いつになったら起きるの?
掲載日:2025/12/06
「いつになったら起きるの?」
あなたの言葉に私は欠伸をして答える。
「もうちょっとしたら」
「そればっかりじゃない」
日だまりの中の時間。
温かい。
透き通る風も目に映る。
そう錯覚してしまうほどに。
「遅れちゃうよ。皆に」
「遅れたっていいさ」
「絶対後悔するよ」
「これ以上の後悔はしないさ」
「もう……!」
呆れるあなた。
その表情はどこか嬉しそう。
そう見える気がした。
いや。
そう自分が思い描いているんだ。
そう気づいた時、私は自分が目覚めつつあるのを悟った。
「もうおしまいか」
「そうね。おしまいね」
あなたらしくない言葉をあなたか言う。
「またここで待っているから。頑張ってきてね」
本物のあなたはこんな事を言わない。
だって、あなたは自覚する間もなく事故で死んでしまったから。
わかっているよ。
全部夢だって。
*
目が覚める。
隣りにある写真。
本物のあなたが亡くなる数日前の写真。
「夢っていい加減」
死んだことも知らずに死んだあなたが。
「私を待っているわけないじゃない」
くすりと笑って起き上がる。
いい加減な夢に別れを告げて、退屈な現実を生きるために。




