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31 臨時広場はトラブル広場

まったりと新章入ります!


 次の日、昼前に起きた俺は早速ゲームにログインしようとしたが、止めた。

 毎週月曜日は定期メンテナンスの日だからだ。


 午前八時から午後三時まではゲームをプレイすることは出来ない。

 今の内に買い出しを済ませておこうと思い立ち、散歩がてらに出掛けることにした。


 ここしばらくは忙しくなりそうだからな。

 運動不足がたたるとゲームもロクにプレイ出来なくなってしまう。

 それは避けないといけない。

 のんびりダラダラVRライフを楽しむんだ。


 日課を前倒しで済ませた俺が仮眠から起きたのは、午後四時を過ぎた辺りだった。

 少し寝過ごしたけど問題ない。

 早速ログインだ。


「ダイブスタート」


 景色が消えて、塗り替えられていく。

 いつものファンタジーな光景が広がっていた。

 何度見ても興奮する。

 誰彼かまわず挨拶して周りたくなるぜ。


「へい!」


「え?」


「へいへい!」


「へ、へーい」


 ペチン。


 試しに通りすがりのプレイヤーにハイタッチを要求してみたら、戸惑いがちにやってくれた。

 軽快な音が奏でられる。

 ひゃっほー、今日も楽しい一日になりそうだぜ。


 とりあえずは、お知らせを確認してみるか。

 更新情報などが掲載されている筈だ。

 普段公式ページすら見ることをしない俺が情報を得るには、これが一番手っ取り早い。


 俺みたいなまったり勢にとっては、アップデートされた後に情報を確認しても遅くはないと思うし。


 まずは噴水の縁に腰かける。

 どれどれ。

 メニューからお知らせを開くと、いくつか項目が並んでいた。


 一部スキルの調整、ギルドシステム実装、アイテム作成クエスト実装。

 大きな項目としてはこの三つらしい。


「とりあえずギルドかな」


 一番興味があるのはギルドについてだな。

 項目をタップすると、詳しい説明が開かれた。

 ふむふむ、なるほど。

 おーけー、大体把握した。


 ギルドを立ち上げるには、≪マスタリウム≫というアイテムが必要になる。

 そしてそのアイテムを作成する為には三つのアイテムが必要で、更にその三つのアイテムも素材を集めて作成する必要があるそうだ。


 とりあえずギルドの詳しい説明は後回し。

 作り方と必要素材が分かればとりあえずは大丈夫だからな。


 他のメンバーがログインしたら一緒に集めるとして、自分だけでも多少は集めておきたい。

 となると、何を採りに行くか。


「むむむむむ」


 三つの内の一つである≪強固な意思≫はサンゾウが報酬でもらっていたから、除外。

 そうなると、≪強靭な闘志≫か≪強剛な有志≫になるが、ここは≪強靭な闘志≫にしておこう。


 理由は単純に、素材を見て決めた。

 闘志の素材は≪動物系モンスターの爪、角、牙のいずれか×500個≫。

 これなら割とどこにでもいるし、一層の南の森までならソロも出来る。


 爪や角が入り混じっていてもいいみたいだしな。

 そうだ、せっかくならトラストルに手伝って貰えば早いかもしれない。


 それじゃあ早速、東の森へ出発だ。





 東の森は未だに恐ろしいところではあるが、箱が二つまで出せるようになったお陰で通り抜けるのが少し楽になった。

 後は新しいスキル、≪チャーミングミスト≫もその威力を発揮した。


 使用すると周囲の足元に可愛さ、もといピンク色の霧を発生させる。

 この領域に入ったモンスターは可愛さに足をとられて移動速度と攻撃速度が低下する上に、攻撃力を低下させる効果も併せ持っている。

 ちょっと意味が分からないが、説明にそう書いてあるんだから仕方ない。


 イベントで使わなかったのは、ちょっと見栄えが悪いからだ。

 スカートの下からブシャー! っとピンクの霧を噴射するなんて、恥ずかしくて中継されてるような場所では使えない。

 そんなもの使ったらしばらくの間笑いものにされてしまう。

 映像が残ってしまえば延々と語り継がれる可能性すらあるしな。


「では姫、私の力が必要な時は是非また声を掛けてください」


「ありがとうございました。そうさせてください」


「それでは、失礼致します」


 一時間程狩りをして、トラストルと解散した。

 相変わらず強くて俺は何もしていない。

 むしろ何かしようとするとやんわりと怒られるから、手出しが出来なかったともいう。


 ≪チャーミングショット≫を使った時なんて、自分にも是非と迫られたものだから、トラストルの前では二度と使う気にならなかった。

 ミストの方も全部吸い込まれそうで怖い。

 あいつならやりかねない。


 結果として、素材がそこそこ集まった。

 残りは皆と集めに周るとして、一旦どうするか。


 今日は平日だし、皆がインしてくるにはまだ時間がありそうだ。

 かといって今日は日課は終わらせてるし、晩飯にもまだ早い。


 しばらく行ってなかった臨時広場で落ちてみるか。

 今の俺ならそれなりにパーティーでも役立てる……といいなぁ。


 臨時広場に到着すると、それなりに賑わっていた。

 もう五時半も近いし、そろそろ人が増えてくる時間帯だ。


 しばらく見て回ってみたが、精算中だったり特定の役割を募集していたりで、俺の入る余地はなさそうだった。

 仕方ない、落ちて誰かが拾ってくれるのを待つとするか。


「お前どういうつもりだよおら!」


「ま、待ってよ、本当にアズ知らなくて」


「誤魔化そうったってそうはいかねぇぞ! とっととルームに戻れよ!」


「だ、だって、寄ってたかって皆で責めてくるから……」


「本当に知らないなら話くらい出来るだろぉがよ!」


「うぅ……」


 トークルームのタイトルを入力していると、何やら揉めているのが聞こえてきた。

 ガタイの良い男が、店員みたいな可愛らしい装備の女の子に詰め寄っている。

 近くには他に数人が固まっているが、誰もが女の子を睨んでいる気がする。


 その内の一人の頭上には『精算中』と書かれたトークルームがあることから、ルームの中で成り行きを見守っていると思われる。

 ルームの中にいても、周囲の会話は聞こえるからな。


 しかし、女の子は泣きそうな顔になっている。

 放っておくのも可哀そうだろこれ。


 ルームの設定をキャンセルして、女の子の前に割り込んだ。

 男は訝しげな視線をぶつけてくる。


「落ち着いてください。何かあったんですか?」



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