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39 最強(可愛い)姫(様の)ギルド

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 日照りの原因は、精霊の仕業だった。

 同時発生した別のクエストが解決した時に、なんやかんやで一緒に出てきて発覚した。


 襲われたとかそういうわけでもなく、何故かめちゃくちゃ(なつ)いてきた。

 これも俺の≪魅力≫のおかげかもしれない。


 こうして≪アレータ村≫でいくつかのクエストをクリアした結果、いくつかのアイテムと新たな称号を二つ手に入れた。

 ≪大詐欺師≫と≪太陽の精霊の御子≫である。


 まさかの≪詐欺師≫の上位版である。

 同じような条件を十回満たすことが取得条件で、この村で≪女神≫と崇められたまま報酬もらいまくったのが良くなかったらしい。

 回数的に、他のクエストでの報酬も含んでる気はするんだけど、どうなんだろう。


 ≪太陽の精霊の御子≫の方は、精霊に懐かれたことでゲットした。

 これによって得たスキルは≪フレイムエンチャント≫というスキルで、鎧か武器に火属性を付与することが出来るらしい。

 このゲームのよくある属性相性みたいなものがあるので、それによって与ダメージや被ダメージが増減させることが出来る訳だ。


 こうして、俺とリリィはかなりの成果を得た。

 すっかり普通の農村のように長閑な空気と深い茶色に包まれた村を後にした。

 すでに畑には農作物が青々としているのが、実にゲームらしい。


 たまり場に戻った俺は、早速精算しようとした。

 経験値以外の報酬はパーティーリーダーの俺がまとめて受け取っていた為、リリィに渡す為には分配しないといけない。


「全てお姉様が受け取ってください」


「え、いいんですか?」


「特に欲しいアイテムもありませんし、お姉様にはいつも助けられていますから!」


 成果は、装備品が4に、お金が十万J。

 あとは細々とした消耗品や素材がいくつか。

 装備品の中には俺が集めてるプリンセスシリーズが一つに、後は鎧と兜とマント。

 

 確かにどれも、リリィには必要なさそうな効果ではある。

 それでも売ったらお金になるし、お金だけでもと思ったが(がん)として(うなず)いてくれない。


 そのまま押し切られて、全て受け取ることになった。

 アイテム類はギルドのメンバーに配って、お金はギルド資金にしよう。

 今後リリィに良さそうなアイテムを手に入れたらプレゼントすることに、俺の中で決定した。





 しばらく駄弁った後、一度ログアウトした。 

 そして昼食と入念なストレッチを終えた俺は、再びログイン。


 たまり場では、リリィとサンゾウが何やら難しそうな顔をしていた。

 何事かを話し合っていたようだ。


「ただいまー。サンゾウさん、こんにちは」


「おかえりなさいお姉様!」


「こんにちはでござる、姫!」


「何かあったんですか?」


「はい、今、とても大事なことを話していたんです」


「大事な事……」


 二人で話す大事なこと……一体なんだろうか。

 パッと思い付かないな。

 リリィとサンゾウの共通点というと、俺に対する反応がやべーランキングトップツーである。


 でも俺の事なんて話していてもつまらないだろう。

 となると、作る予定のギルドのことか?

 

「ギルドのことですか?」


「そうです! ギルドの名前を考えていたんです!」


 リリィが満面の笑顔で頷いた。

 ギルド創立に必要な≪マスタリウム≫は手に入ったが、創立自体はまだしていなかった。

 アイテムを入手出来た時には何人か落ちていたし、名前も決まっていなかったのが理由である。


 今夜にでも話し合って決める予定だが、先に二人で案を出し合っていたんだろう。

 名前を決めたりするのも楽しいだろうからな。


「姫のギルドでござるからなぁ。やはり拙者はシンプルに≪姫の僕達(しもべたち)≫が良いと思うでござる」


「悪くないけど、堅苦しいわ。それに、やはりお姉様のギルドなんだからお姉様の魅力が伝わるような名前がいいと思うの」


「おお、それは確かにそうでござるな」


「そうね……たとえば、≪最強姫様マジ大天使≫とか」


「流石はリリィ殿、猛烈にアバンギャルドでファンタスティックな案でござるな」


「そうでしょう? お姉様の存在を短く的確に表現出来ている自負があるわ!」


「えぇ……」


 どっちもねーよ。

 我慢しようとしたけど、思わず困惑の声が漏れてしまったわ。

 どちらの案も恥ずかしすぎてやばい。

 特にリリィのは、酷い羞恥プレイである。罰と言ってもいいくらいだ。


 ギルドに所属すると、名前の下にギルドの名前が表示されるようになる。

 とても≪姫の僕達≫や、≪最強姫様マジ大天使≫なんて名前を背負って歩けない。

 死ぬ。

 羞恥心ではずか死んでしまう。


 二人とも正気か!?


「それならば、≪最強可愛いお姫様≫とかはどうでござるか!?」


「あんたも中々やるじゃない。じゃあ私は≪姫様の魅力で地球がヤバい≫を召喚、一枚カードを伏せてターンエンドよ」


「ならば拙者は更に、≪姫様と過ごす超絶幸せなCPOライフ≫を召喚するでござる!」


「くっ、ここで場に伏せていた≪ああもう堪らない!姫の瞳はギャラクシィ!≫をオープンするわ!」


「ここでそうくるとは、やはりリリィ殿は格別でござる」


「ふふ、貴方もね」


 やめてくれー!

 なんだこのテンションは。

 途中からカードゲームアニメみたいになってるぞ。

 全部俺の心にダイレクトアタックしてるからマジ止めてください。


 その後、なんやかんやあって夜になり、皆が揃ってからギルドの名前を議論した。

 その結果、俺達のギルド、≪最強可愛い姫様のギルド≫が誕生した。

 これでも俺は頑張ったし、他のに比べれば遙かにマシな案だった。


 ≪筋肉姫様隊≫は無いよなぁ。

 リリィも物凄い笑顔で杖を後頭部に叩きこんでたからな。



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