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第一話 二人の狩人 (2)

第一話 二人の狩人(ハンター) (2)






 翌早朝、リックが村の入り口に行くと、そこには既にルイスとリディの姿があった。まだ日の昇らない朝靄に包まれる薄暗い村で、リディの遠目にも鮮やかな赤い髪はいい目印になっていた。


「おはよう…二人とも、そのかっこうでだいじょうぶなの?」


 ルイスもリディも、昨日見た服装と殆ど変っていない。見た所簡易な旅装だ。もしかしたら普段着といってもいいくらいかもしれない。

 鎧でも付けるのかと思ってたけど、と言うと、ルイスはひょいと外套を開いて見せた。


「俺はつけてるぜ。ほら、鎖帷子」


 旅装の下から現れた、一目で使いこまれていると解るそれに、リックは感嘆の声を上げる。次いでリディを見て、しかし真っ赤になって俯いた。


「…ん?どうかした?」


 その様を何とはなしに見ていたリディは首を傾げ、ルイスがくくっと笑いを漏らす。


「リック、こいつを女と考えるな。常識が壊れるぜ」

「ホント失礼な奴だね。一応生物学上は女だよ」

「一応とか、自分で言うか、お前…」

「……」


 笑いが止まらないルイスを憮然と眺めてから放置し、リディはリックを向いた。


「私は鎧を着けないんだ。着けたら重いからね、こういうことが出来なくなる」


 言うなり、リディは軽くリックから離れると、彼らの方へ走ってくる。そしてタンっと地面に手を付き、二回、三回と前転して、四回目で空に舞い上がり、くるくると身を丸めて三回程宙返りをした。


「わあ…っ」


 リックの目が凄い、と輝いたその前で。

 高度を下げたリディの膝はルイスの背に激突した。勿論、わざと。


「ぐげぇっ!?」

「ええっ!?」


 蛙が潰れたような声をあげてルイスがかなり遠くまで転がり、リックが仰天して顎を落とす。


(ひ、ひどい)


 彼が度肝を抜かれている内に、遠くでがばっと起き上ったルイスが叫んだ。


「何しやがんだ、リディ!」

「いつまでも笑ってるからだ、バカ。大体君はそれ位じゃ死なないから平気だよ」

「なんだその自信!人間転んでも当りどころが悪いと死ぬんだぞ!?」

「あー当たれ。そんで少しはその頭の形変えてこい。見える世界が大分まともになると思うよ」

「はああああっ!?」


 顔に擦り傷をこさえたルイスは、会話をしながらずんずんと二人の方に戻ってき、リディはため息を吐くとリックの手を引いて歩きだした。


「大体あれ位避けなよ。トロすぎ」

「…不意打ちしといてよく言うぜお前…」

「ね、ねえ!二人はどうしてペアを組んだの!?」


 喧嘩になってはまずいとリックは強引に割り込む。二人はきょとんとして、同時にああ…と目を細めた。あれだけ言い合いをしていても、喧嘩をする気はサラサラないらしく、リックはほっとする。


 ――が、裏を返せばいつもこんな掛け合いをしているのかこの人達。リックのイメージの男女関係とは、540度程違うようだった。…しかしそんな二人がなぜ組んでいるのか。それには真実、興味があった。


