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第九話 砂漠の鳥籠 (5)

第九話 砂漠の鳥籠 (5)








「あの男――ヘイゼルは、魔術使うのに別の場所から魔力を汲み出していた。恐らくアリーシャさんからだ」

「どうりで。普通の人間にしては多過ぎると思ったんだ」


 再挑戦すると決めたからにはと、彼らは改めて机を囲んで作戦会議をしていた。


「一般的に、持ってる属性が多いほど魔力も多いからな。四属性ってことは、俺達より多い可能性が高い」

「ヘイゼル自身の魔力もあるしね。となると、どうにかしてヘイゼルとアリーシャさんの間の魔力供給路を断たないと」


 ローズマリアも加わるとはいえ、単に人数が多ければいいというものではない。多対一の時でもチームワークは必須だ。下手を打つとお互いを潰しかねない。


「恐らく魔術環を描いて、ある種の召喚を行っているのだと思いますわ。この場合、召喚されるのはお姉様の魔力ですわね」

「なら、まず魔術環を探す?塔のどっか?」

「いや、多分アリーシャさん自身に描かれてるだろうから…囮を作った上でアリーシャさんを奪還するのが第一段階だな」

「それでなおかつ、召喚式を打破出来る能力を持っている必要がありますわね」


 ルイスはつとリディを見た。リディは軽く頷く。


「奪還は私がやるよ。とすると、囮はルイスがメインでローズはサポートになるかな。最初は防衛基本で」


 ローズマリアも頷き、淡々と段取りを決めていく。


「わかりましたわ。ルイスさんはわたくしに気にせず攻めて下さい。援護には自信がありますわ」

「頼む。あの感じを見るに、ヘイゼル自身は風、水属性は確実に持ってる。砂嵐を張ってるから土もだな」

「ルイスと同じじゃないか」

「だから手の読みようもある。逆にこっちも読まれるってことだから、アリーシャさんの魔術環を消し次第リディは前線に戻ってくれ」

「了解。ローズの属性は?」

「わたくしは火と風だけですわ」

「じゃあ風基本で援護頼むよ。火と風なら相乗出来る」

「なら、タイミング的には…」


 いざその場になってしまえば、不測の事態はつきものだ。だが、ある程度打ち合わせしておくのとおかないのとではがぜん対応力が違う。だからこその打ち合わせだった。

 そして大凡詰んだところで、それまで黙って三人の様子を見ながら何かを考えていたルシアンが、唐突に手を上げた。


「あの。僕も行かせてください」


 三人は話を止め、一斉にルシアンを振り向いた。三種の色の違う瞳に見つめられ、内心どきどきしながらもルシアンはしっかりした声音で言った。


「あの、聞いてたら、アリーシャさんの魔術環を消したあとはローズさんが守ることになってますけど。…その役割、僕がやった方が効率がいいと思うんです。お二人に核をお借りすれば、それなりの聖属性結界を張れる自信はありますから」

