四話「ホワイトライン×TWO」
朝になって教室へ駆け込むまでの俺は明らかに動揺を隠せずにいた。複数人と肩がぶつかったと思う。
しかし午前中の授業は座学で、徐々に落ち着きを取り戻していた。こんなことで取り乱してどうする。こんなことは小さくてどうでも良いことじゃないのか。自らを叱咤しもういつもの己になっていた。そして、昼食の時間となる。誰かが俺の机に、他の机を付けてきた。
「こんにちは~。辰だよぉ」
「ああ」
ブホォっっ!口に入っていた物を盛大に吹き出した。ただし、辰の方がだ。
「ちょっと、、クール過ぎないか?朝まで動揺してたくせにさあ」
「別に驚くことじゃない。単純なことだ。お前には死を偽造する能力があったのか、もしくは、、」
「もしくは??」
「辰、お前の能力はこうなんじゃないか?人間をモデルにした自由に操れる人形が作れるということ。俺がばらしたのはお前の人形だったというだけ。そしてその人形はモデルの知能も記憶ももっているとすれば、昨日の会話に辻褄が合う。発動条件はおそらく接触、或いは人体の一部の入手、特に髪とかな。その証拠にお前は昨日も今日も俺の体に触れているし、髪を取る隙もあった。ちゃんと気付いているさ。今日の朝、俺にぶつかってきただろ?」
辰は髪の毛を懐から取り出しいじり始めた。少し、にやついているようだった。
「へぇー。じゃあさあ、今日俺が髪の毛を拝借した理由って何だと思う?」
「それは、慎重だからだよ」
「?」
「人形の持つ記憶は髪を採取した時点までのものでしかない。これが根本的理由だと思う。お前は確認したかったんだ。俺が敵意によって行動を起こしたのか、それとも動揺によるものだったのかどうかを。俺の記憶を知るお前には、能力者との接触がほぼ初めてであることは分かっていただろうからな。もちろん、この仮説は俺がお前にとって有益な人間でなきゃ成り立たない。だよな?」
「良いね~。その強気、惚れちゃいそうだよ。だけど一つ間違っているよ」
「何だ?」
「教える義務はないと思うけどね。さっ、そんなことより、取り敢えず手を組むということで良いかな?もう取り乱すこともないだろうしね」
「ああ。すまなかったとでも言っておくよ。じゃあ、他の奴らのとこに連れて行ってくれよ」
奴は真に驚いた顔をした。
「ふっ。食えないねぇ~。本当にシロなのかい?君は」
連れていかれた場所には、他に二人いた。そこでシロとクロ、白と黒について、俺は知った。
進むべき道が俺の前に現れた。