現代バトルファンタジー GBF
魔法少女との出会いから数日後のことだ。その日、オレは大学の講義を1限目しか取っていなかったため、5限目まで授業をぎゅうぎゅうに詰めている友人の恨み言を背に一人優雅な帰路に就いた。
大学と東堂家はかなりの距離があり、県を跨ぎこそしないが市はいくつか通り過ぎねばならない。そのため行き来には電車とバスの乗り継ぎが必要だった。オレは乗りなれたバスを降り、通いなれた駅に入る。ショッピングモールと繋がっている、そこそこ大きな駅である。
建物の中に足を踏み入れたとき、違和感を感じた。人の気配が無い。静かすぎた。電車の走る音も、発着を告げるアナウンスも、人の歩く音さえも、何もかもが消えていた。
そのとき、平日の正午前である。終電後でさえもう少し音がするだろう静寂だ。
「なんだ……?」
まさか、と期待する。
だがここは東堂家、さらに言えば茶都山家および茶々ちゃんの通っている小学校のある場所からは遠く離れた場所だ。しかも平日。茶々ちゃんが異変を察知しここに来るまでには相応の時間がかかるだろう。空間転移でも出来れば話は別だが、鍵をわざわざ開けていたところを見るに、そういう類の魔法は使えなさそうである。
だとすれば。
もしかしてだけど……。
魔法少女になんかこう、『誓い』みたいなものを抱かせるための……。
序盤で、助けられなかった、みたいな。ハード系の……。
……犠牲者ポジ?
そう考えると、嫌気が差した。
「なんだ?」
突如、轟音が鳴り響き、地面が揺れた。どこかで爆発でもしたのかとも思ったが、音の質的に地震に近い。
『始まった』のだと思った。
ぱらぱらと天井から土埃が落ちて来る。
崩れる、と危機感を抱く。未だに続く揺れにたたらを踏みながら、オレは必死に走り、来た道を戻る。建物から出るべきだと思ったのだ。
そして、空を仰ぎ見る。
轟音は続いている。既に先ほど感じた静寂など存在しない。まさかあの気味の悪かった静けさを恋しく思うことになるとは思いもしなかった。
空は血の色に染まり、そこら中から黒い煙が立ち上っている。周囲の建物はある場所を中心に円状に倒壊し、火の手を上げていた。
倒壊した建物の中心地、そこに立つは山ほどの巨大な怪物。6階立てのマンションくらいはあるだろうか。鋭い瞳、鋭利な牙と爪、全身を覆う黒い鱗に、力強く振り回される巨大な尾に、巨大な一対の翼。
竜やんけぇ……。
非現実的な出来事を目の前に高揚など無かった。
巨大な黒竜が咆哮を上げる。距離はかなりあるはずだが、その空気の震えはオレのもとまで届き、オレの肌を刺す。
黒竜が旋回し尾を振り回せば、辛うじて形を留めていた建物は完全に崩壊し、地面がめくり上がる。局所的に見れば、下手な天災より余程質の悪い災害だ。
どうしたものか。
オレは黒竜をじっと見つめた。
「うん……?」
時折、黒竜が身を捩るのだ。まるで野球ボールを横腹に投げつけられた人の様に。
そして、気づいた。最初、黒竜はただ乱雑に暴れているように見えたが、しかしよくよく見ると何か意図を持った動きにも思えて来る。
オレは目を凝らして暴れ回る黒竜を見つめる。
何かが黒竜の周りを飛んでいる。いや、跳ねているのか?
思えば定期的に、黒竜から離れた場所に積み上がっている瓦礫の山が、突如として崩壊し、土煙が立ち上っている。まるで何か小さなものが激突した、あるいは何かがそこから飛び出たかのようにだ。
やはり、何か小さなものが黒竜の周りにいるように見える。そして黒竜はそれを鬱陶しく感じ、人間が蝿や蚊を追い払うために手を振り回すように暴れている。
「なにがいるんだ……?」
さらに目を凝らす。限界まで目を細めて黒竜を見ていると、何か点のようなものが見えて、それが徐々に近づいて来ていた。
人だ!!
