45 求める力≠姫としての強さ
本日六回目?の更新です!
俺達はトラストルの案内で、豪邸へと案内してもらった。
その場所こそが俺達のギルドホーム!
あまりにも豪勢過ぎて俺は萎縮してしまいそうになったが、皆はとても喜んでいた。
ギルド資金でアズに工房を用意するくらいにははしゃいでいた。
なんとそれだけで百二十万もかかったからな!
今後他の生産職の仲間が増えたとしても十分対応出来る程の、立派なものだ。
そして一息ついた俺達は、数日後に迫ったギルド対抗戦イベントの為に戦力増強に力を入れることに決めた。
マナーの悪い廃人ギルドに負けてはいられないからな!
▽
今は、木曜日の夜九時だ。
ゲーム内は常に昼間だから初めは時間の感覚が狂いそうになったものだが、すっかり慣れた。
メンバーはサンゾウ以外は揃っていたが、オレとアズで別行動をしている。
何故なら、俺が戦力を増強する場合、レベル上げよりももっと良い方法があるからだ。
それは、プリンセス装備を手に入れること。
四つ持っているこれは、五つになった時にその真価を発揮する、筈だ。
効果を読んだ感じ、多分そうなる。
強すぎるとか言ってる場合じゃない。
プレイ時間も人数も資金力も、ほとんどが負けてるだろう廃人ギルドに勝つには、俺達の力を限界まで引き出すしかない。
その為には、どうしてもプリンセス装備が必要だ。
一時間程二層を回った。
いつも通り、いくつかのクエストが発生しては消えていく。
しかし、お目当ての装備はもらえなかった。
メンバーが使えそうな装備はいくつかあったから、まだマシだけど。
「すごーい! こんなにいっぱいアイテムもらえるんだね!」
「持ってもらってありがとうございます」
「大丈夫だよ! 荷物を運ぶのはアズの仕事だから、アズに任せて!」
俺の貧弱な≪筋力≫では、アイテムはほとんど持てない。
なのでアズについて来てもらったわけだ。
地味にドレスの重量がでかいのがいけない。
「はい、お願いしますね」
「うん!」
アズの笑顔が眩しい。
ああ、可愛い。
荒んだ心が癒されるようだ。
途中で荷物を置きに戻ったりすることもなく、更に一時間回ってみた。
だけど結局、プリンセス装備は見つからなかった。
翌日。
いつもよりも少し早く目が覚めた俺は、≪東の森≫へ来ていた。
ここも慣れたもので、一回死んだだけで中央へ辿り着いた。
流石にここのモンスター五体に囲まれたら無理だ。
「おや、姫様。おはようございます」
「おはようございます」
「今日はお一人なのですね。私に会いに来てくださるのは大変うれしいのですが、護衛も連れずに歩くのは危険ですよ」
「あはは……」
問題ないと答えたいところだが、笑って誤魔化す。
俺一人じゃろくな戦力にならないからな。
実際一度死んだし。
「それで、どうしました? 浮かない顔に見えますが、何かありましたか?」
「実は……」
困った時のトラストル。
俺は包み隠さず全て伝えた。
勝ちたい相手がいること。
その為に強さを求めていること。
何もかも、全部だ。
俺の話を聞いている間、トラストルは何やら難しい顔をしていた。
爽やかイケメン騎士には珍しい表情だ。
そして俺が語り終えた時、トラストルはフッと微笑んだ。
「姫様、強くなりましたね」
「え、あ、はい」
突然すぎて返事が適当になってしまった。
褒められてる?
けど笑顔が素敵すぎて腹立ってくるなこのイケメンは。
装備をくれるNPCじゃなかったら敵間違いなしだったな。
「しかし、力を求めすぎてはいけません。姫様が目指す本当の強さとは、相手を打ち倒す力ですか?」
「えっと……」
「ご自分の強さを信じてください。答えはきっと、その先にあります」
トラストルの質問がぐるぐると頭の中を回る。
俺の目指す強さ? そんなのあるのか?
皆にレベルを上げてもらって、装備も人からもらったものばかりで、スキルも成り行きで得たものがほとんどだ。
強さなんて元々求めてなかった。
俺が目指す強さって何だ?
少なくとも今は、あのむかつく廃人ギルドをぎゃふんと言わせたい。
その為には強くならないといけない。
でもトラストルからすれば、まるで間違っているかのような口ぶりだ。
「さあ、今日はお屋敷までお送りします。ゆっくり身体を休めて、仲間達と共に過ごすといいでしょう。リラックスすれば、何か閃くかもしれませんよ?」
「……分かりました。お願いします」
うーん、考えても分からない。
一体何がいけないっていうんだ?
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