「いいかっこを見せようって言うんですの?おわかりですの?相手はヘイゼル・テーリアですのよ。生半可な気持ちではあっという間にあの世ですわよ」


 ローズの刺々しい言葉に、ルシアンは静かに首を振った。


「違います。僕は治療術師です。あなた方の怪我を少しでも少なくする為に行きたいのです。攻撃に関しては無能ですが…守ることなら、僕は出来ます」


 ローズマリアは言葉に詰まった。ルシアンの瞳は、揶揄や中傷をするには余りに真摯で、誤魔化しの色が存在しなかったのだ。

 リディはどうする、とルイスを一瞥した。ルイスはそれを正確に汲み取ると、数秒の思案の後頷いた。


「わかった。一緒に行こう」

「でも、ルイスさま…!」


 なお不満気なローズマリアを目で抑え、ルイスは耳から青玉の耳飾りを外すとルシアンに手渡した。


「無くすなよ。…それがあればお前の力は何倍にもなる。お前はコントロールがかなり上手いみたいだから、充分なはずだ」


 実際、ルシアンの技術はかなりのものだ。魔力が少ないのが惜しいが、それを補えるくらいのコントロール力を持っている。

 そこに力――高位の核を渡してやれば、文字通り鬼に金棒になるはずだ。


「これは…」

「大きさは企業秘密だが、核だ。大切なものだからな、大事に扱えよ」


 核と言われてルシアンは目を見開いたが、寸前で言葉を呑み込んで頷き返した。


「あと外套ある?ボロボロになっちゃったから…」

「あ、それならちょっと古いけどあります。持ってきますね」


 バタバタと別の部屋に走っていったルシアンを見やってから、ローズマリアがルイスとリディに向かって呟いた。


「いいんですの?お姉様を助けても、あの男が死んだら本末転倒ですわ。…お姉様にはあの男が必要です」


 ルイスとリディは少し驚いて目を見合わせる。彼女がいつまでも渋っていたのはその為だったのか。

 ローズマリアはぷいと横を向いた。


「いつまでも子供っぽい独占欲を持っても見苦しいだけですわ。わたくしの願いは、お姉様の幸せです」


 沈黙の後、少し苦笑してリディが言った。


「大丈夫。死なせない」


 何かを言おうとしたローズマリアを視線だけで制して、リディははっきりと宣言した。


「『烈火の鬼姫』の名に懸けて」







――――――――――――――――――――――






 四騎の馬が砂漠を駆ける。砂埃が巻き上がり、乾いた風にすぐさま流されていく。


「この先だ」


 横並びに駆ける内の端の一方から、ルイスの声が飛んだ。リディは頷き、ローズマリアとルシアンの顔には緊張が走る。


「ネーヴェ、一般人(ルシアン)もいるから…最悪の事態になるまでは竜にならないでね」


 リディは、マントのフードと首の境に座るネーヴェに小声で言った。ネーヴェは少し不満気な色を薄紫の瞳に浮かべたが、短い鳴き声を上げて了承する。

 本当なら再びネーヴェに乗る気だったが、三人まではなんとかなっても四人はネーヴェは乗せられない。そもそもルシアンにネーヴェの姿を見せる訳にもいかず、彼らは街で馬を借りたのだ。


 先のルイスの声から約一分後、唐突に一行の眼前で砂嵐が出現した。常軌を逸した速度で砂が渦を巻き、拡大する。

 四人は馬の手綱を引いて止まった。怯えた馬が鼻面を振り、落ち着かなげに蹄で砂を掻く。ローズマリアとルシアンが怯みを見せる傍ら、ルイスはリディに言った。


「防護は頼む。正面突破するぞ!」

「了解」


 瞬時にリディの聖属性結界が展開する。ルイスはその中で魔力を集中した。


 この砂嵐も、土属性魔術の一つ。…ならば、


「アイシィ!ウェーディ!」


 自らの精霊達の名を喚ぶ。答えて気配が舞い上がった。


「アイシィは雨を!ウェーディは回転と逆方向に風を!」



 魔力がルイスの内から引き出され、命令に従うために精霊が飛び出していく。その量を調節しながら、ルイスは上を見上げた。


 砂で霞んだ晴れた空が一部分、俄かに曇り、ポツポツと水滴が地に墜ちる。やがてそれは無数に増え、バケツをひっくり返したように激しく降り注いだ。

 砂が水を含んで重くなり、砂嵐の速度ががくりと落ちる。それでもなお回ろうとするそれを、逆向きに押し寄せた風が迎え撃った。


「――やれ」


 ルイスの一言で、雨足と風が一気に勢いを増した。数秒の後、何かが砕けるような音と共に砂嵐が消失する。一気にクリアになった視界で、リディがルイスに赤い珠を投げた。


「補給しときなよ」

「サンキュ」


 ローズマリアとルシアンは呆気に取られていた。


 ヘイゼルが作った砂嵐を消すなんてとんでもない芸当を、一人で同時に二属性を使うことで止めた。それだけでも信じがたいのに、リディはそれを特段感嘆したりせず、当たり前の顔をしている。


