絶望の町・ハバローフ上
ロシアサーバーの拠点になる町の数はいくつだろうね。単純に考えたらヤマトサーバーで5つ。単純にの何倍の面積と考えて配置すると……なんですけどね
森を抜けたどり着いたのは開かれた門。門を守るように鎮座するのは二頭の獅子ではなく二頭の虎の彫刻。ここは現実ではロシア連邦の東、極東の都市・ハバロフスクに位置する。エルダーテイルでは、プレイヤーの拠点となる冒険者の町・ハバローフ。門は立派で町を取り囲む高く大きな城壁は要塞のようである。ただ修復がされてないのか朽ちてる部分が多い。開かれた門を潜り、町に入る三人。鎧姿の守護戦士・ガラン、双剣の盗剣士・ジーフェン、そしてローブに身を包む魔法使い風の・ギムレント。今後をどうするかもままならないはずなのだが、ギムレントはこんな状況にあって、段々どこか気分が高揚していた。この世界に楽しさを刺激を感じていた。
「にしても……こう見るとすごいっすね……この世界」
「そうだね。元の世界が滅んで始まった世界だったかな?設定はわね」
ガランの言う通り、なかなかすごい光景である。ギムレントの知る設定では現代を神代と呼び、その神代が崩壊した後の世界がエルダーテイル世界となっている。設定に詳しく書かれてないが戦争か災害か現代社会は終焉を迎えたらしい。ゲーム時代の設定がそう言うものなのでプレイ中に見た背景には、現代社会の建物が朽ちた姿で鎮座し、見受けられた。だだ、その設定のゲームの世界に今自分達が入り込み。それをリアルとして見るとは誰も思わなかっただろう。この土地もそう言ったものが、物体として立ち並ぶ。高層ビル、ロシアでよく観るの玉ねぎ屋根の教会、集合住宅などなど。それらは苔生し、草木が茂り、雪や氷が覆っている。この世界の光景が、あのゲームの設定が、現実世界で本当に起きたのではと頭の片隅浮かぶ。気持ち高ぶってたギムレントだったがそう思うと怖くはなる。現実に現代社会が崩壊したのではと。
ただそこでジーフェンが何のことなく言った。
「まあ、と言っても現実の延長線でないですよ。この格好みても」
「……そうっすね」
「ジーフェンの言う通り確かにな」
(としても……何のための世界なんだろうなここは……)
ジーフェンは自分の服装を見て、誰に言うでもなくそう言った。ガランもギムレント本人も自分の格好を見てふと笑う。まだ本当にどうなっているのか不安がまだ残るがほとんど笑ってしまったことでなくなってしまう。ゲーム時代の自分が作ったキャラクターの姿。宙触れればメニュー画面が出る。現実の世界の延長ならあり得るだろうかと笑った。ここはやはり現実の世界とはまた違うゲームが元の世界なのだろうと皆は考えた。門から続く大通りを進み、朽ちた人工物の立ち並ぶのを眺めながら、ハバローフの中心部へと三人は足を向ける。雪積もった道に足跡が増えていく。中心部に近付き、朽ちた人工物と違う屋台や建物が増えるただ、それらが増えるにつれ、色々な声も増えてきた。ただ全て、怒鳴り声、嘆く声、泣き声、……ギムレント達と同じ境遇であろう者達の声が沸き上がり、渦巻き不安が不安を煽り焦り、恐怖が増幅されていた。
「どうなってんだよおい……」
「ログアウトできねえぞ畜生」
「何でこんなことに……なんでなのよ!!」
「誰かどうにかしてよ!!」
「うっせえぞ!!お前ら!!」
「こいつは……酷いっすね……」
「まあ、普通はこうなるよな」
この世界から出れず、町の外にはモンスターが存在し、死ねばどうなるかも分からない。そしてこの世界から出るために何をしていいか分からず、なんの情報もなんの説明もなく、この世界に放り込まれた者達。少し前までパソコンの前だったはずが、こんな世界にいるのだから無理もない。
「けど、騒いだからってどうこうなるっすかね?」
「うーん……普通はこう言う反応だろうな。普通は」
「じゃあ、俺らは変人?ですか?」
「ジーフェン。こう言うときはカッコつけたこと言わない?変人ってそれはないよ。うん」
三人は嘆く周りを横目で見ながらも深く気にする様子もなく先を進む。嘆いて変わるなら、そうするだろう。だが嘆いて変わるなどあり得ない。ならば待つより動く。動いていれば何か分かるかもしれない。ただそれだけの単純な理由だが、三人の中ではそれだけで十分であった。そして、今優先されるのは情報の収集と仲間との合流である。
書き直し三つ目となります。
少しずつ読み直してくださってる方。ありがとうございます☆なるべく早く書き直しを終わらしますので……よろしくお願い致します。