かと思えば、それはオレからそう離れていない駅の壁に激突した。
「ええ……」
オレはドン引きしながら、飛んできた人間が激突した壁を見上げる。
ぱらぱらと土埃が舞い落ちる乾いた音がする。
「……っ」
一つ、二つと、小さな瓦礫が転がり落ちて来た。オレは巻き込まれないように、距離を取りながら、人間が激突した壁を伺うように見上げる。
「あっ」
壁にめり込んでいたと思われる人間がずり落ちて来るのに気づいたオレは思わず声を上げた。
「女か?」
落ちて来たのは人間だった。それもオレよりも若そうに見える女の子で、刀のようなものを握っている。
黒く長い髪は土埃に塗れぼさぼさだ。着ている水色のワンピースには血が滲んでいるし、そこら中が破れている。片足は生足だけでなく、黒い下着も覗いているし、片方の肩は完全に丸出しで、鎖骨や肩甲骨まで見えている。下着の紐も切れているようだ。
それを煽情的と感じるには状況が殺伐とし過ぎているし、何より女の子の状況が痛々しい。だって女の子の手足はヤバい方に曲がってるし、白いのもちらちら見えてるし。
状況から見て、飛んできた、というかあの黒竜に吹っ飛ばされてきたのだろう。まるで漫画やアニメの戦闘シーンのようだ。
オレは思った。
―――これ絶対、魔法少女モノじゃねぇ!
これは割と大人向けのバトルファンタジーだ。じゃなければ、こんなスケベな姿の女がリョナられて出てくるわけが無い。例えば登場人物が首ちょんぱされるようなとんでもない魔法少女モノなんてあるはずがないんだ。
というかこの女の子の見た目って高校生くらいだし、魔法少女って感じじゃない。主人公の女の子が30歳になっても魔法少女と題打つ魔法少女モノなんて存在しないんだ。魔法少女の年齢は高くても中学生までなんだ。
そうなるとやはりこの世界は魔法少女モノではない。
茶々ちゃんのアレはなんだとも思うが、目の前にあるものが真実だ。あれは見間違いだったんだ。それか……そうだ。茶々ちゃんは次世代だ。続編の主人公で、今は卵といったところか。茶々ちゃんが高校生になったころ、彼女の物語は始まるのだ。だとすればオレはそれまでは無事なはず……。
いや、本当にそうか?
彼女が主人公になった時、昔に『事件』で死んでしまった隣の家のお兄さんという、彼女の回想の中だけで出て来る役という線も……。
いや、それは置いておこう。
今は目の前の女の子が気になる。見た目の惨状がヤバイ。普通に心配になる。
「君、大丈夫?」
オレは声を掛けたが、うつ伏せに倒れている女の子からの返答はない。気絶しているのだろうか?
「うっ……いったぁ……」
かと思えば、女の子は小さな呻きを漏らしながらすぐに動き出した。割と元気そうな「いったぁ……」である。手足が折れ曲がっていて中身もちらちら見えていたはずだが、今は真っすぐ繋がっている。見た目より酷い状態じゃないんだろうか?
女の子は握っている刀の柄を両手で掴み、それを支えにして体を起こした。項垂れて、土埃に塗れ乱れた黒く長い髪を垂らしながら、忌々し気にこちらを睨んでいる。
「あなたねぇ、そんなところで遊んでないで……」
なんでこっち?
黒竜の方じゃねぇの?