 リディが顎に手をあて、探るように首を巡らす。


「どうしてって…不可抗力だよね、あれ」

「だな。まあ納得したのは俺達だけど」


 それだけに、がくっとリックは二人の答えに滑った。


「ふ、ふかこうりょくって…」

「ほんとは私もルイスもそれぞれ一人旅する予定だったんだけど。マスターが二人で組めって言うから」

「まあ今となっちゃ巡り合わせに感謝してるけどなぁ」


 遠くを見るような眼で二人は語る。だがさっぱり要領を得ない話の流れに、リックは目を白黒させた。


「まあ、今思うと一人は確かに結構辛いよね。怪我したときとかヤバいし」


 リディの言葉にルイスは頷いて、マスターのはさすがは年の功って思うぜ、と付け加えた。


「ええと…要するに、元々組むつもりはなかったけど、マスターって人に言われて組んだってこと?」

「そ。まあ、一人じゃ何かと辛いことも、二人でなら攻撃も魔術も治療も十分に出来るし、何より私を女扱いしないから気を使う必要ないし。私は気に入ってるよ、この相方」

「おー、嬉しいこと言ってくれるな。俺も基本女嫌いなんだけど、こいつ規格外だし。まあこれからもよろしくって奴だな」


 明るく笑いあう二人の姿に、リックも自然と笑っていた。その三人の横合いから、柔らかな光が差し込む。


「…朝だ」


 薄い白い光に目を細めるルイスの傍ら、ぴくっとリディが何かに反応した。


「そういえば、もうすぐ頂上…」


 リックの呟きと、ほぼ同時。

 咆哮と同時に、赤い炎が前方の木々をなぎ払って三人に襲いかかってきた。


「わあああああっ!?」


 リックが悲鳴を上げる横で、鋭くルイスが叫んだ。


「――リディ!」

「もうやってるよ」


 す、と黒い指抜きの長手袋に包まれた白い手が差し出される。


 ふわ、と風が三人を包んで、次の瞬間押し寄せていた炎の波を三人の周りから押しのけた。


「ウェルエイシア、ありがとう」


 炎が消えさるとリディが呟き、同時にふっと三人を包んでいた風の膜が消失する。ルイスの背にしがみついてギュッと目を瞑っていたリックは、恐る恐る目を開けて、絶句した。


 後ろに延びていた森が、二股に分かれて焼け野原になっている。彼らの背後にあった木々達はそれまでと変わらず立っているが、左右の木々は炭化し、燻って煙を上げている。ぞっと背筋が泡立つ感覚に、リックは立ち竦んだ。


「…お出ましか」


 ルイスが腰の長い剣を抜いて、炎で木々がなぎ倒され、開けた前方を睨む。


「リック、下がってて。いい、約束覚えてるよね? ここから絶対に動くな。黙って見てて」


 リディは周囲の生き残った木の横にリックを引っ張っていき、リックの周りに足で線を描いて、手をかざして何かを囁いた。途端、先程と同じようにふわりと半透明の風の膜がリックを包みこんだので、びっくりして彼は左右を見回す。


「風の結界を張った。この円から絶対に出ないで。出ない限りは安全だから。でも出たら死ぬ。私達も、そこまでは多分手を回せない」


 その時、ざあ、と強い風が吹き抜けて、前方の視界が開けた先に、黒い小山のようなものが現れる。


 細長い頸の先に鋭い牙をむく、蜥蜴に角が生えたような形状の頭部。大きくも堅固な体の背からは、蝙蝠の翼を数倍にしたような、膜の張った翼が生えている。

 

――竜、だ。


「安心して。必ず倒してきてやるから。――待ってて」


 硬直するリックににっと笑ってみせて、リディは背部の腰に差していた二振りのサーベルを抜き放つと、くるりと背を向けてルイスに並んだ。


「リディ!!ルイス!!」


 リックの絶叫に一瞬だけ二人は振り返り、それから呼吸を合わせて走り出した。





――――――――――――――――




 優に青年達の身長の四倍はあろうかという黒い巨体の、赤い眼がぎょろりとこちらを向く。危険を察して、咄嗟に二人はばらばらの方向に逃げた。


 ゴウッ!と音を立てて、その中間を炎が吹きすぎる。


「流石に…竜を見るのも相手にするのも初めてだっ! こんな辺境でお目にかかるとは、なっ!」


 ルイスが叫んで、素早く魔術を編んだ。


「斬り裂け、アイシィ!」


 その声に応えて、彼の周囲に数本の氷の刃が生じる。間髪いれず竜に向かって飛び出したそれは、竜の鱗を数か所にわたって切り裂いた。


 赤い血を各所から噴き出させて竜は吠え、怒りの目でルイスを見る。口腔から炎が吐き出され、ルイスは風魔術で結界を張って後退した。

 なおもルイスに迫ろうとするその背を、小柄な影が駆け登る。銀色の光が閃いて、竜の後ろ首から血飛沫があがった。


――グオオオオッ!


