65 リリィとお姉様二人旅!
本日二回目の更新です!
俺達は筋肉的な花の採取を終え、無事にクエストをクリアした。
鬼コンビ曰く、筋肉がむせび泣く程の良いクエストだったそうだ。
是非またクエストに付き合って欲しいと言われて、笑顔で了承した。
ギルドメンバーと一緒にクエストに挑むなんて、極々当たり前のことだ。
むしろ遊んでもらえて大喜びってもんだぜ。
アズも喜んでいたし、定期的にクエストを消化して回るのも悪くない。
一つ気になったことと言えば、謎の芽だ。
ダリとリリィのじゃれ合いから距離を取った時に、俺の服から落ちた何かが芽を出した。
それを見たダイナとダリは
「こ、これは! あの花の芽じゃねぇか!?」
「なんてことでしょう、姫様の歌を聴いた筋肉花が、お礼をくれていたということですね!」
なんて大興奮。
俺の足元に生えてきた二つの芽を丁寧に周囲の土ごと掘り返し、裏庭に植え直していた。
あの芽が一体何なのか、気にはなるけどしばらく触れないことに俺は決めた。
▽
とある日。
いつも通り遅めの朝食を終えてログインすると、リリィがいた。
場所はギルドホームのリビングだから居ても不思議ではないが、時間帯的には少し珍しい。
「こんにちは」
「こんにちはお姉様。早速なんですけど、狩りに行きませんか!?」
「他の人達はいないみたいですけど、私達だけでですか?」
「はい。お姉様と私の二人だけで、お姉様と私でペア狩りに行きたいんです!」
「いいですね、行きましょうか」
「ありがとうございます!」
嬉しいお誘いに即答で返す。
俺とリリィのペアだと、バランスがあまりよろしくないが、なんとかなるだろう。
俺もリリィも支援系の職業で、火力はほとんど無い。
しかし俺には≪チャーミングショット≫がある。
極端に振りきった≪魅力≫のお陰で威力も中々のもので、確殺狩りなら安定して狩れるだろう。
近づかれると脆いが、≪アイドルステップ≫等で少しは持ちこたえられる。
慎重にならざるを得ないので効率は出ないだろうが、俺達はガチ勢じゃない。
楽しくこの世界を満喫出来ればそれでいいんだ。
リリィもいつもの様子なら、初心者用MAPで≪白玉兎≫を撲殺し続ける狩りでも喜んで付き合ってくれそうだしな。
「実は行きたい狩場があるんですが、良いですか?」
「勿論大丈夫ですよ。どこなんですか?」
「先日実装された三層にピラミッドがあるんですけど、どうやらそこに、レアなアイテムを落とすモンスターがいるらしいんです! モンスターのほとんどはアンデッド系なので、ペアでも大丈夫だと思います」
「なるほど」
リリィは≪知力≫極振りの≪アコライト≫という支援職だ。
しかし、アンデッドや悪魔系に対してだけダメージを与えるスキルも持っているという。
だからその系統のモンスターがメインの狩場では、リリィは火力として活躍出来る。
「では行きましょうか」
「はい!」
▽
俺が鬼コンビやアズと一緒にクエストをクリアした日に、新しいアップデートがあった。
三層、四層のマップと、いくつかの細かい機能の実装だ。
その日の夜に俺達は二層ダンジョンのボスへ挑み、三層を解放してある。
三層は砂漠と荒野のマップがメインの階層になる。
俺達は転送サービスを使って≪砂漠の街マルク≫へとやって来た。
西のエリアへ出て、更に進むと巨大なピラミッドが現れた。
ここまで来たのは初めてだ。
そもそも、街の観光すらほとんどしていない。
また皆で見て回りたいところだ。
「このピラミッドの地下二階が目的の場所です! さぁ行きましょう!」
「はい」
やる気満々のリリィの先導でピラミッドの中へ。
中は薄暗く、通路が伸びている。
普通の遺跡っぽい感じなのは、ゲーム的な都合だと思われる。
そもそもここはファンタジー世界のダンジョンだしな!
深く考えてはいけないのだ。
進んだ先に、上と下へ続く階段がそれぞれ左右に分かれて設置されていて、兵士のような人が立っていた。NPCだ。
「この先はモンスターが跋扈するダンジョンと化しています。危険なので私はこうして見張っているのです」
「はい」
よくいる案内係的な役割っぽくて特に何も起きなかった。
適当に聞き流して、地下への階段を降りる。
コウモリなんかの弱いモンスターを適当に俺の可愛さで撃ち落とし、先へ進む。
十分程で地下二階へ続く階段の前へ到着した。
「お姉様、私の攻撃スキルは発動が遅い上に範囲攻撃なので、なるべく巻き込みたいです」
「分かりました。それじゃあ他のプレイヤーに気を付けながら、なるべく複数巻き込みましょうか」
「お願いします」
大体の作戦は事前に話し合っていたが、追加で打ち合わせをしてから階段を降りる。
念の為先頭は俺だ。
階段を降りると、割と広い空間だった。
すぐ後ろの壁は岩で出来ているようで、まさに謎空間。
マップを見た感じ、広い空間にところどころ壁や柱が設置されている造りのようだ。
さて、行くか!
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