 彼らにとってこれは通常なのだ。


 そう思うと同時に、ローズマリアとルシアンの背に戦慄が走った。


「行くよ」


 リディが馬の腹を蹴り、単騎駆け出す。赤い珠を持ったままのルイスがすぐさまその後を追い、ローズマリア達は顔を見合わせてから、余計な感情を振り捨てると同時に馬の腹を蹴った。













「さてと」


 四人は馬から降り、眼前に聳え立つ石の塔を見上げていた。馬は少し離れたところに結界を張った上で、ルイスが水溜めを作ってやった。馬達は落ち着かなげだったが、逃げ出す様子はなく、黙って塔に向かう人間達を見送っていた。


「大きいですわね」


 初めてこの塔を目にするローズマリアは低くそう呟いた。他三人はそれぞれ、瞳に前回の記憶を過ぎらせながら黙って見上げている。

 数秒、誰も言葉を発しない空隙が流れたあと、リディが足を踏み出した。

 他三人の視線を集めながら彼女は塔の外壁に手を伸ばし、数センチ離れた所でそれを止める。


「…結界か?」

「うん。前より複雑化してる」


 ルイスの問いにリディは端的に頷いた。それに対し誰かが何かを言う前に、「でも」と薄く笑みを刷く。


「ラグのところ程じゃない」


 リディの手に三つの属性の魔力が集束する。やがて空間が揺らぎ、そこにあった透明な境界が穴を開けたのがルイス達にはわかった。


 しかしそんな、扉もなにもないところに開けてどうするのか。そんな疑問にすぐにリディは行動で応えた。


「…せっ、と」


 軽い掛け声と共に、手を結界から離さぬまま片足を回転させて叩きつける。…爪先に炎魔術が仕込まれていたらしいその蹴りは、あっさりと外壁を砕き破った。

 轟音と共に塔基盤の外壁の一部に穴が開いた。


「「「……」」」

「どうせなら堂々と行った方が面白いだろ」


 にこやかに言った彼女をよそにルイスは額を抑え、ルシアンはぽかーんと間抜け面を晒し、ローズマリアは信じがたいとでもいうように首を振っていた。


「ほら、早く入って。魔力が減る」


 リディの声に後押しされる形でルイス、ローズマリア、ルシアンの順に穴から塔内部に足を踏み入れる。殿にリディが続いて、彼女が魔力を霧散させると同時に彼らの背後で音もなく結界が綴じた。


