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嬉しそう

「お、お兄ちゃん最近なんだか嬉しそうだね」


家にいると奈那さんにそんなことを言われた。


「そうですか?」


顔に出ていたのか?まぁ実際最近は学校に行くことが楽しみになっていたりする。羽田巻がいるからな。


「うん、前とは違う雰囲気だよ」


そう言った奈那さんはどこか嬉しそうな表情をしていた。


「何かあったの?」


「学校で友だちが出来たんです」


言わなくてもいいことだとは思ったが浮かれていたのか俺は友達が出来たと伝えた。


「そっか…やっと出来たんだね…」


「何か言いましたか?」


声が小さくて聞こえなかった。


「…ううん。なんでもない」


「?そうですか」



-------------------------------------------------------

小さい時からお兄ちゃんには友達がいなかった。いや、一人だけいた。それは沙也加ちゃんのことだけど。幼馴染という存在が居なければお兄ちゃんは友達が一人も居なかった。



私がわがままだったから。



お兄ちゃんは遊びに誘われる度に断っていた。だって私がお兄ちゃんから離れなかったから。そしたらお兄ちゃんから人は離れていった。小さい時の私は喜んだ。これでお兄ちゃんといられる時間が増えると喜んだのだ。



でも今考えてみると私がどれほど邪魔な存在だったか分かる。

私のせいでお兄ちゃんはずっと一人だった。周りからは誘ってもいつも断るノリの悪いヤツというレッテルを貼られていた。



だからお兄ちゃんは沙也加ちゃんを大切にしていた。唯一気兼ねなく話せたり遊べたりする相手だったから。きっとお兄ちゃんは今も沙也加ちゃんを大切にしてるんだろうな。



私が変な嫉妬なんてしなかったらこんなことにはなってなかったのかな…そう思うと涙が出てきそうになる。でもお兄ちゃんの前で泣いてしまったら卑怯だ。そんなことをしてお兄ちゃんに見限られたくない。だから私は絶対に泣かない。それが私に出来る精一杯の強がりだ。



-------------------------------------------------------

羽田巻が友達になってから考えることが多くなった。本当に愛情を向けてくれている人は居なかったのか?と。



もしかしたら俺が気づいていないだけで愛してくれている人は居たんじゃないのか?と。



…そんなこと無いはずだ。もし愛してくれている人が居たのなら俺がこんなふうになることはなかったはずだから。だから…居なかったはずだ。


「良かったね。お兄ちゃん」


「…そうですね」


良かった。羽田巻という友達が出来て。


「…やっぱり寂しいなぁ」


「どうかしましたか?」


「なんでも、ない、よ」


奈那さんはなんだかとても辛そうな顔をしていた。でも俺にはなんと声をかけていいか分からなかった。


「そう、ですか」


だからそんなことしか言えなかった。やっぱり人の考えていることは分からない。


「お兄ちゃん」


「なんですか?」


奈那さんが俺の目を真っ直ぐに見つめて呼んでくる。


「…なんでもない」


「そうですか?」


何かを言いたかったのだろうが何を言いたかったのかはやはり分からなかった。



-------------------------------------------------------

言えない。言えるわけがなかった。だってそうでしょ?私はお兄ちゃんを傷つけ続けた。そんな私が



今更前みたいに戻りたいなんて。



そんな都合のいいことなんて絶対に言えない。そんなことを言う権利なんて私にはないんだから。



でも、やっぱり。



寂しいなぁ。

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