☆3
森の中は、まだ昼間だというのに
ひんやりとして薄暗い。
ブナやクヌギなど背の高い木々が
そびえ立ち、地面にはところどころに、
ぽつんぽつんと陽だまりができていた。
あるかな、あるかな、
流れ星のカケラ。
見つかるといいな、
黄色とオレンジ、赤と緑。
あるといいな、虹色のカケラ。
ねがいごとがかなうといいな。
「あれ?」
そのときすぐそこの陽だまりで、
小鳥が二羽、うずくまっているのが見えた。
なんだか様子がおかしい。
そおっと近づいてみると……。
ぴーぴー、ぴーぴー。
びーびー、びーびー。
声をあげて泣いている。
クロスケはしゃがみこむと、
小鳥たちが驚かないよう小さな声でたずねた。
「どうしたの?」
すると青い羽のほうの小鳥が顔をあげ、
クロスケにこう答えた。
「私たち、星のカケラを見つけたの」
星のカケラ!
「すごいや、ぼくも探しにきたんだよ。
でもどうして泣いてるの?」
「………」
青い小鳥は、あのね……と話し始めた。
「私たち朝からこの森で星のカケラを探していたの。
でも、ぜんぜん見つからなくて……。
あきらめて帰ろうと思ったときに、
青と水色のカケラがひとつずつ、
木の枝にひっかかってるのを見つけたの」
「へー、すごいね!」
「そうなの。それでちょうどほら、
私たちの羽と同じ色をしていたから、
とってもうれしかったのよ」
小鳥はその場でくるりんと、
つま先立ちで一回転をし、青い羽を広げてみせる。
すぐにそれから、となりで泣く、
もう一羽の小鳥の肩にそっとふれた。
見ると水色の羽が涙でぬれている。
「それでね私たち、早くウチに帰って
お母さんとお父さんにも見せてあげようって思ったの。
だから、この先の湖をう回しないで、
湖の上を渡って近道しようって飛んでいたらね……」
クロスケはその先の話にイヤな予感がした。
「まさか、もしかして……」
「そうなの! そのまさかなのよ。
私たちカケラをふたつとも、湖の中へぽちゃんって、
落としちゃったのよ……うわーん!」
青い小鳥はそこまで話すと、ふたたび泣き出してしまった。
クロスケもどうしていいのかわからない。
こまったなあ……。
すると今まで泣き続けていた水色の小鳥が顔をあげ、
「お姉ちゃん、泣かないで。また探せばいいじゃない」
ひっくひっくとしゃくりあげながら、
青い小鳥をなぐさめる。
そうだ。探せばいいんだ。
もしかしたらまた見つけることが
できるかもしれないもの。
「ねえ、いっしょに探そうよ。ぼくも手伝うからさ」
クロスケの言葉に、
「えっ、いいの?」
小鳥たちは驚いて聞き返す。
「うん!」
クロスケはにっこり笑ってうなずくと、
「でもまずは湖に行ってみようよ。
もしかしたら、底に沈んでいるカケラを
見つけることができるかもしれないよ」
と言って立ち上がった。
小鳥たちも互いに顔を見合わせて、
小さくうなずいた。
「そうね。そうしましょう」
クロスケは小鳥たちといっしょに森を抜け、
湖に行ってみることにした。