 ひんやりとした空気に、全員が口を噤んだ。――ピリピリとした緊張感。

 ルイスが目を細め、魔力でもって行く手を見る。…床に、魔術環が描かれている。

それを伝えると、ローズマリアが部屋の反対方向にある階段と魔術環とを見比べ、肩を竦める。


「どうせなら一気に飛ばせてもらえば早いですわ。来るとわかっていれば、着地も手が打てます」


 前回を省み、ルイスとリディも頷いた。そしてひとり不安そうなルシアンの肩を、ルイスががしりと掴む。


「え?」

「じゃあ行くか。全員覚悟はいいな?」


 ルイスが顔を順繰りに見つめていくと、全員(ルシアンはあまり訳がわかっていなかったが)闘志を目に乗せ頷きを返した。


「よし――行くぞ!」


 四人が魔術環に足を載せた瞬間、魔術環は白く輝き――あの、感覚が消失する一瞬を味わった後、彼らは予想通りやけに近い天井を視界に映した。


「う、わああああ!?」


 ルシアンの悲鳴に、下方から女性の悲鳴も混ざった。しかしそれを気にする前に、ルイス、リディ、ローズマリアの声が重なる。


「ウェーディ」

「ウェルエイシア」

「エアリエラ」


 ゴッ、と円筒形の部屋に風が吹く。その風を器用に操り、四人(ルシアンはルイスの脇に抱えられ)は石の床に軽い音を立てて着地した。

 ゆっくりと顔を上げる。――彼らの予想に違わず、少し離れたところに黒いフードの男――ヘイゼルと、美しい顔を青を通り越して白くに染めた女――アリーシャの姿が在った。


「どうも。昨日ぶり」


 軽い笑みを浮かべて、リディがマントを脱ぎ捨てた。ヘイゼルは呆れかえっているようだった。


「性懲りもなく来るとはな。人数を増やしたらどうにかなるとでも思ったのか」

「思わなきゃ来ねえよ」


 にやりと笑ってルイスがマントを脱ぎ捨て、続いてローズマリアが丁寧にそれを脱いだ。

フードの下から顕れた顔に、さしものヘイゼルも驚きを隠せなかった。


「…ローズマリア?」


 はっとアリーシャがローズマリアを凝視する。ローズマリアは若干強張った顔で、しかしにっこりと笑った。


「お久しぶりですわ、お父様…お姉様」

「何をしにきた」

「決まっていますわ」


 ローズマリアは毅然とした動作でマントを払い、腰から武器を取り出した。体の前で張ったそれは、…鞭だった。


 ローズマリアは豊満な肢体を流れるような動作で動かし、まとめていた鞭を解いて床にバラリと降ろす。そして殊更嫣然と笑んだ。


「お姉様を取り戻すためですわ。その為にはお父様を這い蹲らせてでも戦いますわ」


 ビシリと鞭が床を打った。その様はまるで女王のようで――


「「「……」」」


 似合いすぎてて誰も笑えなかった。


「…、アリーシャさん」


 気を取り直したルシアンが、フードを外してアリーシャの方を向いた。アリーシャがはっと息を呑み、小さな悲鳴を上げる。


「どうして、あなたまでっ…!二度と来ないでと言ったではありませんか!」


 悲痛な声に、ルシアンは微苦笑を浮かべた。


「この方達の助けとなる為です」


 ルシアンとしては、だからあなたが気に病む必要はない、という意味を込めたつもりだったのだが、そう言った瞬間リディから見えない風の塊が飛んできた。


「痛たっ!?」

「そこは『貴女を助けに来ました』だろ。なにその気の抜けた答え」

「ありえませんわ。朴念仁にも程度ってものがありますのよ」


 女性二人の容赦ない口撃にルシアンは目を白黒させ、助けを求めるようにルイスを見たものの、肩を竦められ目を逸らされた。


「…そうか。見覚えがあると思えば、いつかの治療術師か」


 ヘイゼルが呟く。そして嘲笑した。


「愚かな。ローズマリアは殺せぬ。仮にも娘だからな。それにそこの二人はそう易々とは死なぬだろう。だが貴様は脆弱だ。魔力は少なく、結界もいかほど張れるものか。死ににきたのか?」

