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『1000年ぼっちしてた魔王龍ちゃん、現代でダンジョン配信しながらスローライフを始めます!』~最強だけど寂しがり屋のドラゴン娘を拾ったんだが、現代生活を満喫してる件~  作者: ゆーしゃエホーマキ
◇とてもつよいドラゴンがあらわれた!▶話し合う

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#06. 帰路、街灯に並ぶ影ふたつ。


 辰樹の【記録閲覧(ログチェック)】は黒い眼球の弱点を見通していた。

 ボス部屋突入直後にルルトや女剣士達のこれまでの会話、状況を把握し、黒魔術によって復活した悪魔の眼球(ほんたい)の情報を引き出すのはさすがに骨が折れたのか、辰樹は眉間にシワを寄せていた。

 けれどもルルトが放った閃光で弱体化した今、悪魔の眼球は一撃与えれば倒せる。


「――【青電流(ブルーカレント)】を! 今の充電状態で奴に届きます!」

「やれ! リーダー!」


 辰樹、さらに鎧の男にもトドメを促され、女剣士は頷く。

 言われずとも、充電はほぼ満タンだ。


「今度こそ眠って。【青電流(ブルーカレント)】ッ!」


 抜剣と同時に溜めに溜めた電撃を解放。

 散々苦しめてくれた悪魔に、お返しをお見舞いする。


「ヴヴィオオオオオオオ――――ッ!?」


 青の落雷をまともに食らい、眼球は奇怪な断末魔を上げる。

 パキ、と眼球は縦にヒビ割れ、粉々に砕け散った。


【悪魔の黒眼イービルアイを討伐しました。】


 そのログを見た辰樹は、ホッと胸を撫で下ろす。


「よかった、倒せて……」

「タカナシぃ! 凄いじゃないか! 敵の弱点を一目で看破するとは! 余も鼻がたか」

「ルルト」

「はい……ごめんなさい……」


 シュン、と肩を落とすルルト。


「わかってるならいいよ」

「本当にすまなかった。タカナシに迷惑をかけるところだった……いやもうかけてるが……」


 言いながら、みるみる縮こまっていく魔王龍。

 もはやボスの風格などない。

 反省してるならよしとしよう。と、辰樹は喉まで出たお叱りの言葉を呑み込んだ。

 それに今は、言い訳をする方が先だ。


「それじゃあ、見せてもらえる? ギルドカード」


 剣を鞘に収めた女剣士は、辰樹とルルトを見据えて言う。

 鎧の男は手斧を持ったまま動かない。


「そ……それは……」

「――すみませんでした!」


 口篭って半歩ほど後ずさるルルトを庇うように、辰樹は一歩前に出て、頭を下げた。


「こいつ、俺が親戚から預かってる子なんですけど、田舎から上京してきたばかりでまだギルドには行ってないんです。なのに憧れてた配信をしたいからって勝手にダンジョンへ潜ってしまい……スレイヤーである方々を許可なく撮影したことも含め、お二人にはご迷惑をおかけしました。ですが、彼女も悪気があったわけではないのです。どうかご容赦ください」

「……ギルドカードは、持ってないと?」

「はい」

「…………そう」


 ――さすがにダメか?

 と、辰樹は頭を下げたまま苦い顔をする。

 しかし警戒が解けない女剣士を止めたのは、傍らで成り行きを見守っていた鎧の男だった。


「大丈夫だ。こいつらに敵意はない。それに助けられた以上、俺達はまず感謝するべきだろう」

「……そっか、そうだね」


 女剣士の表情が少し柔らかくなる。

 どうやら警戒を解いてくれたようだ。


「助けていただきありがとうございました。……でも、未登録でダンジョン攻略をするのはいけないこと。早めにギルドへ行って登録した方がいいよ」

「今後はこのようなことがないようきちんと言いつけておきます!」

「きちんと聞いておきます!」

「うん。なら、いい。ゲートの閉鎖は私達でやっておくから、もう帰っていいよ」


 ――――最大の危機は脱した。

 辰樹とルルトは女剣士達にもう一度頭を下げ、足早にダンジョンを去った。


 夜はすっかり更け、都会と言えども光が灯っている建物は少ない。

 街灯の明かりを頼りに帰路に着く辰樹は、後ろの足音が遠いことに気付き振り返る。

 そこにはルルトが申し訳なさそうに俯きながら、一定の距離を空けてトボトボと付いて来ていた。

 華奢な腕はライブドローンを大事そうに抱えている。


(これだけ気にしてるなら、大丈夫そうだな)


 ドラゴンの威厳なんて欠片もない姿に、辰樹は口元を緩めた。

 仕方ないな。なんて思いながら、ルルトの手を繋いで、引っ張って歩き出す。


「た、タカナシ……?」

「また逃げられたらたまったもんじゃないからな。繋いでおく」

「……なんで、なんでだ? 勝手に持ち逃げして、勝手に配信して、正体がバレたらお前にたくさん迷惑をかけてしまうところだったのに……なんでまだ余と一緒に居てくれるんだ……?」

「……そりゃ、普通は元の居場所に送り返すだろうけどさ」


 辰樹は前を向いたまま言う。


「あんな寂しそうな顔されて放っておくなんて、できっこないだろ」


 そう言った辰樹の耳が赤くなっているのを、ルルトは気付いて苦笑する。


「…………お人好しだな」

「よく言われる」

「……これからどうするんだ?」

「え? んー、まぁとりあえず家に帰って晩ごはんだな。ギルドは明日にしよう。あ、しまった食器が一人分しかない……これも明日買いに行くかぁ……」

「ふふっ、やることが山積みだな」

「あぁ、明日から忙しくなるぞ」

「そうだ! この世界のことも勉強しないとな!」


 辰樹の手を離れ、ぴょんと前に飛び出したルルトは辰樹の顔を覗き込みながら歩く。


「教えてやるから、音を上げるなよ?」

「ククク、望むところだ」


 明日のことを話しながら、二人は同じ帰路を行く。

 見えてきたのは二階建てのアパート。

 201号室――そこがドラゴンの新しい巣だ。


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― 新着の感想 ―
こんばんは。 小鳥遊さん良い人ですなぁ…。その優しさがルルトの寂しさを打ち消してくれることを信じて!
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