世界規模
「あ、そうだ。ログアウト出来ないの?これ?」
ギムレントが閃いたように人指し指を立てて、二人に言うが、とてつもなく残念そうな顔を見せ、首を左右に振った。立てられた人差し指は力なく下を向く。
「ログアウトの表示はあるっすけど反応しません」
「はあ、そう……」
「俺ら町にいたんですが、気づくとこの騒ぎで、フレンドリストから社長の元へ」
「大変だったんすよ。フィールドマップ表示されないし」
「はは、ゲームであってゲームじゃないってか?」
ロシアサーバーに来てから自由行動で、ガランとジーフェンは町にいたらしい。聞く感じからして騒ぎは酷いものなのが分かる。フレンドリストなどのゲームの仕様も残ってるがフィールドマップは表示されないらしい。ログアウトも出来ない。ギムレントは顔をしかめる。
「はぁ……残りのメンツも探さんとな……ああ、そうだそうだ確認してみようか」
「何をです?」
「俺らだけなのかこのサーバーだけなのか?それとも……おお、ホントに表示されるな」
会話の合間に宙を触れてみる。触れれば文字や記号などが現れ目の前に広がる。ゲーム時代から馴染みのあるメニュー画面だ。そして、ジーフェンに訪ねられたことに返事をしながら、ギムレントは確認したいことを試してみる。っと、その前に片隅のログアウトの文字を触れてみるが言われる通り拒否された。
「フレンドリストは……一緒に来た皆は表示されてて、ヤマトサーバーの皆はいないことになってんな……」
「あー、本当ですね。皆LOG-OFFっすね」
フレンドリスト触れて選択する。リストが表示され、スクロールしていく。明るく表示される名前にはLOG-INと表記される。だがメインで活動している。日本の通称ヤマトサーバーのプレイヤー名は軒並みLOG-OFFと表示されている。ガランも確認してるが彼のフレンドも同じ様子だった。
「社長、ギルドメンバーのリストですと表示されますよ。かなりINしてますね……」
ジーフェンは彼らと別にギルドからギルドメンバーリスト確認したらしい。そこにはフレンドリストと違いLOG-INと表示され名前がかなり表示されていた。ギムレントもそれを確認し正直苦笑いを浮かべるしかなかった。
「ああ、そっちか!えっと……GWだからな。かなり居たか。よし蒼君かな……よしと」
「繋がるんすか?」
「エルダーテイルの仕様だからねならねえ……あ、もしもし?蒼君?そっちは大丈夫?なんか変な風に……あ、そうっ、やっぱりそっちも?え?あー……あいつらか……」
ギルドメンバーリストから蒼と呼ぶ相手に念話を繋いでみた。暫くして成功したのか話始めた。回りには内容が聞こえていないが、ギムレントの反応からしてヤマトの状況もこちらと変わらない様子なのが分かる。
「うん?こっち?まだそう言う騒ぎは起きてないし、一様ガランとジーフェンと合流したよ。後四人探さないとだけど。うん、どうにかするさ。まあー、そっちは、あれだな現状死んだらどうなるかわからないけど……全員で移動可能なら、早々にアキバやシブヤに向けて大移動を……うんうん、あ、そうか。……うん、大丈夫、蒼君達なら新人死なさなければ、どうにかなるだろう?よろしく……情報は逐一貰えるとありがたい。うん……分かった分かった必ずそっちに行くから……私が不在の間頼むよ。五加にもよろしく言っといて……じゃあな……」
念話が終わり、ギムレントの表情は曇りため息をつき、背を丸める。その様子にガランが声をかけ、ギムレントは体を起こして頭を掻きながら答えた。
「どうだったんすか?」
「うーん……ヤマトも同じ状況。都市間トランスポートゲートは
機能してないと言うからこっちもダメだろうね。フェアリーリングを使おうにもどこに飛ぶか確認しようがないから無理だし……」
「まじっすか」
「同じ状況で、トランスポートゲートも使えない。……ススキノでそれってヤバくないですか?」
ギムレントの話にガランも頭を掻く。ジーフェンは話に一呼吸置き考えればふと思いギムレントに言う。言うことにギムレントは頷き続きを話す。
「察しがいいねジーフェン君。そうだよ。あの不良ギルドがもう暴れてるんだってさヴリガンディアがススキノで。我々のホームで……帰ったら締め上げないと……ただフォール君達上級から中級達はいいのだが新人も多かったからね。守らないといかん。残念だがススキノ放棄するしかないだろうね。まあ俺が言わずともそのつもりだったらしく、移動の用意を進めてたらしいけども」
「ヴリガンディアめ……戻ったら叩き潰さねえとな。たく」
「ですね。アイツは何回殺るか……」
話に上がったヴリガンディアと言うギルドにガランとジーフェンは殺気立つ。そのヴリガンディアから、新人を守るのと逃れるためヤマトのギルドメンバーは、蒼を中心にしてススキノを放棄するらしい。そんな事態にしたヴリガンディアを潰すのに二人は怒りを露にする。
「まあ、戻ったらね。容赦なくやりましょう。今はそれよりも一緒に来た残りのメンバー探すぞ?我らが盾の守護戦士・ガラン、最速の盗剣士・ジーフェン。まずは町からだ」
「了解っす。社長」
「了解。ギムレント社長」
ギムレントは腰掛けてた石から立ち上がり殺気立つ二人に声をかける。ギムレントもヴリガンディアを潰す気満々だが一緒に来たメンバーを探さねばと。二人も殺気を一度納めギムレントに返事をした。
「うーん社長と呼ぶのはやめてほしいなこの際」
「え?なんでです?」
「社長は社長ですし?」
「なんかさー、毎度俺だけ現実の役職で呼ばれんのもな」
ゆっくりと歩き出す。二人のギムレントの呼び方に今になって文句を言い始め、二人はきょとんとしながら着いていく。舞落ちていた雪は止み、雲の切れ間から、光が差し始めていた。
「兎に角頻繁に社長と呼ばないで」
「へーい。社長」
2000字超えになるのは、スマート化出来んだけでごわす。
ススキノ周辺の建築物は残ってるのかな?時計台とか?札幌ドームとか?ニトリ文化ホールとか?