オレはそう思ったのだが、オレの顔を見た途端に女の子の目は驚いたように丸くなった。そして小首を傾げ、気の抜けたような声を漏らした。
「あらぁ……?」
女の子は困惑したように呟き、こう続けた。
「違う……わね……? うそでしょ……。なんでまだ人が……。結界は……」
ははーん、なるほど。
オレは一人納得する。
彼女は誰かとオレを見間違えた。だから最初オレを睨みつけて来たのだ。恐らくはあの黒竜と戦うにあたっての仲間だろう。そして彼女たちは結界なるものを発動していたのだ。オレがさっき感じた静寂はそれ。彼女の言う結界がオレの知識と似たようなものなら、人払いとか、異界化させるとか、そういったものと思われる。もしかすると、ここ最近都会で発生していた物騒な事件は、これが関係しているのかもしれない。
「……ッ」
オレが呑気に推理していると、女の子が目線を黒竜の方へ飛ばした。舌打ちの小さな音がする。
「?」
オレも彼女に倣い視線を黒竜の方へ向けようとしたが、女の子がいきなりオレに突っ込んできた。
「うおっ」
腹にタックルを受け、オレの体はくの字に折れ曲がる。そのまま彼女の肩に担がれる形となる。オレは上半身を捩らせて自分の肩越しに彼女の肩を見上げる姿勢となり、言った。
「いきなりなにすんの? びっくりした」
「なんでそんなに平然としてるのか分からないけど……」
彼女は困惑したような、呆れたような口調でそう言った。そして真面目そうながらも、どこか色気のある声音でこう続けた。
「舌を噛みたくないならそのお口、閉じておいた方が良いわよ。それと、下も見ない方が良いかしらね」
そう言われてしまえば当然、オレは下を見る。まあ担がれてる姿勢上、正面を向くと彼女の背中かお尻に視線がいってしまうのは仕方がないことだ。
彼女の破れたワンピースから飛び出る生足と際どい下着が奥に覗くお尻が視界に入る。が、彼女が言った下を見ない方が良いとは、下着を見たら報復をするとか、そういう忠告ではないだろうことは状況からして明らかだった。
オレは空を飛んでいた。先ほどまでオレ達がいた駅は巨大な瓦礫が突き刺さり、崩壊している。あの黒竜が投げ飛ばしたのだろうか?
きっと彼女は、いきなり飛行することになったオレを案じてくれた。そして、駅の惨状を見て、もしかしたら死んでいたかもしれない、という恐怖をオレに感じさせないために、彼女はオレに下を見るなと窘めたのだろう。
見た目はアレだけど良い子だな、とオレは思った。
「君、良い子だね」
「……?」
本心を口にしたオレに、彼女は困惑した様子である。
オレから泣きごとが飛んでくるとでも思っていたのかもしれない。残念だがオレは高所恐怖症ではない。高いところも平気だった。
彼女は近くの建物の壁や屋上を足場に跳躍を繰り返し、黒竜から離れていく。
そして長かったようで短かった飛行時間、というか跳躍時間が終わり、オレを担いだ彼女は軽やかな足音を立ててどこぞのビルの屋上に降り立った。風が凄い。
彼女はオレを優しく降ろしてくれると、ちらちらとオレの全身を一瞥する。
怪我がないか、確認してくれたのかもしれない。やはり良い子だ。
「ありがとう。大丈夫だよ。やっぱり良い子だね。というか優しい人?」
オレが本心からそう言うと、彼女は怪訝な表情を浮かべて言った。
「そう言うあなたは変な人ねぇ……」
言い終わった彼女は小さく微笑んだ。ふふ、と微笑みによる吐息が漏れる。
綺麗な女の子だ。少なくともプロポーションはモデルのようだ。そして優しくもある。
だがオレは、ワンピースが破れ放題で肌面積がとんでもないことになってるのにやけに堂々としている変な子だな、とも思った。
そう思っていると、彼女はふるふると頭を振って、こう言った。
「違う! そんな話をしている場合じゃないのよ!」
