命の対価
カイ「なんでこんな状態で放っておいたんだ?」
シャル「私といた時は、ここまで酷くありませんでした。おそらく私を追ってきた時に……」
カイ「なるほど。でもどうやって運ぶ?」
シャル「私の代わりにミネルヴァをフィーリオンに乗せてください」
ミネルヴァ「それは、いけません……うぅ」
シャル「カイ、手伝ってください」
カイ「ああ、わかった」
カイとシャルは協力してミネルヴァをフィーリオンに乗せる。
シャル「では、ミネルヴァを病院に運んでください。私は歩きます」
カイ「あれ……動かない」
シャル「どうしたのですか?」
カイ「良くわからないけど、フィーリオンが動かない」
シャル「ミネルヴァが弱っているせいでしょうか?」
カイ「しょうがない、狭いがシャルも乗ってくれ」
シャル「わかりました」
シャルがフィーリオンに乗り込む。
カイ「な、なんだよ?」
ミネルヴァはよろよろと俺の上に移動した。
ミネルヴァ「シャルロット様の上……訳にはいかない……」
ミネルヴァはぐったりとしている。
感情反応増大。
感情反応回路作動開始。
苦痛、不安、心配、興奮を波動に変換。
搭乗員三名。
警告。
搭乗員が定員を超えています。
予測不能な誤作動を起こす可能性があります。
感情誤差修正。
起動完了。
カイ「よし、動くぞ」
シャル「急いで」
急いで病院に向かう。
シャル「病院は遠いのですか?」
カイ「いや、町の病院は、すぐ近くだ」
ミネルヴァ「うぅああああ!」
ミネルヴァは痛みで悶絶している。
シャル「しっかりするのです。ミネルヴァ、もうすぐ病院に着きますよ」
カイ「そこを曲がれば病院だ!」
カイ「な……なんだと」
シャル「そんな……」
病院は壊滅状態だった。
カイ「あいつら、病院まで」
ミネルヴァ「シャルロット様。お役に立てず、申し訳ありません……」
シャル「いいえ、あなたはよく仕えてくれました。あなたの力がなければ、ここまで来ることはできなかったでしょう」
カイ「……」
警告。
搭乗員に生命の危機。
緊急措置を推奨。
イメージが頭に浮かぶ。
緑色の光が搭乗者を包む。
負傷した搭乗者が回復していく。
カイ「シャルどうする?」
シャル「選択の余地はありません」
カイ「まあ、しょうがないな」
シャル「いいのですか?」
カイ「ああ、機能の把握は必要だろう? ミネルヴァを回復しろ、フィーリオン!」
緑の光がミネルヴァを包む。
カイとシャルを赤い光が包む。
カイ「ぐぐぐぐぐ」
シャル「うぅううう」
ミネルヴァの傷が徐々に塞がっていく。
カイ「……イメージより酷いなこれは」
シャル「はぁ、はぁ、はぁ。ミネルヴァは?」
カイ「大丈夫、寝ているだけだ。傷は塞がっているようだな」
シャル「生命力を他の搭乗者に分け与える機能……」
カイ「タダではない……か」
シャル「……この機能は機密事項とします」
カイ「ああ、怪我人を全員治してたら、こっちの身が持たない」