十二話「ザ・サード・サイド×FOUR」
俺にはあのカードを避ける術も、耐える力も両方無い。俺は、死ぬのか?制御下から逃れた心臓の鼓動が、海斗の判断力を鈍らせていく。最善の一手どころか、単なる次の一手さえ思いつかない。何か、何かしなければ、死ぬ。終わる。消える。マチオの放つ狂気から逃げなければ。あれを避けないと、取り敢えず、動かなければ。脚を。っ!!
だが、遅かった。
シュッ!!右脚の皮膚を肉をトランプが削り取る。いや、電熱線で焼き切られたような感触だ。見る気は無いが、血が流れているようには感じられない。焦げて無残な様は想像に難しくない。ん!?ドックン!一度強く打った後、鼓動が少し弱くなる。吐き気がして、目が霞む。これが、さっき塗っていた毒か。三回当たれば死に至るんじゃなかったのか?一回でこれかよ、チクショー!
「お兄さん、もう諦めなよ。」
そう言って、カードをこちらに向けてきたが、投げてはこなかった。いたぶるつもりなのだろうか?そのままマチオは座った。
「そろそろ上司様が来るからね。それまで待ってようか?」
「上から見てんじゃねえよ」
そう言いながら、俺は一か八かの博打を打つタイミングを見計らっていた。毒に蝕まれた俺の身体に流れる時間は遅くなっており、ある種の冷静さがある。避けられないしガードも出来ない、なら投げるのを阻止するしかない。虎太から貰った猪のブラックボックス。これで意表をつき、一気に畳む。油断しているマチオには、切羽詰まった俺が策を講じるなど思ってもいないことだろう。言葉を紡ぐ前に俺は笑みを抑えることが出来なかった。冷静さではなく、諦めが俺の心を支配しているのだと分かったからだ。
「我に従え!!ゾーン!」
しかし、ゾーンの力を借りるには海斗は力不足だった。ゾーンは海斗の身体の全てを奪い去った。
”最後の切り札なんかじゃないよ。ようやく僕の出番。そう始まりさ”




