任命
カイ「!」
?「危険な何かが来る! 距離を取るのです」
カイと女は、危険な何かを感じ取った。
フィーリオンは急速に後退する。
敵隊員1「遅い! 喰らえ!」
ドン
大きな音を立てて弾丸が発射される。
フィーリオンの左腕の装甲が弾け飛んだ。
敵隊員1「ちぃ! 装甲だけか。次は外さん!」
敵隊長「やめろと言っている!」
敵隊員1「隊長! ここは譲れないんですよ! 仇を取らないと!」
?「動かずに止まっていてください。そして、あの機体が制止した瞬間にかがむのです」
カイ「何か見えたのか? 俺には何も見えなかったぞ」
?「いいから言うとおりに」
1号機が突っ込んでくる。
敵隊員1「動かないぞ。壊れたのか? まぁいい」
1号機が急停止する。
敵隊員1「これで終わりだ!」
銃弾が放たれた。
フィーリオンの頭の上を銃弾が飛んで行った。
敵隊員1「この距離で避けただと!?」
?「今です! 右足のナイフを投げるのです!」
カイ「これか!」
足から内臓されていたナイフが出てくる。
すばやく抜き取り、ナイフを投げる。
カイ「喰らえ!」
ナイフは直線的に飛び、制止していた1号機の胸部に突き刺さり貫通する。
1号機は爆発し大破。
敵隊長「くっ、だから言ったものを。……いささか分が悪いようだな」
隊長機がグレネードを投げる。
カイ「危ない!」
フィーリオンは転がりながら回避する。
グレネードから閃光とともに、激しく煙が発生する。
カイ「煙で何も見えない!」
敵隊長「失礼させてもらおう。今は機体の性能に感謝することだ」
煙が晴れると、もはや敵の姿はなかった。
?「どうやら逃げたようですね、追撃しますか?」
カイ「……いや、やめておこう」
?「その方が賢明ですね、カイ」
カイ「俺の名前まで見えたのか?」
?「いえ、そうではありません。私は以前から、あなたのことを知っています」
カイ「君は一体?」
謎の女はフードを脱ぎ顔を見せる。
シャル「シャルロット・ゼノビア・アリエス。ここ、アリエス王国の王女をしています。シャルと呼んでください」
カイ「……女王……陛下?」
シャル「私の話を聞いていましたか? 但し、他に人がいる時は女王と呼ぶようにしてください」
カイ「……はい。シャルロット陛下」
シャル「シャルだけで結構です。それと普通に話してください。こちらが話しにくいです」
カイ「シャル……」
シャル「結構」
カイ「どうしてここに?」
シャル「あなたを首相に任命し、私の補佐をしてもらうためです」
カイ「首相だって!?」
シャル「嫌なのですか?」
カイ「俺、まだ18歳だけど?」
シャル「私は16歳で女王をやっていますよ」
シャルは笑顔で言った。
カイ「しかし……」
シャル「……それに、あなたに拒否権はありません」
今度は厳しい顔で、そう言った。