目指すはウラジオン
大地とギムレントは場所を移し、ギルドマスターの執務室で会話を続けてる。
「大任の内容はなんですか?」
「ウラジオンに向かってほしい」
「ウラジオン……黒兵衛さんに何かあったのですか?」
「いや、黒兵衛はPKに出くわしたからって負けることないし、今は新人達以外にも同じ考えの人が集まったらしいからね。あるギルドも力を貸してくれてるらしい」
「では、なぜ私が向こうに?」
味のしないお茶を飲みながら大任の内容を聞く。ギムレントの言う大任は、黒兵衛がいるもうひとつの冒険者の町・ウラジオンに向かってほしいと言うもの。ただ聞くところによるとウラジオンにいる黒兵衛が困ってる様子もなく、増援の必要性もなく思える。
「うん、今回の目的、都市間移動は可能なのか?ってとこだな。ほら都市間トランス?使えないんだろ?見に行ってないけどよ」
「ふむ……で都市間を徒歩や馬で行けるかどうか?やってほしいと?」
「そう言うこと、大地にしか任せられない仕事だよ……」
「まあ、確かに……分かりました。引き受けましょう。して?出発は?」
「今すぐ……」
大地は承諾して、お茶を飲む。ただ出発が今すぐとなると顔が一瞬曇り、眼鏡を直してギムレントを見る。
「皆にはなんと?特に葵には?」
「まあ、俺ら冒険者、良くも悪くも死ねないからだだからなあ。それに理由が黒兵衛が救援を求めたとでも言っておくよ。調度空いてたのが君だけだったってことで」
「分かりました……では、葵のストッパー役お願いしますね」
「うーん……それはカリンにお願いするよ」
皆、特に葵のことを気にしてるようであるが、ギムレントはどうにかすると言う。正直ギムレントの言う通り。冒険者の体、その存在、そして大地の能力からして、心配することはあまりない。それに黒兵衛からの救援と言えば聞き入れるだろう。そう簡単に言う。その簡単に言うギムレントに大地は笑顔で葵の面倒をお願いする。それに対してはギムレントは目線をそらしカリンに丸投げする気である。
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「くしゅん」
「風邪ですか?カリンさん」
「うーん………どうだろ?」
「あー、多分カリンのこと噂した人がいるんだよ」
「いや、それもないと思いますよ。葵さん」
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「では……これからウラジオンに向かいましょうか」
「あ、それからもうひとつお願いがある。なるべく平地を安全なルートを頼むよ時間がかかってもいいから、この地図にそのルートを書き込んでくれ。連絡は随時頼むよ」
ギムレントが思い出したように引き出しから地図を出す地図には、【ヴァンストロバ帝国領地図】と書かれていて各都市の大まかな位置と簡単な地形しか書かれていないものである。それを大地に渡しもうひとつお願いする。
「分かりましたでは、準備出来次第出ます」
「ああ、頼んだ。連絡は可能なときに寄越してくれ」
「了解です。では失礼します」
大地は執務室を出ていく。ギムレントはその後ろ姿に手を振りドアが閉まれば、一呼吸おき味のしない茶を飲む。それからギルドメンバーのリストを開き誰かに念話を繋ぎ始める。
調べてみたらハバローフ(ハバロフスク)~ウラジオン(ウラジオストク)間はアキバ~ススキノ間より距離が短いですよ。




