しあわせはっぴーらいふ
前回までのあらすじ!
男なのに男友達の空太郎を好きだった私は怖くて好きを伝えられずにいて、そっけない態度をとってしまい自暴自棄になりダンジョンでハーレム計画を始動!! でもやっぱり無理があったみたいで途中で破綻しちゃった。
それからなんやかんやあって、私が女だったことが判明したよ! あ、後魔人というかなんか昔はぶいぶい言わせてたやべー種族なのと、本名がカナタだったことわかったよ。
後記憶戻ってから自分のこと『私』って言ってたけど 空太郎に私も可愛いけど、前みたいに俺も良かったたなぁってしみじみした感じで言われたから空太郎の前では『俺』口調で行こうかな。
つまり何が言いたいかって? 空太郎と恋人になれたよ、ちゅっちゅ!
んで今私はーー。
「ぐへぇ……。こ、こここしがっ!! しっ、しぬ……」
お風呂入ろうとしてベッドから起き上がろうしたら腰が抜けて膝から崩れ落ちました。
腰をさすりながら、近くのサイドテーブルを支えにし膝立ちをして寝ている空太郎に目をやる。
「……起きてないな」
セーフ! 良かったよ、こんなんで起こすのは嫌だからね。
私は空太郎を見届けてから這いずり部屋から出ようとする。
「んあ……? ん? え? カナタどうしたんだ?」
「……お、お風呂に入ろうとして…ね?」
布団を捲る音と空太郎の声が後ろから聞こえた。
起きてしまわれたか……。
振り向こうとした時、近づく足音と吐息が聞こえた。
やばい!と慌てていると、空太郎の手が私の肩にそっと置かれる。
「なんかしんどそうだけど大丈夫か?」
「大丈夫! いや、ほ、本当にだいじょぅう!! え? なんで?」
1人で風呂場に行こうとしたが、心配そうに私の腰をさすっていた空太郎に抱き抱えられた。
そっと空太郎の顔を見るとなんか達観した顔になっていた。
え…? それどういう表情なの?
「大丈夫だよ、カナタ。もう離さないって約束したろ? 水臭いじゃねーか、風呂の手伝いなんていくらでもやるさ」
「かっこいい……じゃないっ! いや、本当に大丈夫だから! ね? いや、ちょっ、普通に進まないで! 俺もう本当にきついからね? 」
私の抗議なんてどこ吹く風。空太郎は抱きかかえたまま、ずんずん廊下を進んでいく。
空太郎の胸をぽすぽす叩くが、微笑んだままだった。
「ね? ね? ……なんで無言なのっ!? 本当に、駄目だからね! 洗う! 洗うだけだよ? 」
「あぁ……、当たり前じゃねぇか。今の俺にやましい気持ちなんて1ミリもない。本当さ、神に誓える」
そう子供をあやす様に穏やかな表情で俺に言うが、不安感が押し寄せてくる。
「……神じゃなくて俺に誓える?」
「……」
「なんでそこだけ無言なのっ! こっち見て!」
急に無言になり目を逸らす姿をみて、私はすぐ抱えられたまま両手で空太郎の頬を抑えてこっちを向かせようとするがびくともしなかった。
「本当にっ! お姉ちゃんだって起きちゃうかも知れないし!」
「おう! はい、腕上げてー、パジャマ脱ぎましょうね〜」
気づくと既に風呂場の脱衣所に着いており、優しく下ろされた私は洗濯機に手をついて体を支えながら、流れ作業のように空太郎に服を脱がされていく。
「俺怒っちゃうからねっ! ……脱ぐのが早いっ!」
脱がされ終わった後、むくれた顔で振り向いたら、空太郎はもう脱ぎ終わってにこやかに立っていた。
抗議する間もなく手を握られ、風呂場へ連れて行かれてしまい、風呂場の引き戸が閉められた。
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「えぇ、というわけでこんなんなっちゃいました……」
「いや、なにがあったらそうなるだろうねぇ」
朝10時頃、私は以前訪れた本部の応接室にいる。
ソファで空太郎に膝枕され横向きで寝転んでいた。
私は今喋る気力がなく、空太郎が椎名と喋っている。
「え? というか、君たち最初の一週間鍛錬に充てるとか言ってたじゃないか……」
「すいません……! カナタが可愛すぎて!」
向かい側のソファに座っている椎名はため息を吐いた後、「とりあえず飲みたまえ」とテーブルにペットボトルのお茶を2本置いた。
「ありがとうございます! いただきます。カナタ飲む?」
「……今無理ぃ」
空太郎が頭を下げてからお茶を取り、私の口にお茶の飲み口を近づけるが私はそっぽを向いた。
「あの……カナタって魔人なんですよね? なのに思いっきりぐったりしてるんすけど。これどういった状態なんですかね?」
「……いや、普通に疲れてるだけじゃないかな? 」
「そんな! すごい辛そうにしてますよ!」
苦笑しならがらお茶を飲んでる椎名に私の頭を撫でながら空太郎が伝えてくれていた。あぁ〜頭が馬鹿になるぅ…。
「いや、多分空太郎君に甘えているだけじゃないかな? ……というか、私この間出来なかった魔人関係のお話したいんだけどねぇ」
「あ、そうですよね! 出来るうちにしましょうか」
椎名の急に真面目な表情になり、空太郎も背筋を伸ばして緊張していた。
「そうだねぇ……。君たちにわかりやすく言うと、空太郎くんには複数の魔人、つまりは友好的魔人5体と仲良くなってほしいんだ」
「……え?」
椎名は笑顔でそう言い、空太郎はフリーズしていた。