「父上っ!」

「そうさせない為に俺達がなにもしないとでも思ってるのか?」


 ルイスが不敵に笑いを返す。足が石畳を踏みしめ、ジリ、と音を立てた。


「…ふん。ならば、精々足掻いてみせろ」


 その言葉によって、戦いの火蓋が切って落とされた。


「ルシアン、直ぐに結界展開しろ!範囲は四人入ればいい!」


 叫んで、ルイスとリディが同時に床を蹴り、二方向から剣を振るう。ヘイゼルはすっと目を上げると、ローブの下から長剣を取り、剣でルイスを、腕輪でリディを止めた。


「…へえ。剣持ってたんじゃん!」


 リディがにっと口角を吊り上げ、腕輪から剣を弾き、床に着地するなり回し蹴りを放つ。ヘイゼルはルイスを風で吹き飛ばすとともにすっと身を退いてそれを避けた。


「ち、やっぱ易々とはいかねえか」


 ルイスはくるくると宙を回転し、少し離れた空中で止まり、視界下で剣戟を交わすリディとヘイゼルを見やった。一瞬だけリディとルイスの視線が交わり、意志を交換する。

 一拍後リディが跳んでヘイゼルの頭上を抜き、代わりにルイスの剣がヘイゼルの剣を捕らえた。

 リディはちらりと方向を確かめる。…まだだ。まだ、遠い。


「っ、らあっ!」


 ルイスが速さでヘイゼルを攻め立てる。リディと稽古することで恒常的に速くなったそれを、しかしヘイゼルは顔色ひとつ変えず捌いていく。だが防戦一方なのに、ルイスもリディも気付いていた。


 リディの手から火矢が飛ぶ。ルイスは予め少し距離を開けていて、矢羽まで炎で出来たそれはまっすぐヘイゼルの背を目指した。


「……」


 ヘイゼルはルイスが離れた隙を利用し、風を背後に巻き起こらせた。

「…っと!」


 火矢は消し飛び、その余波はリディをも吹き飛ばす。空中で態勢を整えようとしたリディは、不意に足の裏に足場を感じて驚いた。頭が下を向いたまま、足が壁らしきものを捉えている。


(!?風の塊?)


 その時、下でローズマリアが見上げているのがわかった。翠の瞳は真剣で、目が合うと頷きを返される。


(…なるほど。確かに援護、上手い!)


 膝を縮めて力を溜め、だんっとそのまま空中を踏み切る。


「!?」


 予測より遥かに速い反撃に、しかしヘイゼルはぎりぎりで攻撃方向をズラす。受け流された方向に、リディとルイスは笑みを浮かべた。


「ローズっ!」


 リディは叫び、空中を蹴る。後を考えず吹っ飛んだ彼女の体を、しかしローブの足場が受け止める。真下に金髪を捉え、リディは迷わず足場を蹴った。


「え…!?」


 アリーシャは呆けた顔でリディを見上げていた。その腰をさらって肩に担ぎ上げ、リディは瞬時に大きな凸型の放物線を描いて部屋を横断した。アリーシャの悲鳴が上がり、すぐに途切れる。

 リディは放物線の頂点でくるりと一回転すると、綺麗に足から着地して、ルシアンの結界に飛び込んだ。


「な、なにっ…えっ…!?」


 困惑しきりの体のアリーシャは無視して、リディはローズを仰いだ。


「行ける?」

「当然ですわ」


 ローズマリアは決然とした色を目に宿して、結界から駆け出していく。次の瞬間鞭の唸る音がして、何かが弾かれた。


「貴様ら…それに何をする気だ」


 押し殺したヘイゼルの声。リディはそれすら意識の外に追いやると、アリーシャの肩に手を当て目を閉じ、全ての感覚をアリーシャに向けた。







「貴様ら、それに何をする気だ」


 ヘイゼルと相対するルイスは、そこに微かな怒気を感じて片眉を上げた。


 今まで呆れや嘲り、僅かな驚きを示したことはあったが、所謂『喜怒哀楽』はなかった。


「無論、助けるのですわ」


 ピシッと鞭を鳴らして牽制しつつ、ローズマリアが言った。ヘイゼルも自らの娘を殺すことには躊躇うのか、彼女が出てから明らかに手が緩んだ。だが依然、強敵には違いない。


「わあっ!?魔術環がっ…!?」


 後ろでルシアンの驚く声が上がり、ヘイゼルが目に見えて顔色を変える。


「どけ!」


 飛来した風の刃を、ルイスは自身の魔術で弾き飛ばした。背後に結界を据え、剣を地面と水平に構え、腰を落とす。傍らでローズマリアが防護結界を展開するのを感じながら、ルイスは不敵に笑った。


「あんたの絡繰りは、もう終わりだ」


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