☆1
虹色の流れ星。
そのカケラを見つけると、
ひとつだけ願いがかなうという。
黒猫のクロスケは、
星のカケラを探しに、森へ行くことにした。
夕べは年に一度の流星群。
窓からのぞく夜空には、
たくさんの星がまたたいて、
いくつもいくつも流れていく。
「うわぁー、きれいだなあ」
クロスケは瞳をきらきら輝かせ、
一晩中夜空をながめていた。
まだ朝露がのこるなか、
森につづく川沿いの小道を、
クロスケがスキップしながら歩いていく。
あるかな、あるかな、星のカケラ。
それも虹色の流れ星の。
ねがいごとがかなうといいな。
道の両脇には
マリーゴールドの花が咲きほこり、
蝶々たちが飛びまわる。
おいしいミツを朝食に、
おなかいっぱい飲み込んで、
ひらひらダンスを踊っている。
そんななか、
「こまったなあ」
二匹の蝶が落ち着かない様子で
クロスケの前を横切った。
「どうしたの?」
「ああ、黒猫さん」
黄色の蝶が答えた。
「ボクたち、星のカケラをひろったのだけど、
どこかに落としてしまったんだ」
星のカケラ!
「すごいや、ぼくも探しにきたんだよ」
クロスケは目をかがやかせる。
「そうなのね、私たちもよ。
お祝いごとにちょうどいいモノを
見つけたねって喜んでいたのに……」
オレンジ色の蝶が悲しそうにつぶやいた。
「お祝いごとって?」
クロスケが気になってきいてみると……。
「ボクたち、結婚したばかりなんだ。
だからその記念にしようって、
星のカケラを探しにきたんだよ」
「そしたらね、黄色とオレンジ、
ちょうど私たちと同じ色のカケラを見つけたの」
「だけど、飛び回っているうちに
どこかでなくしてしまったんだ」
「どこにいっちゃったのかしら…」
二匹の蝶は、しょんぼりしている。
気の毒に思ったクロスケが、
「ぼくもいっしょに探してあげる」
と言うと、
「ほんとに?」
蝶たちの顔がぱあっと明るくほころんだ。
「うん。そのカケラ、どこで見つけたの?」
「この先の森の中だよ」
「それならぼくも、今から行こうと思ってたんだ。
もし見つけたら届けてあげるよ」
「ありがとう。よろしくね」
クロスケは蝶たちに手を振ると、
森を目指して歩きだした。