「かったっ…」


 竜の怒り狂う咆哮を背に浴びながら、リディがルイスの脇に飛び降りる。本当は二人としては、今ので止めの筈だったのだが、鱗が硬すぎてとても斬れない。


「流石竜と言うべきかな。私の力じゃ斬れない。君でも鱗面じゃきついかも」


 冷静にリディは言った。


「腹側は鱗が弱い。隙を突いて心臓を刺そうと思えばできないこともないかもしれないけど…」

「今は無理だろうな。アレじゃ」


 視線の先には牙をむいて威嚇する竜。棘の生えた尾は太く、鞭のようにしなって地面を打ち、恐ろしく光る鉤爪がしきりに地面を掻いている。


「竜相手じゃ私の十八番の炎は役立たずだしね。どうする?」

「遊撃しかないだろうな。俺とお前だけじゃ。もっと人数がいれば、正攻法でなんとかなるんだが」


 撹乱して混乱させなければ急所への攻撃が出来ない。こういう時が、人数が少ないパーティの厄介な点である。


「人数集めてくれば良かったかな」

「そんなことも言ってられない…ぜっ!」


 襲ってきた鉤爪を跳躍して避ける。二人共に風魔術を使って距離を取ろうとした、が、不意に竜が翼をはためかせた。巨大な質量が、空に浮かぶ。それによって生じた乱気流に、体勢が崩される。


「うわっ!」

「――っ、ぐっ!」


 墜落する衝撃を風でぎりぎりで緩和したルイスは、同様に少し離れた場所に着地していたリディを確認し――愕然とした。


「リディ!!」

「――大丈夫」


 リディの左肩からぼたぼたと血が滴っている。体勢を崩した際、あの棘付きの尾を避けきれずに食らったのだ。舞い上がった竜を見上げ、ルイスは唇を噛む。


「…飛ばれると、厄介だね」


 同様に空を見上げて、リディが呟いた。


 空には剣は届かないし、距離があるほど魔術の威力も弱まる。

 目を細めた彼女は、ルイスを振り向いた。元々白い顔が、より一層白くなっている。それもそうだ。気丈に装っているが、あの傷はかなり深い。立っていられるのが不思議なくらいだ。


「この怪我じゃ、私は援護に回るしかない。隙を作るから、そこで心臓を刺して」

「…わかった」


 ルイスは唇を噛んだまま頷いた。怪我が心配だが、このままでは治療も出来ない。一刻も早く竜を倒すことが先決だ。


「だけど、どうする? あんなとこにいられちゃ、隙も何もないだろ」

「墜とすよ。空から」


 リディがす、と目を眇めて、怪我をしていない方の手を空に差し上げる。


 すると、晴れていたはずの空が俄かに曇った。――雲の間に、電撃が走る。竜が唸り声をあげて空を睨んだ。

 リディが目を見開き、叫ぶ。


「撃ち墜とせ、サンディルナ!!」


 リディが指を振りおろす、それに応えるように幾本もの雷撃が、竜に向かって落雷した。

 圧倒的な光量と轟音が轟く。


――ギャアアアアアアッ!