む、と表情を顰めた彼女は黒竜の方へと視線を向けた。釣られてオレも視線を向ければ、黒竜は何やら身じろぎをしているように見える。彼女の仲間が戦っているのかもしれない。
「なにから話せばいいか……こんなこと初めてだし……」
顎に指を当てて口ごもる彼女をじっと見つめる。
自信満々な感じだった先ほどから比べると、少しばかり覇気が薄れているように感じる。それが先ほどまでの雰囲気とのギャップと同時に、見た目の年齢相応の幼さを感じさせて、彼女の愛嬌を引き立たせていた。
思案を終えたらしい彼女が、オレを見据えて、こう言った。
「ええと……。ここからあまり離れないで、かといってあっちには……」
あっち、と言いながら彼女は黒竜の方へと視線を向け、こう続けた。
「……近づかないで欲しいの。お願い、できるかしら?」
小首を傾げ僅かに目を細める彼女は、女から男への『上手なお願い』の仕方の一つを熟知しているようだ。
オレは彼女のお願い内容が気になって、オレは問いかけた。
「近づかないでっていうのは分かるけど、離れないでって言うのはなんで? 普通、ここからできるだけ離れて、じゃないの?」
「……あ、あらぁ?」
「どうかした?」
オレの問い返しに対し、彼女は戸惑ったように瞬きをしている。先ほどまで見せていた色気のようなものが霧散し、またもや見た目の年齢相応の幼い所作が表面化している。
「……あの。私、お願いしたんだけど……」
「そうだね」
「なんで……?」
オレの返答に、彼女は考えるように視線を伏せた。長いまつげと、長い黒髪が揺れる。彼女が何かを考えている様子を見せている今この時も、遠くでは黒竜の咆哮と轟音が聞こえている。どういう状況下にあるか分からないが、オレの推測が合っているなら、今も彼女の仲間が戦ってる最中なのではないだろうか。
「別に言うこと聞きたくないとかじゃなくて、なんで離れたらダメなのか知りたいだけなんだ。どれくらい離れたらダメなのかくらい、知っておいた方が良いと思って」
「そ、そうね……。そういうことね。それなら……」
そう言って彼女は再びオレに視線を向ける。戸惑いを引っ込めて(引っ込めきれてないが)、再び艶のある所作を見せながら、オレにそう言った。
「あなたを見失いたくないの。命の危険があれば逃げてもいいわ。ただし、あの黒竜がいなくなったら、分かりやすい場所に姿を見せてね。分かったかしら?」
「分かった。君が分かりやすい場所にいればいいんだね」
もっと色々と事情を聴きたいが、さすがにそんなことまで根掘り葉掘り聞けるような状況じゃないことは分かる。オレはそれ以上の追及はせず、彼女の言葉に頷いた。
「そう。そういうことよ。ふふ、お利巧さんね?」
「お利巧さんって……。そんな小学生に言うみたいな……」
「あらぁ……?」
彼女は再び困惑したように小首を傾げた。
今度は引っかかるようなこと言ってないだろ。初対面の歳上に年下がお利巧さんとか、普通に失礼だし。怒らず、呆れた様な物言いで窘めたオレを褒めて欲しいくらいだ。
「私、あなたのこと褒めたのよ……?」
「ありがとう。でも、お利巧さんって褒められ方はあんまり嬉しくないかなぁ」
オレは肩を竦めて苦笑した。苦笑を浮かべているのを見て、彼女はうっすらと目を細める。妖艶なそれではなく、何かを確信したというような、鋭いものだった。
「ねえ」
彼女はすっとオレに近寄って来て、体をオレに寄せて来る。彼女の大きな胸が腕に当たる。オレの片脚は彼女の破れたワンピースの中に潜り込み、彼女の生足とワンピース越しの脚に挟まれた。彼女がオレにしな垂れかかる。
なにやってんだこいつ、とオレは正直思った。
