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47 可愛さを振りまくための作戦会議!

本日二回目の更新です!


 トラストルの言葉と、メンバーの殺伐とした空気から、俺は一つの答えを導き出した。

 それは、次のイベントでは可愛さをアピールする戦い方を行うということ。

 舐めプをしたり、勝ちを捨てるということではない。


 ただ叩き潰すのではなく、自分達の在り方を忘れない。

 そういう戦い方を念頭に置いておく必要があると思ったわけだ。 


 次のイベントも、名前はギルド対抗戦となっているが主目的は交流らしい。

 対戦し、ギルドの交流と、まだギルドに所属していないプレイヤーへのアピールをすることが出来る。

 だから俺達は、俺の可愛さをこの世界に知らしめる為の戦い方をし、そして勝つ。

 勝った方が注目されるのは、世の常だ。

 可愛さアピールを負けた理由にもしたくないしな!

 

 方針が決まった俺達は、その場にいたメンバーで街へ繰り出した。

 もう余り時間が無いし、準備は万全にしておかないといけない。





「それじゃあ、第一回、お姉様の可愛さアピール大作戦会議の開催をここに宣言するわ!」


「ヒューヒュー!」


「やんややんやでござる!」


「わーい!」


 リリィが高らかに宣言し、他のメンバー達も盛り上がる。

 今の時間は午後七時。

 ソファーには俺の他にリリィ、ダリ、アズが座っており、サンゾウは相変わらず天井にぶら下がっていた。

 頭に血が上らなくて最高らしい。


 俺はとりあえず拍手しておく。

 やっぱりちょっとまだ恥ずかしいじゃん?


「お姉様の立てた方針は、さっき伝えた通りよ。交流目的のイベントなのだから、お姉様の可愛さを知らしめるにはいい機会。流石はお姉様、素晴らしい考えです!」

 

「あ、ありがとうございます」


「というわけで≪最強可愛い姫様のギルド≫は、お姉様の可愛さを全開に放出しつつ、なるべく勝利を目指すことになるわ」


「おう、やっぱ勝たなくちゃな」


「そうね、お姉様が可愛さを振りまき、私達が相手を完封することで、より完璧(パーフェクト)な効果を発揮する筈よ」


 リリィは一度言葉を切って、辺りを見渡す。

 少し待った後、再び口を開いた。


「その為の作戦をみんなで考えてほしいの。どんどん意見を言って、良さそうなのを更にブラッシュアップして実戦投入するから、本気で考えてね!」


「はい! でござる!」


「はいそこの忍者!」

 

「やはり姫の戦術の要と言えばあの箱でござろう? 相手の主力メンバーを閉じ込めた後、その上に立って歌って踊るのはどうでござるか?」


「お姉様が歌って踊る?」


「姫は自力でスモークも()けるし、妙案だと思うのでござるが」


 俺が、歌って踊る?

 マジか。

 確かに今の俺は(まご)うことなく美少女だ。声も勝手に変換されて可愛いアニメ声になっている。

 装備もふわふわドレスだし、アイドルっぽく見えなくもない。


「いいわねそれ! 激しい戦いの中、足元にはお姉様の可愛さを濃縮したかのような、霧が横たわり、お姉様の歌声が響き渡る。ステージには相手メンバーを閉じ込め、可憐な旋律は私達に力を与える! 演出としても最高ね! 哀れな犠牲者にはとっておきの特等席と絶望をプレゼントよ!」


「お褒めに預かり光栄にござる」


「あの、流石に閉じ込めてそれをするのは、残虐的と言いますか……」


 歌って踊るだけならまだ――滅茶苦茶恥ずかしいけど――我慢できる。

 だけど、相手を閉じ込めた箱の上に立ってそれをやれと言われると、抵抗がある。


 だって考えても見て欲しい。

 イベントは一パーティー六人までと決まっている。

 その内の一人を閉じ込めたらかなり有利になるのは間違いない。


 連携をしっかりとれればきっと勝てるだろう。

 囚われた相手チームの一人は、それを箱の中で見続けないといけないのだ。

 しかも、箱の上では俺が歌って踊っている。

 何も出来ない無力感と極度の煽られ感で精神をやられてしまってもおかしくないぞ。


 なので控え目に反対させてもらった。

 俺はそこまでのメンタルも持っていない。


「ダメに決まってるでしょそんな悪逆非道の極みみたいな作戦! 可愛さアピールしながら絶望と狂気も振りまいてどうするのよ! たしかにそういうジャンルもあるけど、お姉様は清純派なんだから!」


「ぐぬぅ、無念でござる」


 ものすごい手の平返しだった。

 さっきめっちゃ褒めてた気がするんだけど、触れないでおこう。

 サンゾウが残念そうにぶら下がっている。


「おう、それじゃあこういうのはどうだ。ステージの真ん中で姫さんが腕た」


「却下」


「なんでだよ!」


「お姉様に筋トレさせるつもりでしょ! 駄目よ、お姉様に筋肉がついちゃうじゃない!」


「そりゃ筋トレなんだからつくだろうがよ」


「だからダメって言ってんのよ」


「そうか、なるほどな」


「はいはーい!」


「はいアズちゃん!」


「アズ、お姉様がもっと可愛くなれるような装備作る!」


「あーもう、アズちゃんは良い子ね。是非ともお願いするわ! 必要な素材があったら遠慮なく言ってちょうだい、皆で調達するから!」


「おう、オレ達に任せとけよ」


「うん!」


 作戦会議は続き、しばらくしてレンやダイナも加わって、更なる盛り上がりを見せた。



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