 すさまじい悲鳴とともに、翼に穴を開け、表皮のあちこちを焦げ付かせた竜が、バタバタともがきながら墜ちてくる。ルイスは咄嗟にリディを抱き上げ、横に跳んだ。


 ズズンッと地が揺れる。地面に墜ちて暴れる竜の尾が届かない場所まで下がって、ルイスはリディを降ろした。短く礼を言ってリディは少しよろめき、なんとか踏みとどまる。きつく肩を抑えている指の間からは、とめどなく赤い血が流れている。――長い時間はかけられない。

 今竜は苦痛に悶え、こちらから注意を反らしている。ならば、強力な魔術を放つ時間もあるとルイスは踏んだ。


「――アイシィ」


 ルイスの低いつぶやきに、水の精霊が答えてくるくると回り始める。先程の小手先調べとは比べ物にならない程緻密に練り上げられた魔力が、宙を奔る。その時になってようやく竜は我に返ったが、逃れる隙をルイスは与えなかった。


「――貫け!」


 断固とした命令によって生まれた氷の刃は、恐ろしい勢いで竜に飛来し、その硬い鱗を貫いた。

 雷に翼を破られた衝撃から立ち直りきってはいなかった竜は、体の至るところを氷に串刺しにされ、その痛みに絶叫する。


「悪いな。――今、楽にしてやる」


 ルイスは風の力を借りて跳躍すると、一気に竜の胸まで迫る。

 竜の腹側は背中側と比べて鱗が薄く、なんとか人間の力でも斬ることが出来そうだ。


 心臓を正確に狙ったルイスの刃に、しかし悪足掻きのように竜の鉤爪が襲いかかった。


「ちっ…」


 空中では体勢を変えられない。ルイスは避けきれないと判断すると、少し身を丸くして最小限の被害に抑えようとした。

 しかしその鉤爪は、ルイスに届く寸前で弾かれる。


「な…、リディ!?」


 ふらつきながらもリディが、動かせる右腕でもって、渾身の力で鉤爪を弾き飛ばしたのだ。白い肌を更に青ざめさせながら、リディは怒鳴った。


「…はやく、止めを刺せ!」


 ルイスの意識は一瞬でリディから竜に戻った。再度風を固めて足場を作り、更に跳躍する。図ったように、リディの風が竜を仰け反らせた。


「――ぃっけええええええ!!」


 気合いと共に、ルイスの剣が垂直に竜の胸に突き立つ。

 一瞬の硬直の後、竜は今までで一番凄まじい咆哮を上げてのたうちまわった。


 突き刺すと同時に剣を抜き、素早く着地してリディを抱き上げ、ルイスは竜から遥か後方に飛びのいた。


――グアアアアアアア…


 断末魔の声を残し、竜が崩れていく。“人ならざるもの”達は、こうして姿を塵に変えて消えていくのだ。

 風に吹き飛ばされてその塵すらも失せた後、ようやく二人は安堵の息を吐きだした。

 そして、それまで竜がいた所に、置き忘れられたように転がっていた丸い球体を見つけ、リディを抱いたまま近寄ったルイスが感嘆の声を上げる。


「――あ。紫だ紫」

「嘘。初めて見た!」


 ルイスの胸を押して、目を輝かせたリディが地面に降りようとする。が、ルイスは、彼女を腕から降ろしはしたが彼女から手は離さず、無事な右肩を押して地面に横たえさせた。その僅かな衝撃にさえ、リディは顔を歪める。


