輸送手段
シャル「実は、先ほどの戦闘の前に、私は一人でフィーリオンの操縦を試みましたが、動きませんでした。
つまり、今のところ、操縦席にカイがいなければフィーリオンは動かないということです」
カイ「なるほど」
シャル「おそらく、奪われた時のための起動防止機能ではないかと思います」
ミネルヴァ「では、その機能を解除すれば、私も……」
シャル「おそらく、ですが」
ミネルヴァは嬉しそうだ。
カイ「ところで、どうやって首都に行くんだ? 1000km以上あるぞ。まさか、歩いて行くとか言わないよな?」
シャル「そうですね……」
ミネルヴァ「運搬方法は、高速鉄道、高速道路、輸送航空機、地下航空機などが考えられます」
カイ「速度的には輸送航空機か?」
シャル「いずれにしても、一度、最寄りの都市まで移動する必要がありますね」
ミネルヴァ「それでは、早速」
シャルがフィーリオンに乗り込む。
ミネルヴァはカイの上に座る。
カイ「これ、なんとかならないのか?」
ミネルヴァ「私に歩けというのか?」
カイ「そうじゃなくて、髪が触れて、むずむずするんだよ。ぐっ」
カイはひじ打ちを受けた。
カイ「何すんだよ!」
ミネルヴァ「気持ち悪いことを言うからだ。 変なことを考えたら、もう一発お見舞いするぞ!」
カイ「せめて髪をまとめるとかあるだろうって、変なことってなんだ?」
ミネルヴァ「変なことと言ったら……。とにかく必要以外の行動をするな!」
シャル「私の髪留めをあげましょう。警備隊長だからと言って、無理に男性のように振る舞う必要はありませんよ」
ミネルヴァ「シャルロット様……。家宝に致します」
ミネルヴァは感動して目が潤んでいる。
カイ「大げさだな。そんなに高価な物なのか?」
ミネルヴァ「シャルロット様が御身に着けられていた物だ。価値で測れるものではない」
シャル「カイの言う通りです。ちゃんと使ってくださいね」
ミネルヴァ「……はい」
ミネルヴァは髪留めを使って髪を纏めた。
カイ「うん、大分良くなったな。ぐぇ」
カイはまたひじ打ちを受けた。
カイ「なんなんだよ」
ミネルヴァ「……」
シャル「照れているんですよ」
カイ「髪が当たらなくなったから、大分良くなったって言っ……」
カイは、さらに足まで踏まれた。
カイ「……無事に都市まで行けるんだろうか……。ん、何だ?」
アラート音と共に地図が表示される。
シャル「そこに何かあるのでしょうか?」
カイ「……何かフィーリオンにとって重要なものが……」
シャル「何か見えたのですか? 私には何も……」
カイ「うん、でも都市の方が近いようだ。先に都市の方に行こう」
便宜上単位を付けてますが、メートル法が採用されているわけではありません。