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ゲーム名「オセロ」  作者: wise
サイド編
8/14

八話「モンストゥルム」

 デッドラインまで、あと四日


 辰から受け取ったものは、顔写真と年齢、そして行動範囲のみ。これだけでターゲットを見つけ出し、仕留めなければならない。写真を見る限りでは肉付きの良い40半ばのおっさんなのだが、年齢は10歳ちょうどらしい。それに何故こいつがターゲットなのかも気になる所だが…………。まあ、そんなことはどうでもいい。奴を、御剣を倒す為だ。それを果たすまで、見える敵は殺せばいい。ただ、それだけだ。しかし、情報量に対してリミットが近すぎる。これじゃあ、尻尾も掴めないままタイムオーバーになるかもしれない。敢えて情報を抑えているのも、俺を見定める試験なのか。どうすれば良いんだ。考えど妙案など浮かばない。ここは今ある情報を活用するしか他に手段が無い。一番大きな手掛かりは、この地図に描かれた円、こいつの行動範囲だ。その円に被る小学校は二校ある。今日はこの内一校に定めをつけて見張ることにした。ただ、結果は付いてこなかった。


 あと、三日


 背に腹は代えられない。猪と虎太にアドバイスを求めることにした。

「僕たちの役目はもう終わっていますよ。猪ちゃん、こんな人無視しましょう。」

「まあ、そういうこと。でも、優しいあたしのお願い聞いてくれるならヒントの一つ位いいぞ!最近竹刀がうず」

 ピューっっ!

「行ってしまった。だけど、虎太、あんたにも情があんだね。」

「ふふっ。気づいてましたか。でもあれは、要らないものをただあげただけですよ。それに少なくとも僕は君に対する情なら愛」

 ピョーっっ!!

「という形で持ってますよ。」

 取り敢えず昨日とは違う方の小学校に来てみた。そこで、虎太がさっき上着のポケットに入れてきたものを確かめてみることにした。それは、あのブラックボックスと文字の書かれたカードだった。

”これ、燃えるゴミか資源ゴミか分からないのであげます。ちなみに、猪ちゃんのです。以上”

 やはり、そうだったのか。あの時の口振り、いずれ使うことになる、そう言っていた。だからそう容易く手離す筈がない。考えられるとすれば、あのときにやはり右腕が再起不能にまで持っていかれたのだろう。今までは、シロの能力で腕を保っていたのだろうか。そう、そして更に考えられるとすれば、

「ただ要らないもの押し付けただけじゃんっっ!!!」

 どうすれば良い、この小学校にも奴はいない。


 残り、二日


 小学生の行きそうな場所を聞きまわり何軒も巡った。けれども、時だけがいたづらに過ぎ去って行った。最終的にはやけになり駆け回ったが、靴底を擦り減らすだけの徒労に終わった。もうここら一帯に知らぬ場所は無いというような心持ちになったが、奴の発見には至らなかった。足が次の一歩を踏み出すのを拒む。しかし、限界を感じ立ち止まった時こそ頭に隙間が出来るものなんだ、前を見据える目さえあれば。ハッカの風が頭を波打たせる。もう寝よう。明日は早い。


 最終日


 俺は冷静になろうと思うばかり、かえって冷静さに欠いてしまっていたようだ。落ち着きを取り戻した今、奴の命は俺の手の中にある。

 そもそも何故奴は敵なのか?それは辰たちに対して何かしらの不利益になることをしているからだ。そう、行動している。それに、わざわざ情報を隠したりするだろうか?俺は情報を手に入れる担当じゃないし、仲間になれば情報は共有するのだから、辰たちの仕入れる情報内でことを済ます力があればそれで良い。それらから解は導けた。辰の持つ情報はあの三つしか無い。だが、十分すぎる量なんだ。行動範囲とは、その敵対行動が見られた範囲ということだ。だから、そこは私的な行動をする場所じゃない。ましてや、そこの小学校に通っているなんて憶測は愚の骨頂だ。見た目と年齢のギャップに驚かされて、小学生という事実に固執してしまった。この円は活動を行う場所を示している。そして、虎太のくれたヒント、状況を思い出せということだったんだ。ブラックボックスはどこで使った?廃墟だった。ゆえに、ここには奴の活動の拠点がある筈だ。したがって、ここだ。地図の上からでは建造物の有無さえ確認できないこの場所。木々に囲まれ今は誰も住んでいない邸宅、ここにいるに違いない。

 何の障害も無くターゲットのところまで辿り着いた。奴の頭上の足場で息をひそめた。隙を見せればすぐにでもやる。今か?今か?………

 今だ!!

”警告、警告、侵入者です。”

 けたたましいブザー音と共に足場が崩れ去った。

「やあ、はじめまして、いやぼくからすればお久しぶりかな?」

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