魔法の鞄
「では、テオ君とマルタちゃんの荷馬車の荷物から使えるの整理しますか」
「え、けどどうやって運ぶ……」
「ああ、それは心配しないで、これとかは……」
四人で荷馬車で必要な残ってるものを集める。薬や道具、マルタのだろうか、お人形やおもちゃなどもある。幼い様子のマルタとそれを面倒見て荷馬車でハバローフを目指してたと言う兄・テオ。テオもまだまだ子供だが、面倒を見て良くやっていると思うところ。父母のことを聞きたいところだが……二人だけで移動してたのだからそう言うことなのかもしれない。
「結構ありますけど……」
「大丈夫だって、俺ら冒険者には秘密道具あるから……」
「秘密……道具?」
そう言いザハルが見せたの何の変哲のない腰に着けてる鞄。テオとマルタは首をかしげて不思議そうに見ていた。その様子にザハルは悪戯坊主がするような笑顔を見せて薬の瓶を手に取る。
「うんじゃあ、見ててねこれをこれに、これも、あれも……」
「え?ええ?」
「おにいさんすごーい!!」
ザハルは薬の瓶を入れる。鞄は大きさに変わりないが確実になかに入ってる。そして他のものを次々に押し込んでいく。鞄に消えるアイテムにテオは仰天しマルタは楽しそうに見ていた。その様子が面白いのかザハルは荷馬車から集めた道具類を全て自分の鞄に入れてしまう。テオとマルタは先程と違い大分明るい表情を見せそれを嬉しそうに笑うザハル。三人の様子に大地も安心した様子で見詰めていた。
「ザハルさんこれって、ちゃんと取り出せるんですか?」
「ああ、もちろん。ほら」
「冒険者さんはすごいな……」
テオはアイテムが入っていく鞄を見つめて、ちゃんと取り出せるか不安になりザハルを見ながら質問する。ザハルはまた笑顔を見せて、ちゃんと取り出せるのを見せる。
「その鞄はダザネックの?」
「ん?いや?トカロフの魔法の鞄だが?」
「そうですか……」
(土地土地で作る人は違うんだな?やはり)
日本サーバーでは45レベル以上で受けれるクエストで、手に入る魔法の鞄・ダザネックの魔法の鞄。こちらでは呼ばれかたが違うようで、内容も少し違うのだろうか。そう思いつつ、再びテオたちを見た二人の目は宝石のようにキラキラと輝いてより子供らしい表情を見せていた。
「ふふっ、あ、これから動物にそれぞれ乗りますが……マルタちゃんはザハルと一緒にテオ君は私とで良いですか?」
「……あ、はい!大丈夫ですよ」
「えー……マルタ、お兄ちゃんと一緒が……」
「マルタわがまま言わないの」
「うー、はーい……」
思わず笑ってしまうが、次の話を説明する。テオ達はザハルの手品じみたそれに見いっていたが我に返り。テオは返事をする。マルタは兄と別れるのが嫌なようだがテオに諭されて渋々嫌そうだが了承する。二人の様子に大地は口元少し緩ましてしまう。
「では、残りのアイテムしまったら、発ちましょう。ザハルはマルタちゃんの荷物もしまってあげてください」
「はいよー、あ、お人形もおとしたら大変だからしまおうな」
「むー……」
「マルタ!」
マルタの人形がザハルの鞄に消えていく。それに口を膨らますマルタにザハルは困り顔を見せるが、テオがマルタの名前を呼んで叱る。頬を膨らましてるが文句を言わず静かにしてる。
「テオ君のはこれだけかな?」
「あ、はい……ありがとうございます。自分達の荷物なのに……」
「気にしなくて大丈夫ですよ……」
(正直……大人の我が儘に付き合ってくれたのだからな……この子達は偉いよ……)
出来た子は苦労が多いからそうなる。どこの世界もおんなじで、どこの世界も優しくはないようだ。荷物を入れ終わるとその鞄から小さな角とも牙とも見える笛と小さな貝笛を取り出す。
火薬って作っていいかな?