「っつ…」

「ったく、そんな体で無理するな。ホラ、目閉じてろ」


 呆れ、怒ったような顔のルイスにリディは何か言いたそうにし、けれど沈黙して大人しく目を閉じた。


 ルイスが拾い上げた紫色の核から温かい光があふれ、リディの肩を包みこむ。リディの表情が目に見えて和らいでいき、顔色が良くなっていくのを見、ルイスはぽつりと言った。


「さっき。ありがとな」


 リディは薄く眼を開いて軽く微笑むと、「気にしないで」と言って眠りに落ちていった。


 四、五分で肩の治療は終わった。元々ルイスの治癒魔術だけでに治せた怪我だが、核によるスピードの底上げで、僅かな時間で痕も形も残さず綺麗に傷が消えた。

 緩やかに目を閉じて胸を上下させるリディの顔を暫し見つめ、やがて溜息を吐いて彼女を抱き起そうと手を伸ばした時――


「ルイス―――!!」


 甲高く響いた子供の大声に、ルイスはばっと振り向き、肩を落とした。そんなことだろうとは思ったが――。


「…リックお前、結界は――」

「音が止んだから出てきた!って、リディどうしたの!?けがしたの!?」

「あー…」


 怪我は負っていないものの、ルイスだってそれなりの疲労がたまっている。一から説明するのも面倒なので、ひょいとリディを抱き上げると、すたすたと歩き出した。


「あっちょっと!?ねえルイスってば――」

「怪我はもう治した。心配ない」

「治した!?ってルイス、治療術も使えるの!?それって――」

「あー、もうお前黙れ…」

「やだ!ねえってば――」

「こっちは疲れてんだよ!察しろ!」


 ぎゃあぎゃあと喚きながら山を下りていく三人。そのあとには、近隣を脅かす存在がいなくなったことを喜ぶかのように、生き残った木々の間から明るい日差しが差し込んでいた――。




―――――――――――――――





「もう行っちゃうの?」


 翌朝。リディもルイスもすっかり回復して、出発する前に村の入り口に来ていた。


 あの後、血まみれのルイスとリディを見て、宿屋の主であるリックの母親は悲鳴を上げ、次いでリックの無茶に目を吊り上げて怒った。そしてひとしきりリックを怒鳴りつけてがみがみ叱ると、唖然と見守っていたルイスには、息子を守り、脅威を取り除いた礼を丁寧に述べ、温かい食事と二人の介抱を提供してくれた。お陰でリディはもちろん、少なからず疲れていたルイスも、こうして完全に回復することが出来たのだった。


 そして今、別れの朝である。


 悲しそうに言ったリックに、苦笑してリディが頷く。


「もう竜も倒したからね。次の獲物を狩りに行くよ」


 そう、二人は狩人はなのだ。各地を歩き回り、人に害をなす“人ならざるもの”を狩る旅人。この村にしても、たまたま寄っただけの異郷であるのだ。


「そんな顔すんなよ。生きてればまた会えることもあるさ」


 俯いたリックの頭をわしわしと撫で、ルイスは綺麗な顔で笑うと、彼の手に袋を落とした。


「それ、やるよ。殺られた家畜とか、木の補修に使え」


 リックは首をかしげて袋の口を開け――危うく倒れるとこだった。


 袋の中に入っていたのは、昨日ルイスとリディが狩った竜の核だった。


「ちょ、ルイス!?こんなの受け取れ…」

「言ったろ、俺達は金に困ってないから。この近くだと…そうだな、リグリンの狩人協会にでも持ってけ。ああ、一緒に俺達の身分証明も入ってるから、忘れずに一緒に渡してくれよ。前にも言ったけど、スコアになるから」


 ルイスは気さくに笑って、引いていた馬に飛び乗った。リディもそれにならう。


「じゃあな、元気にしてろよ」

「お母さんを大事にしなよ」


 駆け出していくその背に、リックは母を一度見てから、叫んだ。リックの母は微笑んで息子と、そして去っていく二人の若者を見守る。


「ありがとう!!またね、ルイス、リディ――今度はオレが、会いに行くから!!」

 

 息を吸い込み、あらん限りの大声で二人の背に叫ぶ。


「オレは、絶対に二人みたいな狩人になる!!」


 朝の陽ざしに消えていく二人は、確かに手を挙げた、とリックは思った。
















 彼らの旅の始まりと共に、大陸は、変わり始める。

 

 否、定められた運命に沿って、動き始める。


 その渦中となる二人の若者は――まだ何も知らない。

 

 己の役目を――原初に与えられた運命(さだめ)を彼らが知るのは、まだずっと先のことである。

とりあえず第一話終了です。

魔術とかそういう詳しい話は、おいおい作中で説明していくことになるかと。


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