三話「ホワイトライン×ONE」
俺は陸の死によってシロとして目覚めた。
御剣に対する強い殺意が己の中の剣を具現化させたのだ。
暫くは感情の起伏に反応して、いつの間にかその剣を握っており誤魔化すのが大変だった。完全にその能力を掌握する頃には高校の入学を迎えていた。
都会の進学校に通うことにした。俺たち家族が元居た街だ。家計、学力共に問題無いし、なにより当初の目的は果たせない。だったらあの町で生活する必要など皆無だ。それに情報の集まりやすい都会は好都合なのだ。
まず俺は何をしなければならないか。探さなければならない。思いつく所では、情報提供者、剣術などの戦いを教えてくれる者、あと出来れば同志が欲しい。誰かとつるむのは嫌いだが、一人でどうにかなるとは流石に思っていない。俺は今、敵も知らなければ自分さえも知らない。一体奴らは何なのか。一体この能力は何なのか。
高校生活初日は周囲の観察を怠らなかった。というよりは、目つきの悪い不良のようだったかもしれない。周囲では中学や小学校で一緒だった者達だけ既に楽しそうにやっている。そんな中で新参者の俺に話しかける奴がいた。
「俺は辰って言うんだ。よろしく~」
いきなり頭を小突いてきた奴は馴れ馴れしく話しかけてきた。もう制服を着崩しているような奴が俺みたいなのに興味を示すことは不思議だったが、それよりも違和感による寒気のようなものを強く感じた。
そして俺の感覚に狂いはなかったことはすぐに証明された。家の戸を開けると奴は居た。
「辰っす。さっそく本題入るよ~。おっと、剣は出すなよ。こっちは君の情報を握ってる。けど、君は何も持っていない。お分かり?」
家の位置程度の情報ならどうにかなりそうなものだが俺の能力まで知っている。これは只事じゃない。いや剣というのはハッタリかもしれない。だけど賭けに出るタイミングでもない。俺は黙って頷いた。
「うん、理解してくれたみたいだね。本題ってのはね、一緒に白を潰そうってこと。君の願いでもある。即決じゃん」
この言葉で俺は氷ついた。奴はどこまで知っている。情報提供者、そして同志にもなってくれる可能性のある人間ではあるのだが、余りに危険過ぎないか、この男。筋肉は思考を介さずに動いた。もう斬ってしまっていた。奴の動きは鈍くいとも簡単だった。
「交渉決裂。君は敵だ」
部屋に散った血と、肉塊の処理をいつ終えたのか分からないが、何個かのビニール袋が口をきつく締められた状態で転がっていた。