかでそんな勝手なお願いされてもねえ?それがギムレント様でもねえ?理想だ正義だと言葉で言うことになんの力があったかしら?」

見下したその目のまま口元を緩ませて微笑み小首をかしげる。煙管から上がる紫煙が部屋にこもって、ギムレント達を包む。彼女が言うこの世界。その中では理想など無意味で、言葉など無力。己や己の仲間以外は小事であり、他人などどうでもよいと吐き紡ぐ。それをこの世界の正論と言う風に紡ぎ並べて彼女は笑った。そして、ゆっくりと煙管をまた吸いふかし、紫煙を一筋吹き出して再び言葉を続けた。

「ふふっ、そうね……ギムレント様がこの世界をどうこうできるなら……考えましょう?出来るものなら?普通だったルールが無くなり無法が法の世界ですからねえ……ギムレント様?」

ギムレントの目を見て小首を傾げて笑う。シュトロボフはその様子に顔を曇らせてどこか遠くを見ている。そんなの出来っこないと諦めが目に写る。ギムレントは目を閉じて俯く。その様子に、ロンファオは少し笑った。

「話はそれだけ?なら、こちらもこれだけ……いいかしら?」

「ああ、これだけだ……すまなかったな。メイシェン」

「ええ、本当に……今度はもっといい話を持ってきてくださいね」

「今度はな。では失礼する……」

「お邪魔しました……」

「ふふっ、じゃあねえ。ロンファオお見送りを……」

「はい……主」

突き放すようにメイシェンは言い、ギムレントは謝り言葉を返した。それに彼女はにこやかに言葉を重ねる。ギムレントの表情は彼女の言葉に暗くなることはなかったが、席を立ち静かに頭を下げ、無表情で今度はと続ける。同じく席を立ったシュトロボフが挨拶を終えれば、彼女は二人を送るようロンファオに言い、三人が扉から出ていく姿を彼女はその場で手を振った。

「ふぅ……ギムレントも無理な相談を振るのはやめてほしいですねえ……いくら我らが主が温厚とはいえ」

「まあ、ロンの方が血の気は多そうだしね」

「ちょ、ギムレントさん!?」

「ふっ、本当に貴方は……」

ロンファオの言葉を流し、血の気の多さはロンファオの方がとヤル気ない風で間髪いれず言う。シュトロボフは帰りたくて仕方なく、ギムレントに泣きたくなっているよう。ロンファオはため息を吐き、笑うが目付きは恐ろしく冷たくなっていた。一番最初のエントランスに付けば、リンが何かを持って待っていた。

「お客様に……こちらを……主からの贈り物です」

「ん?私らにか?」

「はい、果物とそのまま食べれる野菜です」

「おお、ありがとうございます。リンさん」

「いえ、主に礼を……」

持っていたものは沢山の果物や野菜の入った荷物。冒険者だからか、華奢に見えても彼女だからかかなりの量が入ったものを持っていて持てばずしりと重みが伝わる。素直に礼を言うシュトロボフにリンはドライに答えるが一番表情が明るく見えたように思える。そうしてるとロンファオが割り込み二人に言葉を残す。

「では、もういいですかな?お二共に……?」

「ん?」

「あ、はい……」

「無下にはしませんが、また同じようなことでしたら……分かりますね?」

ロンファオの笑顔はとても冷たかった。シュトロボフは素直にさらに答え、ギムレントはヤル気ない死んだ目で返事を返す。そうして、二人は金蛙商から、出ていく。

「はぁ……いいとこなんだかこわいんだか……もう嫌ですよ?僕は……」

「ふっ、たく……これでへばってたら大きくなれんぞ……」

ギムレントに悪態つくシュトロボフに、目を細めて逆に文句をつけるように言う。渡された荷物をマジックバックに押し込んでとぼとぼと二人はギルド会館の方へ向かっていた。

まあ、本音は皆こうですよね?けど、その結果がより悪くなるって分からないのもまた人間なんでしょうね?アキバはそれを再確認して啖呵切りましたけどもw


ギムレントももう少ししたら独善といいやりはじめるでしょう。

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