柔らかいとは思う。長い髪に隠れていて分かり辛かったが、顔のパーツも整っている。彼女は普通に美人だった。だがあまりに血生臭い、というか実際に血塗れで血の悪臭が凄いし、遠くでは爆音轟音雄叫びが続いているしで、とてもではないが欲情を抱けるような状態ではない。と言うかこの女(女の子からランクダウン)、片手に刀を握ったままなのだ。普通に身の危険を感じる。何より臭い。離れて欲しい。体を綺麗にしてきてくれたらウェルカムなのだが、さすがに血塗れは困る。感染症も気になるし。
だが、オレは耐えた。
この女が何を考えてるかは分からないが、何か意図があってのことだろうから。
そう思っていたのに、女は甘えるようにオレの腕に頬ずりをして、上目遣いで誘うように目を細めると、こう言ったのだ。
「あなた私のこと、どう思うかしら?」
「根は優しいけどそれ以外は変な女」
即答だった。
ぴしり、と何かが固まり、そして罅の入る音がしたような気がした。彼女には妙な自信が見て取れたし、もしかしたらプライドを傷つけてしまったかもしれない。だが名前も知らない血塗れの女が(助けてくれたらしいとはいえ)意味不明で不快な言動を続けていれば評価も相応になるだろう。
彼女はオレから離れると、一歩、二歩と後退していく。最初の一歩はよろけていたが、その後からはしっかりとしたものだ。
オレから離れた女は、俯いたままその長い前髪をかき上げる。そのときに一瞬だけ見えた彼女の表情は、見た目の年齢相応な少女の穏やかな笑みだったように思う。髪が降り表情は見えづらくなったが、晒されている彼女の口元は、何か欲しいものが手に入ったかのような、嬉しさや幸せを感じ頬が緩むのを抑えられない、そんな類の微笑みのように思う。
彼女は小首を傾げて、優しい声音でこう言った。
「やっぱりあなた、変な人ね」
オレの返答は決まっていた。
「君は優しいけど失礼な人だね」
オレの返答を聞いて、彼女の口元がゆっくりと緩まるのが見える。
「ふふ。変な人。……ねえ、名前も知らないあなた。この後、良かったら私と遊びませんこと?」
彼女の誘いに対するオレの返答は決まっていた。
「先にシャワー浴びてくれる?」
「あらぁ? んふ。それは『お誘い』かしら?」
彼女はお誘い、という部分で声に艶を付けてくる。喉を擽る様な声音だ。
この女は痴女だなと、オレは確信した。高校生っぽいのに……。まさかR指定モノだったりするのだろうか。
「絶対よ? 約束だからね?」
弾むような声音でそう言った彼女は、最後に一つ微笑みを残して、屋上の床を蹴りつけ飛び立った。彼女は再び、黒竜との戦いに繰り出したのだろう。
その姿を見て、オレは思った。
やっぱり魔法少女モノじゃねぇよこれ。だって空飛べてないもん、あの女。
彼女は跳躍していた。自由自在に飛行しているわけではないのだ。魔法少女は飛べてなんぼだろう。つまりあの女は魔法少女ではない。
ならばこの世界は一体どんなジャンルの……。
「……少し寒いな」
ビルの屋上は空が近い。必然的に体感温度も下がる。幸いにも彼女は屋上に出入口がある場所にオレを降ろしてくれたので、オレはそこからビルの中に入った。階段を降りていく。いつの間にか、黒竜の咆哮も、建物が倒壊するような轟音も聞こえなくなっていた。
代わりに聞こえてきたのは人の声。
そして、オレの存在を咎め拘束するガードマンのものだった。
このビルのガードマンに捕まったオレはそれなりに説教されてから解放された。外に出て周りを確認したが、黒竜の姿も無ければ、ビルも全て無事だった。遠くには駅もちゃんとある。何一つとして、朝見た景色と変わっていない。
その後、オレは一応の約束を守るためにしばらく周辺をウロウロしたのだが、結局日が沈んでもあの女が現れることは無かった。
白昼夢でも見ていたのだろうか?
オレは地元に着いてから、駅の近くのチェーン店でハンバーガーを買い、それを頬張りながら歩いて帰路に就いた。