無味に味を下
そう、ただ同じことをやってても誰かが助けてくれるとも限らんしな……それに、お前らだって嫌だろ?やることないのは?アコニトちゃんだって嫌だろ?同じことやってるだけじゃ?」
今後のこと……今後もこの世界で暮らすであろう状況で同じことを繰り返すだけ、もしくはただ目的ない状況は毒である。ギムレントは現実での人生経験からそれをよく知っている。
「え!?あ、はい……食事も美味しいもの……」
「ああ!!そうっすね!!ご飯は美味しいものがいい!!」
「ガランくん。今アコニトちゃんに聞いてるのであって割り込んで発言するのは大人としてどうかと思いますよ?ねえ」
「あ、すんません……」
聞かれたことにアコニトは答えようとしたが、アコニトが意見を持っていくガラン。ガランに皆が苦笑いを浮かべる。そのガランに珍しく冷たい目と声で語り、素晴らしい笑顔でトドメを刺す。ガランは身を縮めて謝り大人しくなる。
「よろしい。けどアコニトちゃんの言おうとしたことそれを割り込んでガランが言ったことは考えんとな……よし、味のある料理を作ることを目標としますか。いいかな?」
「賛成。おっしゃる通りやることもないですし」
「ういっす。そろそろうまいもん食いたい」
「はい。そのためには材料集めないと」
「賛成です。言い出しっぺですし、頑張ります」
「スープカレーとか食べたいな。久しぶりに。私も頑張っちゃうよ」
「葵が頑張るとろくなことないですけどね……まあ、それが出来れば、ガランや葵の嘆きを聞かなくてすみますからね」
皆、賛成の意で答え表情は明るい。ギムレントは表情を緩ます。良く良く思えば、この世界が現実になってからも、何だかんだ言いつつも、ついてきてくれる彼らには感謝をしなければならないのかもしれない。
「よし、じゃあカリンとアコニト、それから葵は、材料集め」
「はい、じゃあいきますかアコちゃん、葵さん」
「ガランとフェンは野性動物狩って素材アイテム集めな」
「了解っす」
大地以外に指示を出してそれぞれ、行動に移す。女子三人は会話をしながらホールから出ていき、コンビは装備品を取りに一度自室へ向かう。再び椅子に腰かけて天井を眺める。ギムレントは思うところは皆、無茶や無理に着いてきてくれたものだと言うこと。PK狩りなんか逆に殺られるかもしれないのに独善にも着いてきてくれる。イワンの言葉がまた浮かぶ。
「俺も少し改めないとな……言動とか……皆より歳上だしな」
「ギムレントがそんなことを改めたら、皆の方が困りますよ」
「そうかい?」
思わず口をついて出たことに大地は、眼鏡を直しながら勝手に答える。その答えを聞いて大地に少し笑いながら訪ねた。大地は口許を少し緩ませギムレントに向き直る。
「ギルドの規模や名で入ったものも多いでしょうが残ったものは少なからずあなたの存在があるからだと思います。あなたが作ったギルドあなたが作った雰囲気で長く続いたのだと思います。特に今幹部をしている人たちはね。そのあなたが変わったら?みんな困ってしまうと思いますよ?逆に離れるだろう」
大地の言うこと……実際いろんな人が入ってきたが残ったものは確かにそんなもの達だった。勿論自分だけでなく、大地やカリン、黒兵衛などを慕って残ったものもいる。いやそっちの方が多いだろうとギムレントは思う。だが、振り返れば皆ギムレントの無理に、文句をいいながらも笑いながらも、皆楽しそうだった。嫌々やってるものは誰一人いなかった。ギムレントは言われた言葉に笑ってしまう。
「ははは……なら年相応より今までの方が良いか……歳下だが、大地には敵わんな」
「そうですか?私はあなたに勝ったことは一度もないと思ってますがね?」
二人はお互いを敵わないと言い笑ってしまう。そして、大地は思い出したようにギムレントに質問する。
「して、私はなんの指示も受けてませんが?」
「ああ、大地には大任を任そうと思ってね」
「大任ですか?」
ギムレントは大地に大任を任すと言い口許を緩ます。その様子に大地は眼鏡を直し聞き返す。




