閑話 管理AIナインちゃん2
閑話なので短めです!
本日三回目の更新です!
とある電脳空間に、一人の少女がいた。
白い髪に白い瞳、着ている服は白いワンピース。
少女は何かを眺めては、わたわたとはしゃいでいる。
この少女こそが今話題の最新VRMMO≪カスタムクラスオンライン≫の管理AIである。
名前はナイン。
敬愛するマスターの九番目の作品として生み出された。
今はそのマスターや姉であるナナコにサポートされながらも、立派にゲームの運営を行っている。
ナインの主な業務は、細かい部分の作成にある。
「このクラスは剣を扱うのが得意だから、やっぱり剣に関係するスキルが多いけど、あえてこんなスキルも用意しておきましょう!」
このゲームでは、職業に相当する≪クラス≫と呼ばれるものがある。
≪クラス≫ごとに何かしらの行動をとると≪称号≫がもらえることがあり、それに紐づいた≪スキル≫を同時に取得するシステムになっているのだ。
その数は膨大であり、とても纏めきれるものではない、と言われている。
しかし、その全てがあらかじめ用意されているわけではない。
「むむ、矢を持って殴りかかるなんて面白いですね、新しい称号を用意しておきましょう! やや! これは、味方ごと魔法に巻き込むなんて、もっと威力をボーナスしてあげたら面白そうですね!」
ナインは何かを察知しては、むむむむと新しいデータを構築している。
そう、プレイデータから新たなデータを産み出すことこそが、彼女の仕事の大部分を占める。
それは≪スキル≫や≪称号≫、≪クエスト≫等多岐に渡る。
プレイヤー人数は約一万人。
その膨大なデータを日々処理するナインは、生半可なAIではないのである。
「ありゃりゃ、このクエストバグっちゃってませんか? この段階で突破出来るようなクエストじゃない筈なのに……まぁいいですね!」
ナインは、高性能な割にどこかお茶目な部分もあった。
姉が賑やかな家族に憧れ、賑やかな妹を欲した結果でもあるので、そういう意味では間違いなく高性能である。
「遠距離系のクラスで近接戦闘ですか。いいですね、嫌いじゃないですよその反骨精神。もう少し続けられたなら、ちょっぴりサービスしたスキルを贈呈しちゃいましょう」
そしてこのゲーム、ナインが管理を任されていることからも分かるように、バランスは重要視されていない。
理由は単純で、完全に製作者の趣味で作られたからだ。
だからこそナインが任されているとも言える。
「お、この人達はいつも面白いことをしてる人達ですね……ぷっ、なんですかこれ! なんですかこれ! あはははははは!」
ナインに、とあるプレイヤー達のデータが流れ込んでくる。
ピンクのドレスを着た少女が、筋肉モリモリのマッチョマンを振り回している映像だ。
それを確認するや否や、ナインは笑い転げた。
彼女はこういう突拍子もない行動が大好きなのである。
「いいですね、最高です! これはもうとっておきをプレゼントしなくてはいけませんね!」
管理AIナインちゃんの仕事は日々続いていく。
今日も素敵な≪称号≫を作成しては、プレイヤー達の元へと届けていくのだ。
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