54 イベント開始!
本日休日出勤だった為、遅くなりましてすみません!
程なくして、≪最強可愛い姫様のギルド≫はメンバー全員が集合した。
試合は同じギルドのメンバー六人までのパーティーで構成される。
アズは試合には参加しないが、会場には入れるらしいので一緒に行く。
戦えなくても俺達は仲間だ。
それに、アズには準備の段階でかなり頑張ってもらった。
つまり今度は俺達が頑張る番ってだけの話だ。
会場に入って受付を済ますと、運動競技場のような場所に飛ばされた。
かなり広く、以前と同じようにステージがいくつもある。
皆物珍しそうに周囲を眺めているが、一際落ち着きがないのがダリとダイナである。
「ひゃあー、相変わらずでっけぇな」
「そうですね。前回よりも人が多いような気がします。僕の筋肉が疼いて仕方がありませんよ」
「あんた達、ちょっと離れててくれる? お姉様に筋肉がうつるわ」
「姫さんももうちっと筋肉つけた方がいいんじゃねぇか?」
「ダリ、流石にそれは僕もお勧めしませんね。姫様は可愛い系ですが、筋肉はかっこいい系に属していますから、少し相性が悪いと思います」
「おお、なるほどな」
「私、そういう問題じゃないと思うのよね。でもお姉様に筋肉を勧めないならなんでもいいわ」
鬼コンビとリリィのやりとりに、皆の笑顔が零れる。
いつも通りの俺達だ。
もしかしたら俺達が緊張しないよう、鬼コンビが気を遣ってくれたのかもしれない。
「しかしすげー人数だな。姫さんの可愛さとオレらの筋肉を披露出来ると思ったらワクワクしてくるぜ!」
「ええ、自慢の姫様と鍛え上げたこの肉体を見せつけてやりましょう!」
「可憐なお姉様と汗臭い筋肉を同列にしないでもらえるかしら!?」
いつも通り過ぎる二人に、呆れ気味だったリリィが吠えた。
うーん、ただの素のような気がしてきた。
でも多分、二人が筋肉と同列に語るって最大限の敬意の表れのように思わなくもない。
リリィは気に入らないようだが。
時刻になると、中央付近のステージが段々と盛り上がり、高さ二メートルくらいの山が出来た。
細長いせいで山というよりは先の丸い棘だ。
『やほやほー、皆さんこんにちはー』
そしてその先端から、デフォルメされたモグラのようなものが現れた。
相変わらず上半身だけを表に出して、黄色いヘルメットと真っ黒なサングラスで武装している。
以前と同じで気の抜けるような、妙なテンションをしている。
『時間になったからイベントの説明を開始するよー。公式ホームページにも載ってる内容だけど、確認と言う事で聞いてね。今回はギルド対抗戦イベントということだけど、目的は交流。あとはギルドの宣伝も兼ねてるよー』
モグラの言う通り、事前に告知されていた通りだ。
目的は交流と宣伝。だからこそ俺達は、戦いの場にはそぐわないだろう別の目標を掲げている。
それが、俺の可愛さをこの≪CPO≫の世界にアピールすることだ。
それが力よりも価値のある、俺達の心意気である。
『それじゃあこれからルールの説明をするね』
まず、パーティーは同じギルドのメンバー同士で六人まで。
そしてそのパーティーで、ポイントを集めることが目的となる。
対戦を行った時点で、勝敗に関わらず一ポイントゲット。
勝ったチームには更に一ポイント。
ここまではある意味単純だ。ただ対戦して、なるべく勝てばいいんだからな。
『賞品はポイントが上位百位までのギルドに贈られるよ! 詳しい内容は公式ページに景品リストが載ってるからそっちを確認してね』
プレイヤー達から歓声があがる。
やっぱりみんな賞品に弱いんだなぁ。
一位から十位、十一位から三十位、三十一位から六十位、六十一位から百位までで区切られており、その間は同じ賞品になるようだ。
『重要なのが、投票システムだよ。一人三票まで投票する権利をあげるから、イベント終了の一時間後までに自分の基準で良いと思ったギルドを三つまで選んで投票してね。最終的に得た票数の一割をポイントとして加算されるよ』
これである。
つまりは他のプレイヤーに気に入られることが、今回のイベントでは重要ということになる。
伊達に交流が目的とは言ってないな。
『補足だけど、投票権は余らせても良いけど、余った票数がそのままギルドのポイントからマイナスされるから、投票しちゃった方がお得だよ。あと、票を与え合うとか、わざと人気の無いところに投票するとか、そういうズルいことしたらペナルティがあるからね。ちゃんと自分自身の基準に従って投票してね』
これは事前の説明にはなかったな。
プレイヤー達からは戸惑いの声やざわめきがあがっている。
「よく出来てるね」
「はい、そうですね」
「あん? どういうことだ?」
レンがこそっと話しかけてきたのを、肯定で返す。
そこにダリが不思議そうに聞いてきた。
「ええっと、協力関係にあるギルド同士で投票し合ってポイントを稼ごうとしてたギルドや、沢山いるギルドメンバーを総動員してポイントを稼ごうとしてたギルドが、上手く出来ないように対策されてたってことだよ」
「ほーん、あのモグラすげーのな」
「う、うん、多分そういうことだね」
レンの説明を聞いたダリは、感心したように頷いた。
あのモグラはNPCだろうし、誰かが操作してたとしてもその人がルールを設定したとは限らない。
しかし、そんな細かいことは指摘しない。
皆さらっとスルーだ。
しかし、レンの言う通りよく出来てると思う。
他のギルドと結託して投票し合えば効率は良さそうだから、それを潰すのはまぁ普通だ。
感心したのは、余らせたらマイナス点になるルールだ。
どういう方法かは分からないが、モグラの口ぶりからすると投票先は本人の基準でしっかり考えないといけない。
そして残すとマイナスになる。
そうなると、必ず自分が良いと判断したギルドに投票しなくてはいけなくなるのだ。
例えそれが、他のギルドだろうと。
対戦するだけでポイントがもらえて特にマイナスは無いから、対戦する数が多い程有利になる。
だから大手のギルドなんかはいくつもパーティーを用意しているわけだけど、その参加人数につき三票、余所に投票しないといけない。
人数が多い方が明らかに有利なイベントなんて萎えるからな。
交流目的なわけだし、しっかりルールを設定してもらえて有難い限りだ。
そして、この得票数で俺達は一位を目指す。
そう、俺の可愛さで!
『それじゃあ第二回イベント、ギルド対抗戦を始めるよー! よーい――スタート!!』
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