明けぬ夢
「んー……はぁ……今日もエルダーテイルだね……」
年寄りだからか一番最初に目を覚ましたのはギムレント。ハバローフのギルド会館。ギルド・カムイワッカの森が所有するギルドホールの一室。ギルドマスターであるギムレントの部屋は、クラシックな調度品でまとめられ、落ち着いた空間になっている。窓の外は勿論エルダーテイルの世界・セルデシアの風景。倒壊したビルなど建物。雪と木に覆われた自然。そしてこの世界の住人たちの小さな人家や商店。この世界が現実になり、朝を迎えて眺めるたび夢ではないと教えてくれる風景である。
「まあ、これで夢だった怖いか」
いつもの服に着替えて、部屋を出る。廊下はギムレントの部屋とは違い明るい色の壁紙と明かりの強い光源が廊下を照らしてる。その廊下を進み一番奥の倉庫に向かい、中にはいる。
「こんなことになるとは思ってなかったからなあ……ものをもっと買っとけばよかったか……薬品とかいざってとき使うけど……食料品は……仕方ないか」
倉庫の中は、寂しいものであまり物はなく、ゲーム時代の頃の必要最低限のものとその後現在の状況になってから、かき集めた食料品の素材アイテム、すぐ食べれるものから、現状悲しい食べ物にしないと食べれない物まで、ただ買い占め競争のせいで量は少なく心もとない。
「ガランは盗み食いしてないかな……」
食料品をチェックして回り、数が減ってないのを確認する。今となっては味のある食料は貴重品である。諦めて味なし料理を食べるものもいるが、やはり、元いた世界の味のあるものに慣れている冒険者は食べ物に味がほしい。大手ギルドなどは買い占めを、他のものは時に、強奪や略奪までして味のある食料を求めている。
「ん……問題なしと……皆さん起きるまで外でも回りますかね……」
倉庫の確認を終わり、倉庫を後にして、ギルドホールからも出ていく。町は落ち着きつつあるが、冒険者達は非道に走ったり、今だ現実を受け止めずにいたりと無惨な有り様である。
(ホント……人とは簡単に落ちぶれるものだな……)
死んでる目のものを横目で見つつ市場の方に向かう。大地人の商人は冒険者を恐れながらも品物を並べゲーム時代と変わらず商売をしている。いや、ゲーム時代では分からなかった彼らの生活、感情や表情が分かり、彼らが人であることを理解することが出来た。
「それと……あれももらおう」
「はいまいど」
三日ぐらい前から、顔を出すようになったある商店。品揃えはそれなりだが、簡単なものなら頼べば次の日には揃えておいてくれる。人当たりもよく、また冒険者だからといって引くこともない。正直この状況でそれができる彼はすごいと思う。
「しかし、冒険者相手は大変だろうご主人」
「いやいや、そんなことは……優しい方もいらっしゃいますし、前に手伝ってくれた方や助けてくれた方も、大地人にも悪い人もいい人もいますから、それと同じですよ」
彼を見てると冒険者はなんなのかと思ってしまう。数日前まで、彼らは心のないデータと思っていた。我々だけ感情あると思っていた。だが今は彼らの方が今は感情がある。人らしくこの世界で生活をしている。言われる言葉に笑ってしまう。今はいい人、悪い人はどうなのか……ギムレントは寂しい目をする。
「そうですか……では、ありがとうございました。またよろしくお願いします」
「はい、こちらこそまたお願いします」
店を後にして、再び歩き出す。この町の冒険者はいつまでこの状況を続けるのだろうか。またはさらに悪化させてしまうのだろうか。ギムレントはため息を一つつき顔を出し始めた今日の陽を見つめた。
はい、やっと加筆や修正がここまで来ました。細部の内容変わっていますが楽しめてますか?
ロシアサーバー書いててほんと楽しいです




